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おぢばにおかえり

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第四十四話 二人でお外に出てその三十

「何を食べます?」
「バニラね」
「じゃあ僕も同じにしますね」
「ええ、それじゃあ」
 ここでお財布を出そうとしますと。
 阿波野君はすぐにです、私に言ってきました。
「いいですよ、先輩は」
「いいって何が?」
「お金は僕が出しますから」
 だからだというのです。
「今度は」
「いいの?私が先輩だから」
「いいです、僕が男ですから」
 だからというのです。
「出しますというか出させて下さい」
「男だ女だって」
 私はそうした考えは好きじゃないです、何かそうして変な境界を作るのはどうかと考えています。
 だからです、それはどうかと言おうとしましたら。
 阿波野君はもう払っていました、そのうえで私に言ってきました。
「これでいいですね」
「あの、もう払ったの」
「はい、今」
「何か早いわね」
 私が言うよりもでしたから。
「先輩だからここは私がって思ってたのに」
「先輩女の子じゃないですか」
「そういう問題じゃないでしょ」
 御前はそれでも男か、とか女か、とかいう言い方は嫌いなので阿波野君にも言いました。ですが。
 阿波野君はその私にです、笑顔のまま言ってきました。
「まあまあ、こうした時は出させて下さい」
「阿波野君が?」
「はい、一緒にいるんですから」
「一緒にって」
 何かまたしても変な感じになりました、私はその変な感じの中で阿波野君のお話を聞いてでした。
 そうしてです、こう言いました。 
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