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ロボスの娘で行ってみよう!

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第52話 ヤンの退院


E・W女史の正体も未だ判らないです。
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第52話 ヤンの退院

宇宙暦793年2月15日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 軍病院 リーファ・L・アッテンボロー

取りあえず、親父とヤン先輩のお見舞いに来ました。最初はやっぱりヤン先輩ですよね。何故かって言うと、私のせいで怪我したんですからね、肉親よりは先に行くのが礼儀と言うモノです。まあ実際はフレデリカがお見舞いに来ているそうなので会いにいくのですけどね。

あの事件の後ダスティーと話した結果ヤン先輩達怪我をした方が完治して退院するまでは別居する事にしています。私達の結婚式で怪我を負ったのですから一つのケジメとしています。ヤン先輩は『そんな気にする必要は無いよ、半年も仕事しないで居られるのだから』と笑いますけど、原作見たいに危うくヤン先輩は死にかけてますからね。

ヤン先輩の病室へ向かいました、やはりフレデリカが来ていますね。声が聞こえるので聞いてから入りましょう。

『ヤン中佐、今日は良い天気ですよ』
『ミス・グリーンヒル、態々すまないね』

話が続いてませんから、そろそろ侵入です。ドアを叩いていきます。

「ヤン先輩、お元気ですか?」
「やあ、リーファ帰ってきたんだね」
「アッテンボロー中佐、お久しぶりです」

「先輩も相変わらずそうで安心しました」
「まあ。働かずに給料貰えると言う事はたまには良い事だよ。ただ外出できないのが辛いけどね」
「そうなると、好きな歴史書も中々読めなかったんですね」

「いや、それはミス・グリーンヒルが持って来てくれて、凄く助かったよ」
「いえ、それほどでも」
うーん、ヤン先輩超鈍感だし、2人とも初々過ぎるぞ、小学生の恋愛じゃ有るまいし。

「フレデリカさん、ヤン先輩じゃ苦労しますね」
「あっ、えっ・・・・」
「リーファ、私はミス・グリーンヒルに迷惑かけたのかな?」

「いえ、ヤン中佐、私が好きでやっている事ですから」
「エル・ファシルの事なんかで其処までする事は無いんだよ」

ああー、フレデリカが、思い詰めた顔しちゃったよ、ヤン先輩の馬鹿、敢えて阿呆とも言いますけど、女性の機微に鈍感すぎ。

「あっ、アッテンボロー中佐、御茶を入れて来ますね」
あーフレデリカが出て行っちゃったよ。ヤン先輩にはお仕置きですね。
「ヤン先輩、あと半年ぐらい有給が必要な気がしますね」

「リーファ?その単調な話が怖いんだけど」
「ヤン先輩は超鈍感です!」
「はっあ?」

「フレデリカさんが、態々休みの度に、テルヌーゼンから来てくれるのはどうしてだと思いますが?」
「エル・ファシルのこととかだろ?」
「はぁ、良いですか?フレデリカさんがは間違えなくヤン先輩を好いてますよ」

「えっ、まさか、そんな。私はミス・グリーンヒルの7歳も年上だし、美男子でもないし、働き者ともいえない、そんな訳が」
「ええ、働き者でない事は私が保証します、少しは働きましょう。一度フレデリカさんと話し合う事を薦めますよ。ファーストネームを呼んでと言うのはよほど親しく無いとないですよ」

「ああ、リーファありがとう、私も臆病になっていたようだ、ミス・グリーンヒルと話してみるよ」
「先輩、ミス・グリーンヒルじゃなくて、フレデリカさんですよ」
「ああ、頑張ってみるよ」

「じゃあ、先輩お大事にしてくださいね」
「リーファ、ありがとう」

さて、外で聞いている、フレデリカを捕まえるか。
外へ出て、給湯室へ移動したら、顔を赤くしたフレデリカ発見。

「フレデリカさん」
「アッテンボロー中佐、どうなさったんですか?」
「聞いてたでしょ話し、それとリーファでいいのよ」

判りすぎるな、流石才女でも色恋には素人だからね。
「えっ、そのえーと」

「フレデリカ、敢えて言うわ。ヤン先輩は超鈍感なの。それに自分が女性に好意を持たれるとは思っていない、あれだけ貰ったラブレターもエル・ファシルの英雄のネームバリューに来ていると思っているんだよね。だからこそ、恋愛に臆病なんだよ、だからフレデリカが積極的に行かないと駄目だよ」

「はいリーファさん、ありがとうございます。頑張ります」
「頑張ってね」

後は2人がどうなるか、楽しみだね。さて親父の病室へ行きますか。

「父さん生きてる?」
「生きてるぞ、入りなさい」
「はーい」

「久しぶりだな、話はシトレから聞いたが、相変わらず無茶をするな」
「いやー、やばそうだったから」
「まあ、クブルスリーも立場上止めたのだから怨まないようにしなさい」

「はい、判っております」
「まあ、今回は極秘だからカールセン達の昇進は10月の定期異動にするそうだ」
「その辺は、父さん達に任せます」

「後1ヶ月もすれば、退院だ、それから忙しくなるな」
「死なない程度にお願いします」
「ははは」

「それじゃ、又来ますね」
「うむ、きおつけるんじゃぞ」
「はい」


宇宙暦793年4月20日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 統合作戦本部

ヤン中佐だけが未だに入院中の現在、次回のヴァンフリート星域への出兵に対する作戦案が練られている。ヴァンフリート4=2基地の問題やどの様に敵をヴァンフリート星系におびき出すかを考えられていた。リーファは此処でラインハルトを葬り去るつもりではあったが、問題はグリンメルスハウゼン艦隊がヴァンフリート4=2に来るかにかかっていた。

しかし、出兵自体が原作では794年3月で有るため、それまでは出兵がないものとして、後方本部設営科が、密かにヴァンフリート4=2で設営作業に入っていた。

今回のヴァンフリート星域会戦(予定)はリーファのアイデアが多数採用されながら、内容を完全極秘とされ、フェザーン、帝国のスパイも探る事が出来なかった。

何故なら軍極秘であった事と、亡命したヘルクスハイマー伯爵に対する暗殺等の工作、この頃から同盟とフェザーンで有名になり、帝国世界にも多大な影響を与え始めていたE・W女史の正体を探る方にスパイの総力を向けていたため、更に諜報部でスパイの監視を行っていた事で、フェザーン、帝国共に諜報力が低下していた事も要因と成っていた。


宇宙暦793年5月1日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 軍病院 リーファ・L・アッテンボロー

今日ヤン先輩が退院するので、迎えにいきました。
残念ながら、フレデリカは士官学校の授業で来られませんから、私とダスティーで迎えに来ました。
ダスティーとはやっと同居できますよ。

「ヤン先輩、退院おめでとうございます」
「先輩、おめでとうございます」
「ああ、ありがとう、アッテンボロー、リーファ」

「此で休暇もお仕舞いですね」
「ははは、良い休暇だったよ」
「所でフレデリカさんとはどうなりましたか?」

ヤンはその言葉に照れ始める。
「いやその、まあ、なんだ。卒業してからと言う事に・・・」
「何ですか?その話は?」

旦那は知らないんだよね。
「ダスティー、ヤン先輩にも春が来たと言う事なの」
「へー、朴念仁の先輩にですか、こりゃ明日は雪が降るな」

アッテンボローの言葉にヤンが苦笑いする。
「酷いな、アッテンボロー、私だってやるときはやるさ」
「そりゃまた、どうも。しかし此はおめでたい事が続きますね」

「ん、何か他にあるのかい?」
「リューネブルグ准将とドールトン大尉が婚約したんですよ、それにスールズカリッター大尉は幼女趣味と判明しましたw」

「リューネブルグ准将とドールトン大尉は判るけど、スールズカリッター大尉はなんだい?」
「いえね、保護したヘルクスハイマー伯爵令嬢マルガレータ嬢に非常になつかれて、『お兄ちゃん』て呼ばれてるんですよ、しかも今は連絡武官もしてるから益々なつかれているそうで」

「それだから、光源氏計画してるんだとの、噂が流れてるんですよ」
「どうせ、リーファ辺りが流した噂だろう」
「さあ、どうですかね」

「とはいえ、今日は先輩の退院祝いにキャゼルヌ先輩が御馳走してくれるんで家に荷物置いていきますよ」
「そうですよ、ミセス・キャゼルヌの料理は抜群ですから」
「そうだね、御馳走に成りにいこう」

その後キャゼルヌ先輩の家でご馳走になった後、ヤン先輩を家に送り、うちら夫婦は初のお床入り。

前世と合わせて2度目の喪失でしたが、運動していたのでそれほど痛くなかったですね、血は出ましたが。此にて正式な夫婦になれました。けどねーダスティーは意外にへたれでした。



宇宙暦793年9月30日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 統合作戦本部

指向性ゼッフル粒子発生装置の研究も進みつつある中、皇位継承者の遺伝子情報を持っているヘルクスハイマー伯爵は悠々自適な性活をしながら、既に愛人を囲っているそうです。その為にマルガレータ嬢はメイドに任せきりなのですが、スーンがいる事で益々懐いているそうです。こりゃ冗談じゃなく光源氏計画になりそうだ。

最近同盟で有名っている、E・W女史の著書を机の上に広げながら読んでいます。
「リーファ中佐、その本最近有名な本ですよね」
「イブリン、そうだよ。面白いし、良く書けていると思ってね。帝国に対する謀略に使えそうじゃん」

「そうですね、私は【レオンハルト・フォン・ローゼンクランツ】シリーズなんかが面白いですよね」
「まあ、帝国じゃ発禁文書だけどね」
そりゃリアリティーあるよ、ラインハルトそのものだし。

「【フォルゲン伯爵のマチアス君】【汚職の人】【カストロプ式汚職法】なんか、そのまんま、不正の発見に使われたらしいからね」
「そうですな、情報部でも驚いていますよ」

いきなりかよ、バクダッシュ。
「バクダッシュ少佐、女性の話に入る時は、断ってからの方が良いですよ」
「此は失礼、しかし中佐もこの本を読んでいるとは、意外でしたな」

「参考になりそうな物は、小説でも使いますからね」
「確かに、そうですね。情報部でもあれほど帝国の内情が描かれているのに驚いていますよ」
「それで、E・W女史の正体って判ったの?」

そう聞いたが、バクダッシュは肩を竦めて困った顔で答える。
「全くです、情報部が探していますが、全然判らないんですよ」
「編集者や出版社は?」

「それも無理でした、原稿はメールで送られて来るそうですし、打ち合わせも完全な秘匿回線。そのメールや回線も幾つものラインでジャマーがかかっているので追跡不能だそうです」
「なるほどね、あれだけ情報を出して、帝国に混乱を出せば、命が危ないからかな」

「恐らくそうでしょうな。同盟内部にも内通者が居る以上、自ら命を守っているのでしょうな」
「皇族って言うの本当なのかな」
「どうでしょうね」

「所で何の用?」
「ああ、中佐に頼まれていた、巡航艦の将兵の供述調書が完成したので持って来たんですよ」
「それは、御苦労様でした」

その後庁舎を読みつつ、本も読みながら、ヴァンフリートの事も考えていた。
 
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