異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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油断
剣をまず横に凪いで、二つに切り裂く。
これでまずは少し、動けなくなっただろう。
だがこれよりも念には念を入れて、と思ってさらに縦横に剣をふるう。
この時地面からは軽く飛ぶ。
けれどたかくは飛ばない。
高すぎてしまうとその分の落下時間中、あまり身動きが取れないので的になりやすいという欠点もある。
もっとも空中をうまく自在に動けるのが前の世界の仲間や俺だったのでそのあたりはハンデにならないが、そのあたりも含めてそういった魔法を扱う能力があると知られるのはあまりよろしくないからだ。
能ある鷹は爪を隠すというが、俺もスローライフのために頑張って能力は隠すつもりだ。
そう思いながら再度念を入れて切り刻んでおく。
俺が周囲に来た時にいつもならば防御用の刃が飛んできたはずなのだが、これには存在していないようだった。
異世界で同じものを作り出すのは、“材料”面でも難しいのかもしれない。
だが、地面に落ちているそこそこ大きな塊の山を見ながら、
「これで終わりだ」
そうエイダとレオノーラに振り返り告げる。
するとエイダが、
「やっぱりいつみてもその剣は“異常”だわ」
「……これは俺が特別に魔法を使って作っているものなので詳しいことは秘密です」
「独自魔法……そしてこの威力。どういった概念やら何やらが使われているのか……う~ん……!」
そういってエイダがまじまじと見てくるので、俺はとりあえずその魔法を解いた。
やはりこちらの手の内はあまり知られたくない。
レオノーラも今の剣に興味があったらしくふてくされている。
とはいえ、親玉も倒してしまったしこれで今回の戦闘は終了だ。
後は、残っている“闇ギルド”の連中から話を聞き出せばいい。
ただ……俺としては気になることがある。
あまりにも呆気なさすぎるのだ。
何か罠を張っているのではと思って周りを索敵してみたがその範囲では見つからない。
さらに遠距離で俺たちの様子を観察している可能性もあるが、それ以上先になると後は、町の中に入ってしまい特定が難しい。
といっても遠方を監視する魔法をたどり、どこにいるかを探知することもできる。
俺はすぐにそういった操作に魔法を変えて、すぐにこちらを監視している人員を見つけた。
「俺達を観察している人間が町の方にいる。それを捕まえて話を聞いた方がいいだろう」
「! どこにそんなものが」
「こちらを見るための魔法をたどっただけだ」
「……偽装はされていなかったの?」
「解除した」
俺がそうエイダに答えるとそれ以上何も聞いてこなくなった。
納得してくれたのだろう。
そう俺が思って踵を返して町の方に戻ろうと俺はした。のだが。
キィイイイイイイ
耳障りな音がして、背後で赤い光を感じる。
同時に魔力が膨れ上がるような気配がして俺は振り返る。
そこには先ほどの親玉が元の形に戻ろうとしているのが見えた。
「自己再生機能がついていたのか!」
前と違うと俺は思っているとそこ依然見たことのやるような刃がこちらに飛んでくる。
慌てて俺が防御の魔法を展開しようとしたところで、黒い雷のようなものがその親玉に降り注いだのだった。
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