新世紀エヴァンゲリオン Another/EndlessWORLD
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第一話 ゼロ・チルドレン
前書き
書いてみた。読んでくれると嬉しいです。
『新世紀エヴァンゲリオンAnother』
「シンクロ率、良好…バイタルも安定しています」
目を閉じる。
何も考えず無心で座るだけの簡単なお仕事。にも関わらず、ここの人達は僕の事を褒めてくれる。
何もしてないのに褒められるのは少し変な気分だけと…褒められるのは嫌じゃなかった。
「────────…・・・***※※※────・*※」
『何か』と繋がる感覚。
L.C.Lで満たされた密室の中…自分だけの空間の筈なのに孤独を感じない。
なんだろう。例えるならお母さんのお腹の中…お母さんと赤ちゃんを繋ぐ、臍の緒。つまりは、『コレ』はお母さんで僕が赤ちゃんという例えか。
「…────…────・・・………………………………………………」
僕と『コレ』はエントリープラグという名の臍の緒で繋がれている。
僕は、『コレ』の中で眠っているんだ。
「凄いです…初号機とのシンクロは初めての筈なのにこれ程の数値を出すなんて、」
「まるで、エヴァに乗るために生まれてきた少年ね」
何も考えない。何も考えないでいい。
ひたすらに無心で目を瞑る。
「シンクロ率、更に上昇…」
何かと繋がる感覚が強まっていく。
不快感は感じない。だけど…これは、なんて言えばいいのか?
「シンクロ率…150%を超えました…尚、上昇していきます!」
愛おしい…いや、懐かしい?
「これ以上のシンクロは危険と判断します。中止の許可を、」
なんで懐かしいと感じるのだろう。僕は、『コレ』に乗るのは初めての筈なのに。こんなの前の零号機では無かった。ただ、自分以外の何かと繋がる感覚だけだった。だけど、『コレ』は違う。何かが違う。何かが決定的に違うんだ。
「許可する。直ちに、『初号機』とパイロットの神経接続を解除だ」
「承知しました。マヤ、」
「『初号機』とゼロ・チルドレンの神経接続をカットします」
とても懐かしい感覚だ。もっと浸っていたい。
「────駄目です!
『初号機』、解除信号を受け付けません!?」
そう、これだ。覚えているようで覚えていない。朧気で、鮮明で、曖昧で、微かに記憶の片隅で覚えている感覚を今、僕は感じているんだ。
心地好くて。心地良くて。心地善い。
「シンクロ率、尚も上昇!」
「180…190…このままだと200%を超えます!?」
「エントリープラグを強制排出しろ」
「しかし、それでは…」
「パイロットの生命よりも優先されるべきものは『初号機』だ」
「…解りました。マヤ、エントリープラグの強制排出と同時にベークライトの注入を開始して、多少はパイロットの生存率が高まるわ」
「はい。カウント始めます…3・2・1────」
『────────────貴方は、誰?───────────────』
ブチッと頭の中の神経を引きちぎられる感覚。激痛だけど声を荒げる程では無かった。
でも、さっきのは声は?
女性の声だった。とても優しい声だった。そして…何処か懐かしい声だった。
「僕は─────────────────────────────────────」
そこで、僕の意識は途絶えた。
「…………………………………………………」
目覚めると、視線の先は見慣れぬ天井だった。
体は…動く、視界も問題ない。さて、眠る前の僕は何をしていたのか…。
「やぁ、おはよう」
視線の横、そこには少年が立っていた。とても白い少年が僕を見下ろしていた。
「…君は?」
「僕は、渚 カヲル。フィフス・チルドレンさ」
少年は、とても白くて大人びていた。立ち振る舞い、言葉遣い、その異様な存在感。そこに確かに居るのに…まるで部屋の背景と会話してるみたいだ。
「で、そのフィフス・チルドレンが僕に何の用?」
「お見舞いだよ。日本に着いて早々、ゼロ・チルドレンが入院していると耳にしてね。まさか…と思ってきてみればやっぱり君だった」
「なんで、僕の事を知ってるの?」
「君は有名人だからね。ゼーレの老人達も君には期待してるみたいだから個人的に調べさせてもらったよ」
「有名人?僕が?」
「そうさ。なんせ君は世界で初めてリリスの半身と共鳴したリリンだからね」
「リリン…?リリス…?」
「人間、という意味だよ。リリスの半身というのは『エヴァンゲリオン初号機』と呼んでいるモノの事さ」
「エヴァンゲリオン…初号機────?」
突如、鋭い痛みが僕の頭の中を支配した。
「あぁ、どうやら思い出したようだね」
「…確か、僕は…初号機とのシンクロを…」
乗ってから少しの間の記憶は残っているが…その後の記憶は朧気だった。
「君は、初号機とのシンクロに成功した。だが、ある意味では失敗だったとも言えるね」
「どういう事?」
「赤木博士の予想を大きく…遥かに上回る結果を出したのさ。それもリリンの身では到底不可能な数値を…」
「なら良いんじゃないの?」
「そうでもないんだよ。だって、今回の一件はシナリオに含まれていない」
「…シナリオ?」
「あぁ、誰かの作った誰かの筋書き。これから起こるとされている使徒の襲来を予期した死海文書のシナリオ、人類の未来が記されたパンドラの箱…」
「ごめん。何を言ってるのか解らない」
「そうだろうね。だから別に理解しなくてもいい。でも、これだけは覚えててくれるかな、」
そうしてフィフス・チルドレンは後ろへと振り向き。
「君は、理の先を覗いてしまった。もう後戻りは出来ないよ」
そう言い残し彼は去っていった。
「理の先?」
見知らぬ天井を眺めながら…初号機とのシンクロを思い出そうとするが…。
…ダメだ。何も思い出せない。
初号機とシンクロした、という事は覚えている。でも、後のことは何も覚えていない。
「てっ、そういえばさっきの…」
フィフス・チルドレン。
エヴァの実用化はあと二年は掛かると言われているのにもう、五人目の適合者が居るんだ。
なら、そろそろ僕の出番は終わりかな。
「あと二年か…」
近い未来。
使徒と呼ばれる人類の敵が現れる。
詳しい事は解らない。僕は、使い捨てのパイロットで…ただ、エヴァに乗るためだけに生きてるだけだから別に興味はない。でも、あと二年もしない内に、僕はエヴァから降ろされるだろう。
何も考えず、流されるまま生きてきた僕の唯一の存在証明。
他人から唯一、褒められる役目も終わるんだ。
「ヤダなぁ…」
エヴァに乗っていたい。
褒められたい。褒められ続けたい。
流れに身を任せ生きていたい。何も考えず生きていたい。
まぁ、結論を言えば何も考えたくない訳だが…。
NERV 司令室
「端的に、率直で申し上げます。
彼は────何者ですか?」
赤木 リツコは、とある少年に関して記された書類をNERV 最高責任者である碇 ゲンドウに差し出した。いや、突き出した。
「あの少年は『異常』です」
有り得ない。有り得る訳がない。
ゼロ・チルドレンの少年を一から調べ上げたからこそ至った結論だ。
「もし、仮にあの少年が、エヴァに乗るために人為的に造られた人間なら私も黙って見過ごすつもりでした。ですが、これは違う。あの少年は…」
「コレも貴方の筋書きなのですか?
ゼーレのシナリオではなく、貴方の望む────人類補完計画の」
「応えてください、碇司令」
沈黙の中、碇 ゲンドウはゼロ・チルドレンについて記された資料を一通り確認し。
「よくここまで調べ上げたものだな、」
そう言って口を閉じた。
「教えてはくれないんですね…」
「応える必要はない」
「そうですか、では失礼します」
赤木 リツコは何とか冷静さを保ちつつその場を後にした。
「碇、彼女になら彼の事を明かしても問題はないのではないのかね?」
司令室の隅で嵐が通り過ぎるのを待っていた冬月は言った。
「構わん。あの女は面倒だからな」
「お前という奴は…」
はぁ、と溜息を付きながら冬月は長机の上に散乱している資料を整理する。
「ふむ。よくここまで…流石は赤木君だ」
「あぁ。だが、それは外側の情報だ。ゼロ・チルドレンの内面までは記されていない」
「私的には、内面よりも外側の方が重要だと思うがな、」
ゼロの名を与えられた子供。
ゼロ・チルドレンは、本来のエヴァパイロットと違い、使徒を殲滅する為ではなく、エヴァとシンクロする為だけに用意された特別な子供だ。無論、戦闘経験も無ければ戦闘訓練も受けていない。年相応の少年である。
数ヶ月前、マギシステムによってエヴァのパイロット候補をサーチさせた結果、マギシステムは、とある結論を導き出した。
検索内容は【普通の生活、普通の日常を過ごしてきた子供達】
そして、その中で三人の子供達が検索の結果として表示された訳だが…。
「まさか、こうも異質とはな」
三人の少年少女達。
赤木 リツコの置いていった資料を見て改めて冬月は考えさせられた。
本当に、この子供達をエヴァに乗せても大丈夫なのか?と。
「異質だろうと異端だろうと問題ない。結果的に、我々の計画が成就するならな」
碇 ゲンドウは計画の達成の為ならどんな事でもする男だ。それは冬月がよく知っている。
「だが、それでも私は彼等を信用することは出来んな」
これなら、まだゼーレの老人達の方が信用できるかも知れない。
海乃 陸斗。
ゼロ・チルドレンの最初の候補者。
セカンドインパクトの発生時刻と同時刻に産まれた少年で、年齢は12歳。
セカンドインパクト後の日本で投下された新型爆弾で両親を失くし、その後は海乃 陸斗の亡き父親の姉に引き取られ育てられる。特に大きな事故や病気にも関わることなく現在に至るが…その12年間は常識から逸脱したものだった。
まぁ、セカンドインパクトの発生同時刻に産まれた事自体、最悪の不幸だが。本当の地獄はこれからだった。
余りにも常識の掛け離れた不幸の数々なので詳細を一部、省くが…最近の出来事だと。
・目の前で叔母を亡くし。その後、集団で性的暴行を受けた。
これは約一年前の事であり、彼は半年間にも渡って多数からの性的暴行を受けていたのだ。
常人の精神なら精神崩壊するだろうが…彼は、それを半年間も耐えたのだ。挙句、集団の人間達は、海乃を解放し────そのまま生活を続けている。
※この一件に警察の関与は無く、当事者達の和解で事を終えている※
叔母を殺され、半年間も犯され続けたにも関わらずにだ。
冬月は初めて海乃と対面した日の事を思い出す。
外見は普通の少年で、年相応の雰囲気を漂わせていた。
だが、何処か…常人とは掛け離れた価値観を持っているのに気付くのは遅くはなかった。
「異質過ぎる」
数々の出来事を知る内に、冬月は困惑していった。
まだ…まだ、一年前の出来事で人間として大事なモノを失って現在に至るなら、あの少年を理解出来たかも知れない。だが、これ程の不幸と地獄を味わって今も尚、平然と生きている少年を理解することは出来なかった。
「歪んだ人格と非常識を持つ少年…私には理解出来んよ」
海乃とエヴァンゲリオン零号機とのシンクロテストは良好で、今回の結果から精神的な欠陥を抱えている子供が最もエヴァと同調しやすいと赤木 リツコは仮説を立てたが、その仮説は真実とは掛け離れ、かといって偽りでもない結果となった。
マギシステムの推奨する子供たちと赤木 リツコの仮説を掛け合わせた計算式に組み込み、新たにマギシステムは答えを導き出したが、その結果は良好とは言えず、マギシステムは演算中に一時的なERRORを起こした。
一応、ERRORを起こす前にマギシステムが解答した子供達とエヴァンゲリオン零号機とのシンクロテストを数回に分けて行ったが、シンクロ率は1%と未満と低く、ゼロ・チルドレン候補から外れていった。
なら、何が問題なのか?
赤木 リツコは依然としてゼロ・チルドレンの候補者を探し出しているが…明確な答えは出ないままだ。
「そういえば碇、アレから初号機の調子はどうだ?」
「問題ない」
「ならいいが…」
海乃と初号機のシンクロテストからかれこれ五日。
今も尚、初号機は隔離され隈無く整備されている。
気持ちは分からなくもないが…流石にやり過ぎではないか?と冬月は疑問を抱いている。
今回のシンクロテストの結果は、マギシステムの予想した結果を大きく上回った数値を叩き出したが、海乃とエヴァンゲリオン初号機には何の問題も見当たらない。
いや、何の問題も見当たらないと言うのは違うな。
問題はあった。だが、その原因は解明している。
「初号機が、我々の命令を受け付けなかったのが、そんなにも不満かね?」
シンクロ率が上昇していく中、危険と判断した赤木 リツコは初号機と海乃の精神接続の解除を試みたが、エヴァンゲリオン初号機はソレを拒んだ。
赤木 リツコ曰く、パイロットの海乃が初号機とのシンクロを望んだ結果、その思考が初号機に伝達し我々の命令を拒んだ…。納得の出来るような出来ないような話だが、エヴァは機械ではない。人の手で造られた人造人間だ。人の気持ちを理解出来ても不思議ではないと冬月は納得した。
それに、初号機には彼女の魂が宿っている。
そう。冬月はそれだから理解出来る。だが、それだからこそ碇 ゲンドウは納得出来ないのだろう。
「………………………………」
…やはり、この男は納得出来ていないようだ。
「………………………………」
碇 ゲンドウからの解答はない。これは相当ご立腹の様子だ。
「まぁ、今回の一件はいい教訓になった」
「今後、初号機とのシンクロテストはレイに任せる」
やはり。いや、これは相当ご立腹だ。
最愛の人が眠るエヴァを他人に汚さへたくないのだろう。
「だが、レイと初号機の相性は最悪だぞ?」
「使徒襲来まであと二年ある。その間に、レイと初号機のシンクロを同調させれば問題ない」
同調させれば問題ない…。
初号機とレイの相性は最悪で、初めてレイが初号機とのシンクロを試みた時、初号機はレイを拒み、レイは初号機を拒んだ。
互いに反発した結果、初号機は暴走し自身のエントリープラグを引き抜いた。
その後、初号機は沈黙し活動を停止するが…暴走してまでレイを引きずり出すとは予想打にもしなかった。
その一件で、レイは全治二年の大怪我を負ったが、今は完治し、なんの不思議も無く、日常生活を送っている…が。
あれから二年…初号機とレイのシンクロテストは行われていない。
恐らく、このまま初号機とレイのシンクロテストを行っても二年前の二の舞になる事は確実だろう。
「二度あることは三度ある。
同じ過ちを繰り返すつもりか?」
「そんなつもりは無い。
今度こそ確実に成功させてみせる」
普段通りの口調。
だが、普段の碇 ゲンドウとは違う。
その違いを、普通の人間では感じ取ることは出来ないだろう。
碇 ゲンドウという男は感情を表に出すことない。いや、正確に言えば感情を表に出すのが苦手と言うべきだろうか。まぁ、どちらにせよ万人受けしない人間だという事は確かだ。
他人とズレている。だが、掛け離れているという訳ではない。
他人の気持ちも理解出来るし共感も出来る。でも、それを自分から発することは出来ない。
ただ、不器用なだけなのだ。
筋金入りの不器用。鉄の仮面で素顔を隠し、自分を隠し通す…それが碇 ゲンドウという男だ。変わり者だが、常識人で、常識人だけど少し非常識で、他人の気持ちに鈍感で、自分の気持ちに素直に向き合えない。
だから、こうもひねくれながらも前だけを見据えていられる。
そんな碇 ゲンドウを見て冬月は少し笑みをこぼすした。
「なんだ?」
「いや、なんでもない」
我々の進む道は修羅の道だ。
一人の女の為に全ての人類を生贄に捧げようとする我々を神は許さないだろう。
失敗は許されず、後悔する事も許されない。
ただ、進むだけだ。
利用できるモノは全て利用する。
────それが、我々の計画を妨げる要因であろうとも────。
「ねぇねぇお姉ちゃん」
「なになに妹ちゃん」
「私達って似てるよねー」
「双子だもの。似てて当然よ」
「でも、胸の大きさとか利き手とかも同じじゃん。なんか私達、入れ替わって誰も気付かないんじゃないかなぁー」
「そうね。きっと気付かれないでしょうね」
「もしかして『エヴァ』も私達の事に気付けないのかなぁ?」
「さぁ、それはどうかな」
「一回やってみようよ」
「そんな事したら怒られるわよ」
「バレなければ大丈夫!」
「バレるよ、きっと」
「お姉ちゃんは臆病だねぇー」
「そういう妹ちゃんは能天気ね」
「テヘヘヘヘ、そんなに褒めないでよ」
「褒めてないわよ」
「え、そうなの?」
「本当に貴女は能天気ね」
「いやぁ、それ程でもぉー」
「だから褒めてないって」
「エヘヘヘヘ」
「本当に能天気でお気楽な妹ちゃんね」
「そういうお姉ちゃんは堅物だよね」
「否定はしないわ。肯定もしないけど」
「え、校庭って学校の?」
「違う。認めるという意味よ」
「へぇ。お姉ちゃんは物知りだね」
「…一般常識だと思うけど、」
「そうなの?」
「そうよ。貴女は本当にマイペースね」
「お姉ちゃんこそ」
「そうかしら?」
「そうだよぉー」
「「ふふふふ」」
ゼロ・チルドレン。
如月 マドカ。
如月 アヤカ。
この世界で唯一の双子のパイロットだ。
「私達のエヴァ、そろそろ出来たかな?」
「そんなすぐには出来ないわよ。あと…そうね。二ヶ月は掛かるんじゃないからしか、」
「えぇ…まだ、そんなに掛かるのぉ」
「私達の要望を受け入れてくれたんだから遅れても仕方ないわよ」
「でも、エヴァの背中にもう一つ穴を開けるだけだよ?」
「簡単に言ってるけど、そんな簡単に出来るなら苦労はしないわ」
「ぁぁ…早く、お姉ちゃんと繋がりたいなぁ」
「そうね。私もよ」
「…そういえば…えっと…あの、あれ…うーん……ツイン……プラグ…システムだっけ?」
「なに?」
「それで二つの槍を同時に引き抜くってオジさん言ってたけど何をするつもりなのかな?」
「さあ、何をするのやら」
「気にならないのぉ?」
「気にならない…と言えば嘘になわね。でも、気にした所で関係ない。私達の仕事はエヴァに乗る。それだけだから」
「まぁ、そうだよねぇー」
ゼロ・チルドレンはエヴァに乗るためだけに集められた子供達だ。
エヴァとシンクロし、更なる進化と可能性を導き出す事を目的としている。
この双子の姉妹もその内の二人だ。
一つの器に、二つの魂を注げ込む。
本来、エヴァンゲリオンとは一人乗りの兵器だ。
パイロットの心を、思考を読み取りエヴァへと反映させる。
エヴァには核となるコアが埋め込まれており、そこには何かしらの魂が眠っている。
その魂と共鳴し、互いを理解出来たならエヴァは本来の姿へと覚醒するだろう。
「でも、私達はその先を見てみたい」
一つの器に、二つの魂を注げ込む。
「そう、私達はその先を見てみたい」
エヴァンゲリオン本来の姿────その向こう側。
人の形を保ちながらも神に等しい力を持った巨人。
その新たな生命の誕生に、旧人類は絶滅すると言われている。
それこそが、サードインパクト。
三度目の覚醒と革命で引き起こされる三度目の地獄。
そして繰り返される歴史と結末。
「どんな結末でも構わない」
「私達は、その先を知りたいだけ」
例え、全ての人類が絶滅しようと構わない。
例え、愛しの姉を。
例え、愛しの妹を。
犠牲にしたとしても構わない。
片割れさえ生きていれば、その結末とその向こう側に辿り着ける。だから、
「私達は、やり直す」
「そして繰り返す」
終わることのない。
繰り返される歴史と結末の中で、ゼロの名を持つ少年少女達はどう生きるのか?
第二話 エンドレス・ナイト
後書き
読んで頂きありがとうございます。
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