避けられない結末
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第三章
「兄貴のもう一人の仇は取れなくて残念だがな」
「元凶は生き残っているからな」
「あいつを成敗してやる」
武松は夜道を共に進む魯智深に話した。
「この俺の手でな」
「そうしろ、雑魚がいたら俺が引き受ける」
「そうしてくれるか」
「ああ、だからな」
「安心してだな」
「仇を取れ、いいな」
「そうさせてもらうな」
武松は魯智深のその言葉に頷いた、そうしてだった。
突き止めた金蓮の家の中に夜中跳び込んだ、そのうえで。
不意に怒った音に驚いて己の部屋から寝間着のまま出て来た金蓮に対してこれ以上はないまでに怒鳴って言った。
「藩金蓮、俺だ!」
「あんた、武松か!」
「そうだ、忘れたとは言わせんぞ!」
「孟州に流されていたんじゃなかったのか!」
「色々あって今じゃ賊の頭よ!」
流された場所でも大暴れして多くの悪漢達を殺した結果だ。
「そして貴様の居場所を突き止めてだ」
「ここに来たってのかい」
「兄貴のこと、忘れたとは言わせんぞ」
武松はこう言ってすぐにだった、金蓮の首を手にしていた刀で切り飛ばし。
身体をずたずたに引き裂いてしまった、そうして魯智深のところに行って言った。
「終わった」
「そうか、じゃあな」
「山に帰ろうな」
こう言って彼と共に山に帰った、後にはずたずたに切り裂かれた鮮血と臓物の中に転がる金蓮の身体と虚ろに前を見ているだけの生首があった。その他には何もなくなってしまっていた。毒も贅沢も愛欲も何もかもが。
武松はその後魯智深や仲間達と共に梁山泊に入った、そうして梁山泊の百八人の豪傑の一人として名を残した、これはその彼が梁山泊に入る前の一幕である。知る者にとっては彼が悪人供を成敗した中の一つだったが金蓮にとっては人生を賭けて失ったものであった。悪人なりに。
避けられない結末 完
2017・12・13
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