ベル・クラネルが魔剣使いなのは間違っているだろうか
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4話
あのあと夕食を摂り、眠りについた。
「う、う…ん」
朝を迎えたベルはそのまま起き上がろうとするが出来なかった。何故なら……。
「ううん、ベルくーん……」
「神様が居たのか」
ヘスティアがベルの胸の辺りを枕にして寝ていたからだ。最初の頃はこんなことをされたときは焦っていたが慣れたのか今ではヘスティアを起こさずに抜け出せるようになった。
(夜中に間違えて入ってきたのかな?)
それとこのベルの鈍感さが原因でもある。
手早く着替えたベルは聞こえるか聞こえないかの声を出す。
「いってきます、神様」
ベルはそのままダンジョンへと向かっていった。
「ベルくんの……鈍感…」
この呟きは本人には聞こえることはなかった。
「さて今日も一日頑張らないと…」
意気込んでいると突然誰かに見られているような気配を感じた。」
「っ!?」
振り向くがそこには誰もいなかった。
「…気のせい?」
改めてダンジョンへと向かおうとすると。
「あのー、これを落としましたよ」
「えっ?魔石だ」
声をかけられ渡されたのは魔石だった。
「昨日、換金は全部済ませてあったはずなんだけど。ありがとうございます」
「こんな朝早くからどこへ行くんですか?」
「えっと、ダンジョンに」
「まあ、冒険者さんだったんですね」
魔石を渡してくれた少女は驚いた表情をした。
「朝早くから大変ですね」
「いえいえ、そんなことは」
くぅぅぅっと可愛らしい音がした。それはベルのお腹の音だった。
(そう言えばまだなにも食べてないっ!)
いつもならもう少し先にある露店で朝食をとっているのだが、今回は少しばかり寝坊してしまっているのだ。
「よければ、これを食べてください」
「え、でもこれはあなたが食べるものなんじゃ」
「私はお店の賄いが出ますから」
彼女の視線の先にはお店があった。
「どうしても気持ちが収まらないと言うのであれば今日のお夕飯に是非お店に来てください。お値段は少ししますが美味しいですから」
「……わかりました。では、これは貰っていきますね」
「はい!では、是非お店に来てくださいね」
こうして不思議な出会いを得て、ベルはダンジョンへと向かった。
「おっと、そうだ。入る前に魔剣を出しておこう」
昨日のミノタウロスとの戦いでナイフは折れてしまっている。しかもベルには今、新しい武器を買う余裕などないのだ。
「魔剣、解放 ソウルコレクター」
喚び出したのは斬ったモノの魂を吸い取る能力を持った魔剣だ。
「昨日と同じナターシャだと見つかる危険性があるからね」
ダンジョンの中で一度あった冒険者に遭遇すると言うことは中々起きないが用心に越したことはないのだ。
「さて、今日は一杯稼がないと」
夕飯をヘスティアと同じ店で過ごしたい(確実に過ごすことになる)ためいつもより長く潜ることにした。
「ベルくん、君まさかまた魔剣を使って潜ってきたね」
ベル・クラネル
Lv.1
力H130→G230
耐久H105→H165
器用H65→140
敏捷H140→G280
魔力G200→F300
「あ、あははは…」
「あははは、じゃないよ!なんだいこの上がり方は!」
「えーっと……トータル400越えです」
「400越えです、じゃないよ!まったくこんなこと他の神々(バカ共)にバレたら大変だよ…」
憤慨しつつも他の神々にバレたときのベルの身を心配するヘスティア。
「げ、元気だしてください。神様、この後僕と一緒に久々に外食にいきませんか?」
「誘いは嬉しいんだけど今日は今からお店の方の食事会にでないといけないんだよ」
「…そうですか」
「まあ、ベルくん一人だけでも行ってきてくれ。ボクだって一人で外食するようなもんだしね」
ヘスティアの話を聞いてベルも納得し、ベルは朝であった女性が働いている店へと向かった。
「豊穣の女主人…」
ベルは中を覗いてみる。そこには多くの女性従業員とまた多くの冒険者がいた。
「来てくれたんですね」
「え、うわっ!」
後ろを向くとそこには朝出会った女性がいた。
(気配をまったく感じなかった……?)
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。私はシル。シル・フローヴァです。気軽にシルと呼んでください」
「僕はベル・クラネルと言います。僕のこともベルと呼んでください。シルさん」
「では中に入りましよう、ベルさん」
シルの案内のもとカウンターへと腰を落とす。
「えーと、なにかオススメとかありますか?」
「そうですね。今日はこのパスタがオススメですよ」
「では、それとなにかサラダみたいのを」
「わかりました。私が持ってきますね♪」
なんであんなに嬉しそうなのか不思議に思ったベルであるが聞く前にシルが厨房の方へときえていってしまった。
そして数分後。
「お待たせしました!こちらパスタとサラダになります♪」
「パスタの量……」
運ばれてきた料理を見てびっくりパスタが山のように盛られていた。
「い、いただきます」
ベルはパスタを一口食べる。
「お、美味しい!美味しいですよ、シルさん!」
「うふふ、気に入ってもらえたようで良かったです」
シルはベルがパスタを頬張るように食べる姿を見て笑みを浮かべていた。
「ご馳走さまです」
「うふふ、凄い食べっぷりでしたよ」
数十分で食べ終えたベルの皿を横に動かす。
「賑やかなところで食べるのは初めてですか?」
「そうですね。昔は師匠と二人で食べることが当たり前でしたから。こう言う賑やかなのものいいですね」
「そうですか。ベルさんはお師匠様といたときはどんな感じだったんですか?」
こうしてシルにベルは師匠と共にした日々を話した。
「予約のお客様、ご来店にゃー」
「!?」
ベルは驚いた。何故なら入ってきたのはベルの魔剣を使用している姿を見たアイズ・ヴァレンシュタインが所属するロキ・ファミリアだったからだ。
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