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大阪のけらけら女

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第三章

「だから注意してね」
「ううん、自分ではそうは思わないですが」
「自覚した方がいいよ」
「そんなものなんですね」
「そうだよ、じゃあ今から西区に行こうね」
 京セラドームの方にというのだ、何はともあれ二人は京セラドームの前に来た、球場に来ると若鷹ファン達が大喜びだった。
「よし、ホークス勝ったな」
「牛を三タテだな」
「それも三試合連続完封二十得点」
「青牛ざまみろ」
「今年も最下位になってろ」
「それでホークス優勝だ」
 こんなことを言っていた、裕子はそんな若鷹ファン達を見て言った。
「ああ、パリーグの試合やってるんですね」
「ソフトバンク対オリックスだね」
「オリックス三連敗したみたいですね」
「ああ、今日負けたら二十連敗だったけれど」
 これがと言う勇五郎だった。
「本当に負けたみたいだね」
「二十連敗ってそうそう出来ないですね」
「そうだね、まあ僕もオリックスはどうでもいいから」
「負けてもですか」
「別にいいよ」
「私もそうですけれどね」
「じゃあ妖怪が出るっていう場所に行こうね」
「確かこの近くで」
「そう、こっちだよ」
 球場の右手を指示してだ、勇五郎は裕子をそちらに連れて行った、そこは結構ビルが多い場所であったが。
 そこに来てだ、裕子は勇五郎にこんなことを言った。
「先輩、駄目ですよ」
「駄目って何が?」
「この近くにホテルあるみたいですが」
 裕子は街の雰囲気からこのことを感じていた。
「私を連れ込んだら駄目ですよ」
「だからお金ないって言ってるよね」
 ホテル代がないというのだ。
「たこ焼きも買えないのに」
「それでもですよ。私が可愛くてムラムラときてですよ」
「それでホテルになんだ」
「そんなことしたら駄目ですよ」
「しないよ。女の子は大事にしないと」
「あれっ、先輩紳士なんですね」
「というか変なことをしたら」
 それはというのだ。
「駄目だから」
「ううん、先輩って真面目なんですね」
「真面目も何もね」
 それこそと言う勇五郎だった。
「常識じゃないかな」
「常識ですか」
「そんなこと普通はしないよ」
 それはというのだ。
「理性があったらね」
「先輩は野獣じゃないんですね」
「僕が?」
「私が美女で先輩が野獣で」
 また笑って言う裕子だった。
「それで、ですが」
「全然違うから。とにかくね」
「私を連れ込むことはしないですか」
「また言うけれどしないから」
 それは絶対にとだ、勇五郎はまた言った。
「そんなことはね」
「そうですか。まあ私もそうした経験ないですし」
 さらっとだ、裕子は自分の言わなくていいことを言った。
「先輩は嫌いじゃないですがタイプじゃないですし」
「また普通に凄いこと言うね」
「そうですか?」
「そうだよ。じゃあ僕は三森さんにとって何なんだよ」
「先輩ですよ」
 この呼び名の通りだというのだ。
「先輩は先輩ですよ」
「彼氏とか友達じゃなくてだね」
「先輩ですよ。しかもボディーガードもしてくれる」
 柔道二段なので頼りになる、というのだ。
「まあロシアの大統領には負けると思いますが」
「あの大統領はまた別格だよ」
 元KGBでしかも柔道だけでなくコマンドサンボや暗殺格闘術も身に着けているという。その強さは世界の国家元首で最強と言われている。 
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