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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第九幕その三

「それはわかるよね」
「凄くね」
「だから今僕達も凄く清らかな気持ちになってるよ」
「ここでずっと修行すれば」
「そうなれるかもってね」
「そうだね、それはね」
 まさにというのです。
「それだけこの高野山が修行に向いている場所なんだ」
「そういうことだね」
「そしてここでしっかり修行すれば」
「解脱も夢じゃないのね」
「そうした場所なのね」
「そうだよ、ただ解脱はね」
 このことにはこう言った先生でした。
「やっぱり凄く難しいよ」
「そうだよね」
「仏教の最大の目的だしね」
「だからね」
「凄く難しいんだね」
「そうだよ、そうそう簡単には出来ないよ」
 先生はキリスト教徒ですがこのこともわかっています、やっぱり仏教のことも学んでいるだけはあります。
「それはね、けれど何度も輪廻転生しているうちにね」
「解脱を目指すんだね」
「何度も何度も生まれ変わって」
「そのうえで」
「そうだよ、そしてね」 
 そのうえでというのです。
「その何度も生まれ変わる中でのことだからね」
「いや、長いね」
「じゃあ私達も仏教徒ならね」
「解脱を目指すの」
「そうなるんだね」
「そうした考えだね、キリスト教徒は全然違うからね」
 その宗教観がというのです。
「僕も学んでいて実感しているよ」
「そのことをだね」
「本当に何もかもが違うことを」
「キリスト教と仏教は違う」
「そのことを」
「そうなんだ、勿論仏教以外の宗教も同じだよ」
 キリスト教とは全く違うことをです。
「このことはね」
「そしてその違いを認めてだね」
「学ぶことだね」
「そのことが大事なのね」
「偏見なく」
「それが大事だよ、だから今もね」
 不動堂、その古く歴史を感じさせる建物を見つつ思った先生でした。
「よく見て回ろうね」
「フィールドワークをしようね」
「じっくりと」
「そして学んでいこうね」
「今もね」
「是非ね、しかし不動堂というと」
 先生は建物の名前から言いました。
「不動明王を思い出すね」
「仏教でも重要な仏ですね」
 トミーは不動明王と聞いて先生に尋ねました。
「そうでしたね」
「そう、密教で最高位の仏とされる大日如来の化身でもあるよ」
「大日如来が憤怒した」
「その姿でもあるんだ」
 それが不動明王だというのです。
「あらゆる魔を倒して怒りの炎で浄化するね」
「そうした仏ですね」
「明王は戦う仏でね」
 そしてというのです。
「その明王の中でも一番強く位も高いんだ」
「それが不動明王ですね」
「仏教の仏の中で一番強いかな」
「そこまでなんですか」
「他の明王や四天王、八部衆も強いけれどね」
 それでもというのです。
「不動明王は一番強いかもね」
「大日如来の別の姿だけあって」
「そう、十二天も強いけれど」
 それ以上にというのです。 
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