レーヴァティン
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第五十五話 歌での戦いその五
「竪琴もな」
「そうなのね、けれど座っているだけで」
今馬の背にというのだ。
「辛いわ」
「そんなにか」
「落ちるかどうか不安で」
「本当に馬に慣れてないんだな」
「だから殆どはじめてなのよ」
乗馬自体がというのだ。
「これまで歩いたり船で移動していたから」
「本当にはじめてか」
「これだけの距離を馬で移動するのはね」
それこそと言うのだった。
「だから不安よ」
「鞍はしっかりしてるし鐙にも足入れてるじゃない」
源三がその清音に言ってきた。
「それで手綱も持ってるからね」
「大丈夫だっていうの?」
「というかそれなら殆ど落馬しないよ」
馬具に身体を預けているならというのだ。
「普通に乗っていたらね」
「そうかしら」
「鞍に座ってから腰が安定するし」
まずはそうなってというのだ。
「鐙に足が入ってひっくり返ったりしなくなるし手綱でね」
「バランスも保てるのね」
「そこまで揃ってるとね」
「大丈夫なのね」
「そうだよ」
こう清音に話した。
「何の心配もいらないよ」
「だといいけれど」
「昔はそうした馬具全部なかったしね」
「それでどうして乗ってたのよ」
「だから馬の背中にそのままだよ」
それこそとだ、源三は清音にあっさりとした口調で答えた。
「乗って動いて戦ってもいたんだよ」
「馬の背中にそのままだったの」
「鞍もなかったからね」
「鞍がなかったら」
それこそとだ、清音は今自分が座っている鞍に腰をしっかりと下ろしたままで眉を曇らせてこう言った。
「安定しないし馬の背中で滑って」
「落馬するよね」
「そこに鐙もなかったら」
「足もぶらんぶらんしてね」
「そのことでも落馬するわよ」
それこそとだ、清音は源三に言った。
「おまけに手綱までないと」
「腕でもバランス取れなくて馬も制御出来なくてね」
「どうして乗ってたのよ」
「だから昔は乗馬は凄く難しかったんだよ」
今、つまりこの島での自分達のそれよりもというのだ。
「特技と言っていい位にね」
「特別な技能だったの」
「さっき正が馬に乗りつつ弓矢使えるって言ってたじゃない」
「正直凄いと思うわ」
「三国志の董卓はね」
「ああ、あの女好きで残忍でやりたい放題の奴ね」
清音は董卓をそうした者だと思っているのだ、尚この董卓の姿は史実でもあるが演義の影響の方が大きいらしい。
「あの悪党ね」
「確かに董卓は悪党だったみたいだけれど強かったんだよ」
「そういえば戦いには強いわね」
「ゲームでもね、腕力も強くて馬もね」
「乗れたのね」
「しかもかなり上手で」
その乗馬がというのだ。
「馬の左右に矢筒を置いてね」
「矢をそこにそれぞれ置いて」
「矢を放っていたの」
「両利きだったから交互に左右に放てたんだよ」
その矢をいうのだ。
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