レーヴァティン
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第五十五話 歌での戦いその一
第五十五話 歌での戦い
久志達は水の都ヴェネツィアを出てその次の目的地であるミラノに向けて出発した、そうしてヴェネツィアを出た時にだ。
久志はヴェネツィアの方を振り返ってこんなことを言った。
「また行きたいな」
「いい街だったからな」
芳直もこう言いつつヴェネツィアの方を見ている。
「機会があればな」
「また街の中でな」
「遊びたいな」
「そう思うな」
「その気持ちわかるぜ、寒いよりもな」
それよりもと言うのだった。
「暖かい方がいいからな」
「北は大変だったんだな」
「そうだよ、寒いってのはな」
「それだけでか」
「厳しいんだよ」
環境として過酷なものになるというのだ。
「だからヴェネツィアとかこうした街はな」
「いい場所でか」
「また行きたいな」
「そうだよな」
「全くでござる、騎士団領と比べても」
進太はむしろ二人よりも強い憧れで以て話した。
「この地域は素晴らしいでござるからな」
「ああ、じゃあやっぱりな」
「拠点を置くならここか」
「ここに拠点を置いて一気に勢力を固めて」
「それから統一か」
「その際は」
進太は久志に鋭い目になって述べた。
「拙者達騎士もでござる」
「力を貸してくれるんだな」
「団長殿ともお話をしたいでござる」
勢力を立ち上げたその時はというのだ。
「この島、ひいては世界を救う為に」
「頼むぜ、味方はやっぱりな」
「多いに越したことはないでござるな」
「ああ、それこそな」
「味方、即ち兵は」
「多いのが一番だぜ」
まさにというのだ。
「だからな」
「では旗揚げの時は」
「騎士団自体とも話をするか」
「そうすべきでござる」
「そうだよな」
「兵は多く、そして」
「確かな兵だな」
ただ数を揃えるだけでなくというのだ。
「質のいい」
「はい、数を集めてもごでざる」
「ならず者とかじゃな」
「質は悪く」
そしてというのだ。
「命令を聞かないのなら」
「それならか」
「意味はないでござる」
「そうだな、戦場で逃げて略奪ばかりする兵隊とかな」
それこそというのだ。
「いるだけ害だしな」
「だからでござる」
「数だけじゃないか」
「質もでござる」
これも大事だというのだ。
「どうしても必要でござる」
「じゃああれか、最初から質のいい奴を兵隊にして」
「さらにでござる」
「その兵隊を鍛えるんだな」
「訓練、そして規律も叩き込み」
「騎士団みたいにか」
「多くの騎士団はそうでござるな」
「ああ、規律もいいな」
ただ強いだけでなくだ、騎士団には独自の規律がありそれを守ることも絶対の義務とされているのだ。
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