夢幻水滸伝
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第五十一話 東国からの使者その八
「三十位には」
「結婚ですね」
「あと十数年先です」
「何か想像出来ません」
「もう結婚出来る年齢ですけれど」
彼等の起きている時の世界ではというのだ。
「どうにも」
「結婚して子供育てるとか」
「まだまだです」
「想像の範疇外ですわ」
「そうやね、こうした世界におる方がまだ」
綾乃は首を傾げさせた、肩凝りはなく湯舟の中でもそうしたものが癒される感覚はなかった。
「想像出来るもんやね」
「うち等が赤ちゃん産むとか」
「ちょっとないですね」
「これ弥生ちゃんも玲子さんもでしょうか」
「他の娘達も」
「そやろね。ほんまに結婚とかは」
どうにもだった、幾ら話しても。
「想像しにくいわ」
「まだまだ」
「遥か先のお話で」
四人も応える、こうした話もしてだった。
四人は関西の陣営に日本を統一してからも留まることになった。そうして風呂場でのその話が終わってだった。
綾乃は四人と共に風呂から出るとだ、男湯の方から中里と芥川も出て来たところだった。それで二人に声をかけた。
「自分等もやったんやね」
「ああ、お風呂入ってな」
「すっきりしてきたわ」
二人は綾乃に実際にかなりすっきりしている顔で話した。
「起きたら二日酔いで死にそうやったけど」
「何とかお風呂場まで二人で支えながら入ったわ」
激しい頭痛と身体のだるさと戦いつつだ、まずはそうしたというのだ。
「それでな」
「服脱いで身体軽く洗ってからや」
「サウナに入ってしこたま汗かいて」
「それで水風呂に入るのを二回繰り返したわ」
まずはそうしたというのだ。
「そうしたらな」
「何とか酒抜けてや」
「後は湯舟とか入って」
「それで完全復活してきたわ」
「そうやったんやね、どうも二日酔いが酷過ぎて」
綾乃は二日酔いの経験はない、あまりにも酒が強くそうした経験をしたことが一度たりともないのだ。
「鍛錬もやね」
「それはこれからや」
「後でするわ」
二人の戦う者としての日課のそれはというのだ。
「それどころやなかった」
「とてもな」
「まずは復活が大事やった」
「それでお風呂に入ってん」
「そやってんね、とにかくお風呂でお酒抜いたんやね」
「そや」
「やっぱり二日酔いにはお風呂や」
二人は綾乃にすっきりした顔で答えた。
「ほんまにな」
「これで今日は無事に動けるわ、それでな」
芥川は綾乃と共にいる傭兵の四人を見た、四人共綾乃の後ろで浴衣姿でいる。まさに風呂上りという感じだ。
「その連中とは」
「うん、しっかりとやで」
綾乃は芥川ににこりと笑って答えた。
「お話して日本を統一してからもな」
「うちに留まるか」
「そうなったで」
「よし、これでや」
綾乃のその話を聞いて言う芥川だった。
「戦力がまた整うわ」
「そやな、この連中も星のモンやしな」
中里も言った。
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