首はなくても
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第一章
首はなくても
フェーミネス=ケリーはデュラハンだ、デュラハンは首が肩と肩の間にはなく小脇に抱えているものだ。尚ちゃんと然るべき場所に置くことも出来る。
だが今フェーミネスは頭を失っている、それで周りの妖精達に首を傾げさせつつこう言うのだった。
「私首何処にやったのかしら」
「それわからないの?」
「どうしても」
「自分では」
「首を何処にやったのか」
「わからないの」
「そうなの」
こう仲間達に言う、身体は小柄な身体を白いドレスで包んでいる。履いているヒールは銀のものである。
「これがね」
「それでその首どんな首?」
「一体ね」
「その首がどんな首かわかったら探しやすいけれど」
「首だけだと只でさえ目立つけれど」
「どんな首かわかったら余計に探しやすいから」
「ちょっと言って」
どんな首かとだ、妖精達はフェーミネスに尋ねた。
「それでね」
「どんな首なのよ」
「一体ね」
「どんな首?」
「金髪の長いツインテールよ」
フェーミネスは皆に右手の人差し指を立たせて話した。
「目は青、もう美少女よ」
「いや、自分で言う?」
「自分で言うのはどうかな」
「自分で自分を美少女とか」
「それはどうかしら」
「私嘘言ってないわよ」
フェーミネスは首のない状態で一同に話した。
「妖精の神々に誓ってね」
「それ本当?」
「本当かしら」
「美少女って」
「本当にそうかしら」
「そうよ、美少女の首だけだから」
それ故にというのだ。
「絶対に見付けやすいわよ」
「だといいけれどね」
「じゃあ金髪のツインテールの首ね」
「目は青」
「それで自称美少女ってことね」
「自称じゃなくて本当にそうよ」
そこは力説するフェーミネスだった。
「だから一緒に探してね、お礼はちゃんとするから」
「お礼何?」
「それで何なの?」
「美少女の投げキッスよ」
見付けた首でのというのだ。
「それするから」
「直接のキスじゃないんだ」
「せめて魚の鱚だったらいいのに」
「日本で食べるっていう」
「あのお魚だったら」
「じゃあ皆にジャガイモ料理ご馳走するわよ」
アイルランド名物のこれをというのだ。
「それでいいわね」
「まあそれならね」
「是非探させてもらうよ」
「ジャガイモは美味しいから」
「それじゃあね」
仲間の妖精達もここでやっと納得した、そうしてだった。
皆でフェーミネスの首を探しはじめた、金髪ツインテールに目は青そして自称美少女のその首をだ。すると。
何と妖精達のサッカーグラウンドの横にある倉庫の中にサッカーボールと共にあった、ピクシーが持って来たその頭を見てだった。
フェーミネスはその首を指差してこう言った。
「そう、この首がね」
「フェーミネスの首だね」
「そうなんだね」
「そうよ、その首よ」
こう皆にも言うのだった、首のない身体で。
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