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銀髪の薬売り

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第三章

「構わないです」
「そうなのかい」
「それだけでお願いします。あとです」
「あと?」
「お礼もいいです」
 それもというのだった。
「別に」
「いいのかい」
「はい、私は薬売りです」
 だからだというのだ。
「薬を出して人を助けることは当然です」
「だからだというんだ」
「そうです、私は助けられませんでした」 
 兄のことを言うのだった。
「そうした人間ですから」
「お礼はなんだ」
「構わないです」
「それは幾ら何でも」
「いえ、事実ですから」
 兄を助けられなかったことはとだ、クレアミアは思い出しつつ言うのだった。そして次の依頼主のところに向かったが。
 役人はその彼女について後日神父に話した。
「しかし」
「しかしとは」
「あの娘の心の傷は深いですね」
「そうですね、報酬のことはともかく」
「お礼をいいと言うことは」
 このことから言うのだった。
「そのことで思いました」
「そうですね、ですが」
「それでもですか」
「出来ればです」
 役人は神父に深く考える顔で話した。
「その心の傷が出来るだけです」
「癒されることをですね」
「願っていますが」 
「しかし心の傷は」
「お薬ではですね」
「癒されない、困ったことですね。ですが」
 ここで神父は役人に話した。した。
「そのことは我々が彼女と共にいて話を聞いて」
「前向きになる様にですか」
「していき」
 そしてというのだ。
「癒していきましょう」
「そうですね、それがいいですね」
 役人も神父のその言葉に頷いた、そのうえで言った。
「では私達は」
「これからは」
「彼女の心を癒していきましょう」
「身体を治してくれる彼女を」
 二人で言ってだ、実際にクレアミアの心を癒そうと誓いその通りにしていった。人の身体を癒してくれる彼女の傷ついた心を。
 その結果だった、一年経ってクラアミアは少し笑う様になった。それを見てそうして二人でさらに彼女の心を癒していこうとさらに誓うのだった。


銀髪の薬売り   完


                 2018・5・19 
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