料理を食う資格
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第二章
「ああしてな」
「あの親父の態度も酷いけれどな」
「完全にふんぞり返っていて」
「一体何様だよ」
「周りの男も女も態度悪いな」
「ここはヤクザの溜まり場じゃないのに」
「ちゃんとしたレストランなのに」
周りをねめ回しながら居丈高に入店してきて案内役の店員達にも傲慢な態度だ、その彼等を見てだった。
レアンドラは調理をはじめた、その料理は。
この国の郷土料理のオーソドックスなものだった、それを何品も大量に作って連中がふんぞり返って座っているテーブルに出させた。
すると彼等は皿を持って来たウェイターやウェイトレス達にすごんできた。
「まずいもの出したらわかってるよな」
「記事に書いてやるからな」
「そうしたら日本での評判ガタ落ちだぞ」
「俺達は偉いマスコミ関係者様なんだぞ」
「だから俺達には一番いいもの食わせろ」
「金はあるんだ」
この国の紙幣を札束で投げ出してみせた。
「これで店で一番いいもの出せ」
「領収書用意しとけ」
「だからさっさと料理出せ」
「遅れたら承知しねえからな」
こんな態度だった、挙句に美人のウェイトレスにはセクハラさえしようとしていた。まさに傍若無人である。
その彼等にだ、レアンドラは自分の料理を出した。すると彼等は思わず唸ったが。
デザートまで食べ終えたところでだ、この連中はだった。
身体を激しく痙攣させてだ、そのうえで。
服を一斉に脱ぎだして全裸になって店の外に飛び出て暴れだした、するとすぐに警察が来て全員捕まえ。
この件とこの国での一連の人としてあるまじき行為が取り調べの中で露見し日本のネットにも伝わった、すると日本のネット界で忽ち大炎上し。
「死ね!」
「また毎朝か!」
「こいつ等本当に屑だな!」
「まともに飯食えねえのか!」
「何処のヤクザだ!」
「そのまま日本に帰って来るな!」
「毎朝潰れろ!」
「一体幾つ不祥事起こすんだ!」
毎朝新聞と刑事が所属している警察署の前にデモ隊が来て大々的な抗議デモが行われた。陶芸家の作品は国宝級から一気に一個一円レベルにまでその価値が下落した。
関係者は全員懲戒免職となりついでに住所等もネットで晒され自宅にまでデモ隊が来て抗議の電話も鳴り響き日本で完全に社会的に抹殺された。こうして邪悪は成敗された。
レアンドラはその報道を祖国で聞いて笑ってだ、こう言った。
「悪は成敗したわ」
「これで迷惑を受けた人達も浮かばれるか?」
彼女と親しいこの件を教えた兵士が応えた。今は二人で王宮の喫茶店でお茶を飲んでいる。休憩時間の中で。
「そうなったか?」
「そうね、もうこれでね」
「あの日本の記者連中は終わったみたいだな」
「ええ、ハッピーエンドよ」
「全くだな、しかしな」
ここで兵士はレアンドラに尋ねた。
「あの連中急に店で服脱いで外に飛び出て暴れたな」
「ああ、あのことね」
「あれはどうしてなんだ?」
「どうしてってあれよ」
レアンドラは兵士に笑って話した。
「お料理の中に興奮剤仕込んでおいたのよ」
「ああなるやつをか」
「そう、厳密に言うと香辛料でね」
興奮剤でなく、というのだ。
「アマゾンまで伝説の姪魚を探しに出た時に偶然見つけたものなのよ」
「アマゾンでか」
「お料理の味を凄く引き出してくれるけれど」
「ああしてか」
「そう、一摘みお料理に入れただけでね」
「ああいう風にか」
「極端な興奮状態にしてしまうのよ」
そうした香辛料だというのだ。
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