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レーヴァティン

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第五十四話 吟遊詩人その八

「このブーツもね」
「裏が毛とか」
「そうよ、それで靴下も生地が厚いわ」
「靴下もそうしてるんだ」
「足から冷えるし」
 身体が冷えるのは、というのだ。
「だからね」
「そこもなんだね」
「ちゃんとしてるの」
「凄いね」
「だからここまでしないとね」
「冷えるんだね」
「そうよ」
 こう輪すのだった。
「また言うけれど何かと大変なのよ」
「冷え性は」
「特にこの島は全体的に日本より気温が低し」
「そういえばそうだね」
 源三は清音の今の言葉に頷いてそのうえで言った。
「このヴェネツィアだってね」
「結構気温は低いでしょ」
「日本と比べたらね」
「特に冬はそうね」
「大抵の場所で雪が降るよ」
 北だけでなくだ。
「そうなるよ」
「だからね」
「余計にだね」
「冷えることには気をつけてるの」
「ううん、君も大変だね」
「女は大変なのよ」
 ここでは笑ってこう言う清音だった。
「何かとね」
「冷え性以外にも」
「色々あるから」
「女の人はそうなんだ」
「ええ、まあとにかくね」
「冷え性にはだね」
「気をつけてるわ」
 リュウマチになりかけたこともあってというのだ。
「本当にね」
「それは起きた時にもだよね」
「勿論よ、もうミニスカートなんかは」
「穿かないんだ」
「服に素足とかね」
 それこそという言葉だった。
「しないわよ」
「僕ミニスカート好きなんだけれど」
 源三は自分の好みも話に出した。
「ああした服もね」
「露出が多い服ってこと?」
「いやらしい話になるけれど」
「本能に忠実と言うべきかしら、けれどね」
「冬はだね」
「ミニスカート穿くならタイツもよ」
 こちらも合わせてというのだ。
「穿かないと」
「とてもなんだ」
「最低でもストッキング重ね穿きよ」
「何か夢がないね」
「夏でもクーラーで冷えたりするから」
 暑い筈のこの季節でもというのだ。
「用心が必要よ」
「冷え性って大変だね」
「そうよ、夢がないでしょ」
「ないね」
 きっぱりとだ、源三は清音に素直な口調で答えた。
「現実は」
「こっちの島の女の人は皆露出少ない服でしょ」
「戦士の娘達だってね、女戦士っていうと」
 ここでこう言った源三だった。 
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