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外伝・少年少女の戦極時代

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デューク&ナックル編
  黒い悟りの根元にて ②


『はあぁ!』
『ふん――!』

 斬月が揮った無双セイバーを、セイヴァーは黒いソニックアローで受け止めて、マゼンタの大橙丸で逆に斬月に斬りつけた。斬月は小玉スイカを模した盾で大橙丸を防いだ。

 ウォーターメロンアームズはガトリング砲を本領とするが、手榴弾を主武装とする月花を相方にするなら、ウォーターメロンガトリングと無双セイバーとして使ったほうがバランスを取れる。斬月自身、盾と剣のバトルスタイルのほうが慣れている。

 似通った攻防が4度に渡った時、斬月とセイヴァーの周りで小爆発がいくつも起こった。月花の投げたDFボムだ。

『紘汰くんがどんなキモチでいたかも知らないくせに……! 紘汰くんがどんだけ悩んだか知らないくせにッ!』

 ……普段なら微笑ましい少女の純情は、変身中はDFボムの大量投下という行動で発露する。
 しかも厄介なことに、「斬月なら避けられるから」という有難くない信頼によって、斬月も爆破射程に入っていたりする。

『それを「見捨てた」とか、絶対、ゆるしてなんかあげない!!』

 二度目のDFボムの乱れ撃ちを、セイヴァーは黒いソニックアローから放った光矢で誘爆させて相殺した。

『だったら――!』

 月花はDFバトンを繋いでロッドにして、前衛に飛び出た。

 斬月は月花がDFロッドでセイヴァーに挑むタイミングを計り、月花と合わせて無双セイバーを突き出した。両者共に近接格闘からの交替での攻撃。

 だが――

『あなたたちでは及ばない』

 前後からの挟撃に持ち込んだ斬月と月花を、これを待っていたといわんばかりに、セイヴァーは回転しながらのディメンションアタックで吹き飛ばした。

『きゃう!』
『く……っ』

 斬月と月花はそれぞれに屋上のコンクリートに叩きつけられた。

 やはり、狗道供界は強い。
 過去に凌馬と二人がかりでどうにか押し切ったほどの難敵だ。
 純粋な斬撃ではメロンアームズに劣る今の斬月と、変身しているとはいえ女子中学生の膂力しかない月花では、決定打に欠けた。


 コンクリートに転がった自分たちの内、セイヴァーが先に狙ったのは月花のほうだった。

 セイヴァーは黒いソニックアローの先に月花を捉えてストリングを引く。

『あなたたちの戦いをずっと見守ってきた。あなたたちのやり方は手に取るようにわかる。私が近づけば、あなたは自爆してでも私を倒そうとすることも』
『……ったりまえでしょ。あたしは全ビートライダーズ代表してここにいるのよ。あんたの救済もなにも知ったこっちゃない。ビートライダーズ、ナメないでくれる?』
『それが強がりであることも私は知っている。だからやはり私はこうしよう』

 セイヴァーがストリングから手を離した。

 黒いソニックアローに撓められた紅い光矢が月花へと奔る。
 月花はDFバトンを交差させて直撃こそまぬがれたが、余波で大きく後ろへ吹き飛ばされて落下防止柵にしたたか背中をぶつけた。

『室井君ッ!』

 咲の変身が強制解除された。
 それだけに留まらない。古くなった柵は咲がぶつかった衝撃で千切れた。
 柵が全壊する前に、咲が無事な鉄柵に掴まったからよかったものの、あれでは地上への落下は時間の問題だ。

 ――零した涙声は、彼女にとって無意識のものだっただろう。


「紘汰、くん……っ」


 ――その名を、彼女の口から聞いて、転がったままでいるなど斬月にできるわけがない。

『ぐ……ぉぉおおおおッッ!!』

 斬月はろくに受身もとれない姿勢から、ウォーターメロンガトリングを全力でセイヴァーへ斉射した。
 これに対して、セイヴァーは黒いソニックアローを薙いで生じた紅いソニックブームで、銃撃を相殺した。
 足止めにしかならない。咲に駆け寄って彼女を引き上げる隙がない――


 屋上のドアが蝶番を壊さんばかりの勢いで開いた。





 二人の男が屋上に出て来た。男たちは両方ともが腹に量産型ドライバーを装着していた。

「「変身!!」」
《 ~♪  クルミアームズ  Mister Knuckle-man 》《 ミックス  ジンバーマロン  ハハーッ 》
《 カモン  バナナアームズ  Knight of Spear 》

 ――チームバロンのリーダー、ナックル。
 ――元チームネオ・バロンのリーダー、ブラックバロン。

 まさしくヒーローの登場タイミング。

 まだ入院中であるはずの男二人は、ケガなど歯牙にもかけないキレのある動きで変身を完了した。 
 

 
後書き
 最後に戒斗だと思った皆さん、誠に申し訳ありません。シュラでした。
 作者、シュラさんみたいなキャラに弱いみたいです。
 実際ただの小悪党ってわけでもないように思うんですよ、シュラ。 
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