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真田十勇士

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巻ノ百三十六 堺の南でその十四

「そうなるわ」
「ですか、やはり」
「ではここは」
「何としても勝ちましょうぞ」
「我等の意地にかけて」
「その為の策もある、そしてその策の為に」
 さらに言う幸村だった。
「お主達にも頑張ってもらう、さらにな」
「さらに?」
「さらにといいますと」
「実は後藤殿とお話をしてな」
 彼と、というのだ。
「協力して頂けることになった」
「後藤殿ですか」
「あの方にもですか」
「協力して頂いて」
「そのうえで、ですか」
「戦ってな」
 そしてというのだ。
「勝つぞ」
「わかり申した」
「ではです」
「我等と後藤殿が」
「共に力を合わせて」
「大御所殿を倒すのですな」
「そうじゃ、後藤殿とお会い出来ねば」
 幸村は彼のことも話した。
「とてもな」
「こうしたことはですな」
「考えられなかった」
「そうですか」
「必勝の策も」
「よくお主達と会えて」
 そしてというのだった。
「後藤殿にもお会い出来たわ」
「天下の豪傑であるあの方と」
「そうですか」
「まさにな」
 そしてその為にというのだ。
「ことを為せる可能性が出て来たわ」
「ではですな」
「今度はですな」
「その可能性を高める」
「非常にですな」
「そのつもりじゃ」
 まさにと言ってだ、そしてだった。
 幸村はその僅かな可能性を高めんと考えていた、それは今は僅かでも彼は全てを賭けるつもりであった。


巻ノ百三十六   完


               2017・12・26 
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