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妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)

作者:貝殻
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第9話 森に佇む化物

 
前書き
オリジナル回だからこそできること…限界があるがな(白目)

多分後2話で終わります。では、9話をどうぞ! 

 
「それで、聖十大魔道の1人に鍛えられて、ここ数ヶ月は居なかったってことかヨ?」

ラクサスからの質問に首を頷けて答える。さて、何やら不機嫌そうな雰囲気だが、別にラクサスは怒っているわけではない。はず


「やってほしい依頼があったようで、今のオレの強さじゃ危ういからそのクエストに挑めるくらいまで鍛えてようとしてたんだよ。ウォーロッドさんは」

「ほう、んで?満足の行く結果だったのか?」

「ダメだったよぉ…。」


前回の事を思い出して、軽く気持ちが沈んだ。なにせ期待していたとこまでには届かなかったからだ。

本当ならその期待に答えるまで鍛えればいいんじゃね?とウォーロッドさんに聞いてみたが、本人からは


『サイヤ人は実戦から更に強くなる。ならば君をここで鍛え続けるより他にクエストで闘うことのほうがこれからの為になるからじゃ。』

「そのかわりにクエストに出る時は討伐系とか決闘的なやつな?と宿題を出されてしまった」

「なんだよ、お前のことよく解ってんじゃねえか」

まぁオレじゃなくてサイヤ人だがな、とオレは久しぶりの親友との会話を楽しむ。
やはり妖精の尻尾の方が落ち着くな。ウォーロッドさんも同じギルドの大先輩でいい人だったからそこまで気を張り詰めなかったが、やはり実家(妖精の尻尾)にいる方が落ち着く。
自然も気持ちよくてよかったけど、森の夜空なんて綺麗すぎてその日夜で寝てしまった…。

「だけど強くなったってことだろ?どうよ、この後一発やんねえか?」

そうオレに挑発な笑みを浮かべて親指と人差し指に雷を走らせるラクサス。
それはそれでいいな、数ヶ月ぶりにラクサスとの手合わせ…それにオレだけじゃなくてラクサスも強くなったことを目で見てわかった。以前より筋肉が付けていて少し肩周りが大きくなっている。
…筋肉質か、これはオレも負けられない(脳筋)


「んじゃ、約束のクエストを終わらせた後にやるか?」

「それでいいぜ。前にも言ったが、ウォーミングアップにはいいしな」


S級クエストをウォーミングアップとな?大物だが、想像よりキツイぞ?今のオレでもキツイと思う。
なにせ、最初の頃はボロボロになったし…帰ってきた時にラクサスも見たはずだから知っていると思うが…まぁラクサスも強くなっている。オレと同等なのは昔から変わらないな。

サイヤ人と成長率が同じとか、お前どこに行く気だ…?と周りの皆から言われた時のラクサスは何故か自慢げだったな、と前に振り返ってたらラクサスが「早く行こうぜ」と急がしてくる。


「まぁ待てよ、さっき帰ってきたばっかだからまた明日にしようぜ?これから暫く予定ないし、休みたいしな」

「…仕方ねえ、けど前みてぇにいきなりいなくなんなよ」

「アレはウォーロッドさんに無理矢理に連れて行かれたんだよ…」

あの植物ジェットコースター体験…凄かったなほんと。あの人に手合わせしていたが、マジモンの化物なんじゃないのだろうか。前に共闘したブランも相当強かったし…、やっぱり世界って広いと実感する。


「やっぱり世界って広いよなぁ…」

「あ?なんだいきなり」

「ああ、いやさ、この前共闘した人や、ウォーロッドさんを思い出すとさ、ギルダーツだけじゃなくてこの世界には沢山の強者が居るのな、って実感して…」

修行中にもウォーロッドさんは自分より強いやつはわんさかいる、と言われたし、このフィオーレから一旦出て旅して強くなるのも手かもしれないのだろうか。

「…なぁに、オレたちもその強者たちより強くなるだろうぜ。今のオレ達は成長段階だが、限界があったとしても壊せばいい」

 とんでもないことを平気そうに言うラクサスにびっくりする。
 だが、それもそうだ。オレたちはまだ強くなれる、今は終点じゃないし、まだまだ上へ目指せる。

「なら、まずはギルダーツより強くならなくちゃならねえか」

「…おっ、そだな」

あのクラッシュ魔法には未だ苦労するが、強くなってギルダーツ本人にも勝てなくてはならないのなら、まずは破壊しきれない程の力を身につけるか、突破口を探すしかないだろう。オレは前者だが(脳筋2)


「んだとー!?オレのほうが強ええええ!!!」

「寝言は寝てから言えクソ炎!!相性的にこっちが強え!!」

騒ぎが聞こえたのでそちらにラクサスと目線を移すと、またいつもの光景。
上半身裸な裸族(グレイ)と、マフラーを付けたナツがまた喧嘩をしている。

そこを少し離れた所に、いつもの少年たちが喧嘩を繰り広げ、そしてこの後に紅髪を一つの三つ編みにした少女、エルザが止めるだろうと予想し、そして的中する。

エルザが止めても尚、愚痴する二人の少年に対してエルザが威圧気味に睨む。

そして、その様子から白い髪の少女、ミラが喧嘩を売り、第二ラウンドの喧嘩へと幕開けになった。



「相変わらずだなぁ…」

「ああ、そうだな…」

いつも喧嘩してはいるが、喧嘩するほど仲がいいという言葉がある。なら、今でも喧嘩している彼彼女らは仲がいいってことだろう…。


「あ、魔法しようとしてないかアレ」

「…まだジジイの悲鳴を聞くことになりそうだな」

止めたほうがいいだろうけど…まだ疲れて体をうまく動かせないので無理だな(棒)



軽くギルドの品物が壊れたりして、マスターが涙目になったというのは余談だったりする――――



















◆◆◆◆◆◆









マスター涙目の出来事の次の日、オレは今ラクサスとクエストに行っている。

いつもどおりのS級クエストであり、難関なクエストだ。

何が難関だ、というのなら一つだ。そのクエストの内容はこう記されている。


【森の奥に存する化物を討伐してほしい】

報酬は1000万Jになっているということはそれほど追い出してほしいということだろう。
依頼主はドグゼリ渓谷の近くにある会社で立ち上げている社長らしく、重力室を作ろうと計画を練っている会社。会社名は重力部屋(グラビティルーム)
重力室というのは、その部屋で好きな重力を設定して魔道士やハンター、騎士たちに鍛えさせるために今作られているらしい。

前からオレもそれで修行がしたくて、もし体験ができる機会があったら是非応募する。

ラクサスもオレから知っているのか、その部屋でオレと同じ様に鍛えたいとよく互いに話し合った。

その会社を魔道士ギルドやハンターギルド、評議員や王国が支援する程であり、もし失敗したら高い借金が出ることが確実な所だが…成功したら沢山の人達に使われることに違いない。特にオレが使いたい。

この依頼を見つけた時はすぐにこの仕事をとった。
だが、どうやらうちのギルドだけじゃなく、他のギルドにも依頼を出している様だ。
S級クエストということであって、報酬も高いからS級魔道士の者なら出るのは当然とのこと。

だが、S級ということは楽な仕事ではない。現にも死人が出かけたという情報があった。
その依頼を受けた魔道士はまだ帰っていないらしく、連絡も付かない。

そのクエストに出るということはどれ程危険なのか、マスターにもこれを受ける前に確認された。
本当ならギルダーツを出したいと言っていたが…当の本人はまだ10年クエストに行って帰ってきていない。今から呼んだら危ういかもしれないとのことで呼んでいない。

だから、マスターがオレとラクサスが行く時には本当に注意された。

『命の危険を感じたらすぐに退避するんだ。何があっても無茶だけは止すんじゃぞ。ダメだったらすぐに帰ってくるんじゃ』

会社ということもあって、もし何があったら危険だ。ならばこのまま10年と待っていたら悪影響になるかもしれないということで聖十大魔道も出向かせようとするみたいだ

…とりあえずマスターの忠告を守るということでオレとラクサスは行った。本来ならS級じゃないラクサスが行っていいかわからないが、オレ一人で行くよりオレと同じくらいの強さを持っている(オレがいない時にマスターが鍛えたらしく、自身があるとのこと)から安心とのこと。


「――――つっても本当にここでいいのか?そろそろドグゼリ渓谷大空洞っての近くだぞ」

「…さぁ…?」

現在オレとラクサスは、ドグゼリ渓谷の周辺にある森にいる。未だその化物を探しているが、まだ見当たらない。まぁ奥に行けば居るらしいが…。


「しかし、帰ってきて早々このクエストを取るとか…お前の神経どうなってんだ?」

「気になっていた会社の危機なんだ。なら休んでるヒマないだろ?」

「…そうか」

今のは心配してくれたからの一言、なんだよな?
辺りを見渡しても森、そしてドグゼリ渓谷しか見えん。本当にここでいいのか、と疑問に思うのは当然だ。
だがまだ調査してから1時間しか経っておらず、ならばまだ探す余地はあるはずだ。

そうして、ここに来る前に買ったドグゼリ渓谷の周辺の地図を見ながら奥へと進むと――――感じたことのない気配を感じた。

「――――おい、ラクサス」

「――――居たのか?」

「…途轍もない気配を感じたから、恐らく例の化け物だな」

ウォーロッドさんも化物だと思うが、こっちも相当の化物かもしれない…。
だが、オレ一人だったら怪しいが、ラクサスとならチャンスがある、はずだ。ならここで


「…行けるか、ラクサス」

「馬鹿野郎。こっちとら元から準備を済ましている。てめえこそ心の準備は出来てんのか?」

皮肉にもそう問いかけてくる親友に笑みが溢れてしまう。
ラクサスもこの笑みを見て「大丈夫そうだな」とニヤッと笑いかけて、そして体制を立て直した。

オレも力を念入りに高めるよう集中し、そして隣で雷を少し纏ったラクサスをアイコンタクトを互いに取る。






確かに化物だが、オレとラクサスで負ける程とは思えない。
傲慢あれども、やる価値があるならするまで。
それに連絡が付かない人たちの心配もある。ならここは進むしかない。

これが罠なら、戦わずに他の人間を探して逃げるか、すぐに撤退するしかないが

そうして互いに前から伝えていた事をラクサスと一緒に確認していたので、気を引き締めて――――




「――――行くぞォオォッ!!」


「――――おう!!」







◆◆◆◆◆◆






森の奥に、片口が見える東洋風の着物を着る女性が立っている。
だが、女性の頭には本来人間が付いていない、牛のような角があり、そして――――


その女性の隣に立つ、5メートルまで行った大きさを持つ、バリカンに似ているが、翼が生えており、青い肌をし、怪物とも思わせるような形をしているモンスター――――デーモンと呼ばれる生物。

だが、その身に纏う光―――どこか邪悪さを感じさせて普段のデーモンより恐怖させるであろう生物の隣で、女性はなんでもなく平然と立っており、近くの怪物のことを気にせず、その近くに倒れている人間たちを見て溜息を吐いた。

「少しは歯ごたえがあるのかと期待していましたが――――少し強化したこの生き物に敵わないなんて、期待はずれでしたわね」

残念そうに、そして少し不機嫌そうな顔をしてそう呟く。

「――――あら、また人間が…、しかし…これも期待できますか…?微妙ですね」

新たな気配を感じた女性は少し悩んだ様に顔をして、そして大きな胸の下に腕を組む。

「まぁ、倒れたら倒れたらで、仕方ありません。この実験が失敗したことになりますが…」








「――――マルド・ギール様が気にした実験ではないとはいえ、私としては成功してほしいですね」


そして、これから来るであろう若く、そして魔道士の中でも強者の少年達が来るまで、彼女は少しだけ手元に本を出して人が座れる程度の大きさをした岩の上に座り、待機することにした。



これから起きることを誰も予想していない。当然、まだ何かが始まることも――――

 
 

 
後書き
へっへ、オラワクワクすっぞ!(白目)
白目しっぱなしだな…とりあえず、次回は覚醒です。あと、明日の夜中にアンケートを発表します。
楽しみにしてくれると嬉しいです(何を?)

ラクサスと唐辛子、果たして無事に帰れるか…。次回!唐辛子!死す!!(大嘘) 
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