ドリトル先生と和歌山の海と山
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第七幕その四
「考えてみたらね」
「だよね、本当にね」
「奇跡だよ」
「空海さんだけでも最澄さんだけでもね」
それこそというのです。
「滅多に出る人達じゃないから」
「その国にね」
「空海さんなんてね」
王子はこうも言いました。
「天才というかもう信じられない人だよ」
「知識も徳もあって」
「それで書道も凄かったっていうし」
「何か泉とかも掘り当てたとかね」
「そんなお話もあるから」
「物凄い人だよ」
それこそというのです。
「今で言うと超人と言ってもいいね」
「ニーチェのですか?」
「仏様を信仰しているけれどね」
こうトミーに返しました。
「ニーチェの超人は神は死んだ、自らがだということだったけれどね」
「凄い資質を備えていたという意味で、ですか」
「空海さんは超人と言ってもよかったよ」
そこまでの人だったというのです。
「調べれば調べる程ね」
「そうした人だったことがわかるんですね」
「そうなんだ、あと空海さんは即身仏になったけれど」
「あの生きながらですね」
「そう、なるものだよ」
自分で食べることと飲むことを絶って念仏を唱えつつ成るものです。
「それになられたけれど」
「それは僕も知っています」
「魂はまだこの世にあるとも言われているよ」
「死んでいなくて」
「生きておられてね」
そうしてというのです。
「ご自身のやるべきことをされているとも言われているよ」
「そうなんですね」
「僕も最初この話を読んだ時は驚いたよ」
「まだ生きておられて」
「じゃあ即身仏も」
「そう、何でもここではね」
この高野山ではというのです。
「空海さんのお世話をする人もおられるとのことだし」
「じゃあ」
「本当に生きておられるかも知れないよ」
「そうですか」
「凄いお話だね」
「本当に」
トミーも驚きを隠せませんでした、そのお話には。
「僕もそう思います」
「そうだね」
「あれっ、そうしたお話は他にもあったよ」
王子がここで言いました。
「天理教にね」
「あの宗教にもだね」
「あの宗教も教祖さん今も生きているんだよね」
「中山みきさんはね」
「そう言われているよね」
「うん、ただ少し違うのはね」
先生は天理教のお話もしました。
「中山みきさんはお身体がなくなったんだよ」
「現身がだね」
「なくなったんだよ」
「身体がね」
「それで残ったのはね」
それはといいますと。
「魂だったんだよ」
「魂がこの世にあってだね」
「この世と人々を助けて回ってるんだよ」
「あの宗教ではそうだったね」
「そう、そこが違うんだ」
空海さんとはというのです。
「空海さんはお身体はあるからね」
「即身仏になって」
「そうなっているからね、ただ魂がまだこの世におられているということではね」
「同じだね」
「そうなるかもね、空海さんと中山みきさんも」
このお二人はというのです。
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