オズのトロット
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第七幕その三
「名前と外見は聞いてたわよね」
「はじめてお会いしましたが」
その目がキラキラとしているガラスの熊を見つつ答えるカルロスでした。
「そうでした」
「そうよね」
「何時かお会いしたいと思っていました」
このことはカルロスも他の子達もです。
「そして今です」
「会えたわね」
「ですからとても嬉しいです」
「それは何よりよ、そしてこの子がね」
今度はパジャマの子を指し示して五人に紹介したトロットです。
「チェック=ザ=チェラブよ」
「この国の道化大臣さんですね」
「そうでしたね」
「この子のお話も聞いてました」
「男の子か女の子かわからない」
「とても不思議な子ですね」
「実は私は男の子かしらって思ってるけれど」
自分の見立てもお話したトロットでした。
「その辺りはわからないの」
「男の子じゃないんですか?」
ジョージはチェラブを見てからトロットに言いました。
「名前からして」
「僕もそう思います」
神宝もジョージと同じ考えでした。
「パジャマは男の子のものだし髪型もそうですよ」
「あれっ、私は女の子だと思うけれど」
ナターシャは女の子だと言うのでした。
「お顔が女の子のものだから」
「とても可愛いお顔をしてるから」
恵梨香もこう思っていました。
「女の子じゃないかしら」
「男の子だよ、絶対に」
カルロスもこちらだというのです。
「この子は」
「この辺り議論があってね」
「わからないままなんだよ」
教授とモジャボロは答えを言いませんでした。
「私は男の子かなって思うんだがね」
「僕もだよ」
「けれどオズマ姫やドロシーは女の子じゃないかって言うんだ」
「あとベッツイやつぎはぎ娘やガラスの猫もね」
「グリンダやエリカやビリーナもそう言うし」
「かかし君や樵君達は男の子だと言ってね」
オズの国の中でも議論があるというのです。
「この子が男の子か女の子か」
「今もわかっていないんだ」
「じゃあ本人に聞けば」
ここでこう言ったカルロスでした。
「どうですか?」
「そう思うでしょ」
そのカルロスにトロットが答えました。
「どうしてもわからないならって」
「はい、そうですよね」
「それが本人に聞いてもね」
「どうなのかな」
そのチェラブの笑っての言葉です。
「僕の性別はね」
「こう答えるから」
チェラブが言ってからまたお話したトロットでした。
「だからね」
「わからないんですね」
「そうなのよ」
一行にというのです。
「これがね」
「そうなんですね、しかも声も」
カルロスはチェラブの声を聞いて述べました。
「可愛い声ですが」
「わからないでしょ」
「男の子でも女の子でも通用する声ですね」
「だから余計にわかりにくいの」
チェラブの性別はというのです。
「本当にね」
「それでずっと謎になっているんですね」
「そうなのよ」
「今まで当てた人は」
「いないわ、知っているのはチェラブ本人とこの子も含めたオズの世界のことを外の世界に紹介してくれてオズの国のことを最もよくご存じのボームさんだけだけれど」
それでもというのです。
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