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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2040話

「あ、ゆかりちゃん。ちょっといい?」

 望月が転校してきた日から数日後の放課後、ゆかりが部活に向かおうとしていると、山岸が俺達の教室に寄って、そう言う。

「おお、君も可愛いね。ね、誰かな?」
「え? あの、ちょっと……」

 望月にしてみれば挨拶代わりの言葉だったのかもしれないが……山岸にしてみれば、自分がそういう風に言われるというのは完全に予想外だったのか、ちょっと戸惑った様子で望月に視線を向けていた。
 客観的に見れば、山岸はそれなりに顔立ちは整ってる。
 ゆかりや美鶴と違って、美人というよりは可愛いと表現すべき感じだが。
 だが、山岸の場合は自分がそれなりに人気があるという点であまり実感はないのだろう。
 ……有里の恋人となっている時点でそれ以上は望んでおらず、満足しているというのも、あるかもしれないが。
 もっとも、そのような性格だからこそ有里のファンクラブに敵視されてはいないのだろうが。
 いや、正確には当然のように有里と付き合っているという点で嫉妬している者は多い。
 だが、有里のファンクラブのメンバーは、本気で有里に恋しているというのではなく、皆でキャーキャー騒いでいる……いわゆる、おっかけの類のような者が多かった。
 この辺は、美鶴や真田と同じような感じだな。
 それと、有里を含めて巌戸台分寮のメンバーや、ゆかり、そして俺ともそれなりに親しいという事もあり、山岸が嫉妬による陰湿な行為をされるということはない。
 正確には以前に何度かあったらしいのだが、どうやったのか、有里がその犯人を見つけて色々と報復したらしい。
 ……どうやっても何も、間違いなくペルソナを使ったんだろうが。
 ともあれ、そんな訳で現在山岸にちょっかいを掛けるような相手はいない……訳ではないのだろうが、表立っては皆無だし、裏でもかなり少ない。
 これで、もし山岸が調子に乗るような性格であれば、もっと色々と酷い目に遭っていた可能性はあるが。

「望月、その辺にしておけ。有里が睨んでいるぞ」
「別に睨んではいないよ」

 俺の言葉にそう返す有里だったが、実際には睨んでいるという表現がピッタリ合うと思ったんだが。
 まぁ、有里がそう言うのであれば、それはそれでいい。
 それに望月と数日一緒の教室にいてみて分かったが、その性格は軽いというか、軟派な性格をしているのは間違いないが、相手が嫌がればそれ以上強引に迫ったりはしない。
 つまり、きちんと引き際を弁えている……という表現が、この場合は一番正しいのか。
 それだけに、山岸にそれ以上話し掛ける様子はなく、教室に残っていた他の女との会話を楽しみ始める。

「えっと……」

 山岸の戸惑ったような様子に、元々声を掛けられたゆかりが席を立ち上がって近づいていく。

「気にしないで、ここ最近はよくある光景だから。……そう言えば、風花が彼と会うのは初めてだっけ?」

 ゆかりの言葉に、そう言えばそうだったか? と思い出す。
 実際山岸は何度となく俺達の教室には来ている。
 だが、その度に望月はクラスの女達とどこかに行ったり、何らかの理由で教室の中にいなかったりと会う機会がなく、これが初遭遇だったのだろう。

「うん。話には聞いていたけど……ちょっと驚いた」
「すぐに慣れるわよ。それで、私に何の用?」
「あ、そうだった。その……あの映像のマスターデータを発掘する事に成功したらしくて」
「っ!?」

 ゆかりの表情に一瞬だけだが緊張が走る。
 映像……という風に言われて思い出すのは……ああ、ゆかりの父親の映像か。
 幾月が映像を改ざんしたのだが、どうやら改ざんする前のデータも残っていたらしい。
 わざわざ消去するのが面倒だったのか、忙しくてそれどころではなかったのか。
 褒めるのはどうかと思うが、俺達を騙していた幾月は非常に忙しい日々を送っていたのは間違いない。
 理事長、寮長、研究者、そして裏切りに関して。
 とてもではないが、1人でそう簡単にこなせるというものではない。
 それをこなしていたんだから、何だかんだと幾月が優秀だったのは間違いないのだ。
 これで馬鹿な事を考えないで、普通に桐条グループの人間として働いていれば、あんな惨めな最後を迎えることもなかっただろうに。
 自業自得だけどな。

「アクセル、悪いけど今日の予定はキャンセルで」
「ああ、分かった。ゆっくりとしてこい」

 短く言葉を交わすと、ゆかりはそのまま教室を出ていく。
 本来なら、ゆかりと一緒に美味いケーキを出す喫茶店に行くって予定だったんだが……ゆかりの父親の件となれば、それがキャンセルされるのも当然だった。
 ゆかりにとって、それはかなり大きな出来事なのだから。
 ともあれ、去っていくゆかりと山岸を、望月は少し残念そうに見送る。
 ……が、その顔に浮かんでいる残念そうな顔も、すぐに消えた。

「望月君、そろそろカラオケに行くわよー!」
「あ、うん。分かった。……じゃあ、僕はこの辺で」

 他のクラスの生徒だろう女が教室の扉の前で手を振ると、それを見た望月はそう言ってその場を立ち去る。
 何だかんだと、望月は他のクラスの女とも上手くやっているらしい。
 そのことには驚きつつも、すぐに納得する。
 望月の性格を考えれば、寧ろそれは当然だろうと。

「アクセル、俺達は帰るけど」

 お前はどうする? と順平が視線を向けてくる。

「部活の方はいいのか?」

 月光館学園は、男子剣道部の強豪校として名高い。
 その剣道部に2年になってから入部した形となっている順平だったが、毎日のように行われるシャドウとの実戦により、その力は磨き抜かれていった。
 結果として、幾ら強豪ではあっても結局試合でしかしていない剣道部員との間にあった実力差は見る間に並び、すぐに追い越してしまった。
 もっとも、順平の基本はあくまでもシャドウとの戦いだ。
 結果として、剣道で許されていない攻撃……それこそ足を狙ったりといった感じの事もやってしまうので、選手としては採用出来ないらしいが。
 以前、宮本がその事をかなり残念がっていた。
 純粋な実力だと、順平は剣道部の中でも5本の指に入るらしいし。

「ああ、剣道部は今日は休みだよ」
「……剣道部が?」

 強豪校だからこそ、剣道部の練習はそれこそ基本的には毎日のようにある。
 充実した練習を短時間でというのが最近の流行らしいが、それに真っ向から喧嘩を売っている形だ。
 その辺は、それこそ人によって違うんだろうから、俺は何も言うつもりはない。
 ただ、俺自身は根元にあるのが軍人という意識が高いだけに、その考えはあまり賛成しない。
 士官学校や軍人になってからの訓練でも、短時間で終わらせるといった事は基本的になかったし。
 勿論、怪我をするような事は無意味だと思うから、程々が大切だとは思うが。

「ああ。まぁ、部活動だから色々とあるんだろ。俺はチドリと一緒に帰れてラッキーだけど。ああ、でも今日はこれからデートだから、アクセルも一緒にってのは出来ないぞ?」
「別に、そんな野暮な真似をするつもりはないから、安心しろ」

 順平とチドリ。付き合い始めてからはそれなりに順調らしい。
 もっとも、チドリは得意そうな順平の頭を叩くが。

「何を言ってるのよ。修学旅行の買い物でしょ。勝手にデートにしないで」
「うぐっ、けど、分類的にはデートだろ?」
「……まぁ、順平がそう思いたいなら、それでもいいけど」

 そんなやり取りに、まだ教室に残っていた何人かがブラックコーヒーを買ってこいとか何とか言ってるのが聞こえてきた。
 うん、その気持ちは分からないでもない。
 この2人、何だかんだと馬鹿ップルって奴なんだよな。
 もっとも、そう言われれば本人達はそれを否定するのだが。
 にしても、修学旅行か。
 知り合いで既に班は作ってるし、旅行に必要な物は大抵空間倉庫の中に入っているし……俺の場合は、特に何か買う必要はないんだよな。
 そんな風に考えている間に、順平とチドリの2人は教室を出ていく。
 そうして気が付けば、教室の中には俺以外に数人しか残っていなかった。
 さて、本当にどうするか。
 少し考え、久しぶりに長鳴神社の境内でコロマルと遊ぼうと判断し、学校を出る。
 コロマルと遊ぶというのは、影時間とかの件も合わせればそれなりにやっている。
 だが、この場合はあくまでも長鳴神社の境内で遊ぶというのが大事なのだ。
 コロマルにとって、長鳴神社というのはかけがえのない場所であり、そこで遊ぶというのは大きな意味を持つ。
 ……ホワイトスターに俺が戻れるようになっても、多分コロマルは長鳴神社から離れないだろうな。
 ペルソナを使え、非常に頭もいいコロマルは、出来ればシャドウミラーのペット枠として一緒に来て欲しいところなのだが。
 ラピスやルリの情操教育とかにも、コロマルの存在は大きいだろうし。
 そんな風に考えながら、俺はいつものスーパーで缶詰タイプのちょっと高めのドッグフードや、食材、おかし……といった諸々を購入してから、長鳴神社に向かうのだった。





「わん! わんんわん!」

 コロマルが俺の姿を見た瞬間、嬉しそうに吠えながら近づいてくる。
 やっぱりコロマルも、タルタロスとかじゃなくて、長鳴神社の境内で遊びたいと思っていたのだろう。
 ……それに、もう秋になったからか、境内に人の姿はない。
 枯れた葉っぱが境内の中に落ちているのを見れば、寒い季節にわざわざここまで来る物好きもいないって事か。
 いやまぁ、絶対に誰も来ないって事はないだろうが。
 それこそ、例えば何か1人で考えたい事があるようなら、誰も人のいない境内というのは絶好の場所かもしれない。
 もっとも、今はこうして見る限り、どこにも人の姿はないが。

「ほら、これでも食え。腹は……減ってるのかどうかは、分からないけどな」
「わふ!」

 缶詰のドッグフードを開けてやると、コロマルは嬉しそうに食べ始める。
 激しく尻尾が揺れているって事は、このドッグフードはコロマルの口に合ったのだろう。
 新製品らしいが、覚えておこう。
 後で買い貯めをしてもいいかもしれないな。
 もっとも、俺の知り合いでドッグフードを食うような動物は……ああ、グリ辺りなら食べるか?
 ふとそんな風に思うも、グリの大きさを考えれば缶詰1つのドッグフードなんて到底足りないだろう。
 そんな風に考えつつ、俺は自分の分として買ってきたドーナツを食べる。
 もっとも専門店のドーナツという訳ではなく、スーパーの菓子パンコーナーで売っていたドーナツだ。
 当然のように専門店のドーナツに比べれば味は劣るが、それでも値段を考えるとコストパフォーマンス的には圧倒的に上だ。
 日本は食文化的な意味では、世界でも屈指というのが俺の印象だったが、それはこのペルソナ世界でも変わらないらしい。

「にしても……こうして改めてみると、寂しいな」

 境内を見ながら、しみじみと呟く。
 この広い空間にいるのが、俺とコロマルだけ。
 数ヶ月前にここで夏祭りが行われた時は、それこそもの凄い数の人が集まっていたんだが。
 ……春になれば、少しは変わるか?
 そんな風に思っていると、いつの間にかドーナツは全て消えていた。
 別にコロマルに食われたとかそういう事ではなく、純粋に俺が全てを食べてしまったのだ。
 手で持ってドーナツを食べたので、指がベタつく。
 掌に白炎を生み出し、油汚れを一瞬で燃やしつくす。
 魔力で生み出された炎の使い方として、これは間違ってるのか、正しいのか。
 そんな風に思っていると、ドッグフードを食べ終えたのだろう。コロマルがじっと俺を見ているのに気が付く。
 遊んで、と。そう無言で訴えられているのに気が付き、空間倉庫の中からフリスビーを取り出す。

「わん!」

 フリスビーを見て、以前遊んだ時の事を思い出したのだろう。
 コロマルは嬉しそうに吠えると、早く早くといった風に俺を急かしてくる。
 そんなコロマルに頷き、フリスビーを空中に向かって飛ばす。

「わん、わん、わん!」

 そうなれば、当然のようにコロマルはフリスビーを追って走り出す。
 こうして見ると、コロマルも普通の犬より随分と足が速いな。
 これはペルソナ使いになったからなのか、それともペルソナ使いとしてタルタロスで戦いの経験を積んだからなのか。
 その理由はどうあれ、コロマルの足が速いというのは、こうして見ていて嬉しくなる。
 フリスビーに追いつき、跳躍し……見事空中でキャッチし、地面に着地する。
 そして俺の所に戻ってくると、褒めて褒めてと円らな瞳でじっと見て、尻尾をこれでもかといった具合に振る。

「よし、よくキャッチしたな。上手いぞ」

 コロマルの頭を撫でてやると、嬉しそうに喉を鳴らす。
 こうして見ると、やっぱりコロマルは可愛いよな。
 そんな風に思いつつ、俺は秋の寒空の下、夜になるまでコロマルと一緒に遊ぶのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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