ドリトル先生と和歌山の海と山
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六幕その五
「やっぱりわかるみたいだよ」
「そうなんだね」
「感性、無意識の下でね」
「不思議な話だね」
「王子もアフリカでの話でわかるものがあるね」
「そうだろうね、先生がわからないことでも」
それでもとです、王子は先生に答えました。
「わかるものがあるね」
「そして僕がわかることもね」
「あるんだね」
「その根幹を理解するのはね」
それこそというのです。
「かなり難しい、けれどね」
「日本の中に入っていけば」
「きっと何時かわかるとね」
「そうも思うんだね」
「そうだよ、同じ人間だからね」
確かに生まれ育った国は違います、けれどそれでもというのです。
「きっとね」
「理解出来るんだね」
「人間は同じだね」
「そのことはね」
「国や宗教、民族や人種が違っても」
「人間なのは同じで」
「そう、だからね」
国、文学が違ってもです。
「絶対に理解出来るよ」
「切腹のことも」
「必ずね」
「そこで前向きになれるのが先生だね」
「諦めたらね」
そうしてしまうと。
「もうそれで終わりだね」
「よく言われるね、日本では」
「そう、だからね」
それでというのです。
「僕も諦めないんだ、いつも前向きであって」
「諦めないで」
「学んでいくよ」
そうしていくというのです。
「そして切腹のことも何時かね」
「理解するんだ」
「学問を積んでね」
「じゃあ僕もね」
「学ぶね」
「そうするよ、絶対に」
王子は先生に笑顔で約束しました。
「僕は学問がメインじゃないけれど」
「将来の王様として」
「いつも前向きでいるよ」
「諦めないことだね」
「本当に諦めたら」
王子もこのことはわかりました、切腹のことはどうしてもわからないけれどそれでもでした。
「何にもならないからね」
「それがいいことならね」
「そうしていくよ」
「それで日本のそうしたこともね」
切腹への感情についてもというのです。
「頑張っていくよ」
「そういえば幸村さんも切腹してませんでした?」
トミーはふとこう先生に尋ねました。
「あの人も」
「いや、戦いの後で疲れ果てていてね」
「そこをですか」
「敵が来てその人に討てと言って」
そしてというのです。
「首を取らせたんだ」
「そうなんですか」
「幸村さんの首は三つ手に入ったっていうけれどね」
「影武者もいたんですか」
「この人も武田信玄さんみたいにいたらしいね」
このこともお話した先生でした。
「どうやらね」
「そうですか」
「それでそうした話もあるんだ」
幸村さんの首は三つあったとです。
ページ上へ戻る