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ロボスの娘で行ってみよう!

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第36話 捕虜交換への道


久々投稿です。全身筋肉痛で辛いですが、完成しました。

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第36話 捕虜交換への道

宇宙暦792年7月10日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 最高評議会ビル

最高評議会議長オフィスでは、ジェームス・アンダーソン最高評議会議長との話し合いに、ジョアン・レベロ以下数人の各委員長が集まり、シトレ統合作戦本部長から提示された帝国軍のイゼルローン要塞防衛計画に基づく同盟軍の見解及び戦略についてのレポートが読まれていた。

「前回の第5次イゼルローン要塞攻撃により、イゼルローン要塞にある程度の損害を与えたわけです。その為に帝国軍が過剰に反応し現在4万〜5万の敵艦隊が回廊を封鎖している模様です」
「それだけ、要塞の防備が崩れていると言う事なら、サンフォード副議長の持ってきた第6次イゼルローン要塞攻略作戦を行ったほうが良いのではありませんかね?」

「議長、我が方の出せる戦力は最大でも12個艦隊です、各星系の警備隊を入れればもう3〜4万は追加できますが、それで全てです。つまり22万隻が同盟軍精一杯の戦力です。逆に帝国は18個艦隊に独立艦隊が多数更に貴族の私兵が此も又多数居ます、ざっと40万は堅いでしょうな。あの狭い回廊で22万対40万の戦闘など出来るはずが無いのですよ、単なる延々と続く消耗戦にしかなりません」

「それにです。同盟領土を空っぽにしてまで戦闘はできんでしょう、そうなると更に戦力は減るでしょう、無論帝国も同じでしょうが、彼等が神聖不可侵の帝国領土を守るためなら味方殺しも是とする輩です一艦一殺を計っても可笑しくはありませんぞ」

「確かに財政委員長、人的資源委員長の言う事はあり得ることだろう。しかしだ、今攻撃を行い陥落の可能性が有ると言う、副議長の話なのだが」
「議長、その計画書は何処からきたものだがご存じですかな?」

「話だと、彼と懇意にしている統合作戦本部で作成中の試案だそうだが」
「議長、その話はでたらめですな」
「レベロ君、どの様な根拠が有ってその様な事を言うのかね?」

「今回我々が持参した、イゼルローン要塞攻略戦に対するレポートが統合作戦本部の見解だからなのです。此を見て頂ければ判るように、作戦自体無謀な状態に有ることが判ります」

そう言いながらレベロが議長達に資料を渡していく。それを読む議長の顔に深い皺が刻まれていく。
「これは、細評なデーターだ。確かにこの状態でフェザーンを攻められた場合は我が方の防衛が瓦解するな、しかも敵にはフェザーンに遠慮する事もないか」

「そうなります、我々はフェザーンとの貿易が非常に重要ですが。帝国にすれば自治領ですから、通過を命じることも出来ますし、駄々をこねれば頭を変えれば良いだけですから」

「判ったよ、レベロ君、出兵案に私は反対の立場を取ることにしよう、いくら何でも真正面からたたき合って滓しか残らない同盟艦隊ではどうしようも無くなるからね。しかしここに来ていない議員は出兵案に賛成するかもしれんぞ。お恥ずかしい話し私もそうだが支持者の支持率という物に左右されるモノなのだからね。何か妙案がないのかね?」

「議長、それですが、捕虜交換を仕掛けてはどうかと統合作戦本部からの提案です」
「捕虜交換か、確かに主戦派、反戦派、中立派共々規模にもよるが落とし所と言えるかもしれん」
「しかし、帝国では捕虜は犯罪者同然で、支持率を支えるほどの交換に応じないのでは?」

不安そうに別の委員が質問してくる。
「その点は、エル・ファシルで捕虜にした貴族を使うんだよ。彼等はプライドは高いが、身内には甘いそこを利用すれば、応じるのではないかな」
「しかし、身内の恥として戦死扱いにしているのではないか?」

「確かにそれはあるが、第2次ティアマト会戦後にも大規模な捕虜交換が行われてるので有るから、エル・ファシル、第3次ティアマト、第5次イゼルローンと立て続けに大作戦があったのだから、そろそろ捕虜交換が行われても良いはずだと考えるのでは無いかな」

レベロの後にホアンが話し出す。
「それにだ、イゼルローン要塞を何としても守ろうとしている帝国だ、その時間を得るためなら捕虜交換ぐらい簡単に応じそうだとおもうがね」

「そうなると尚更イゼルローン要塞攻略を行う方が良いのでは?」
「で、回廊に将兵の屍を晒して手に入ったのは半壊のイゼルローン要塞かね、救いがないと思わないかい?それより敵に要塞の修理代を一杯使わせた方が、同盟に攻め込む余地が無くなるだろう、その間に帰還兵を復員させ産業に回せば、同盟の産業社会に良いことずくめなんだがね」

「捕虜交換を帝国が飲むならば、態々スズメバチの巣に突っ込む事も無いと言う訳か」
「そうなります。帝国が飲む可能性はかなり高いと思います」
「で、どの程度の規模で行うのかね?」

「現在我が国が抱える帝国軍捕虜の殆ど300万人強を一括で交換します」
「大規模だな、それだけ交換で出来れば同盟も一息できると言うわけだな」
「そうなります」
「そうか、では此処に居る方々には、評議会においては出兵案には断固たる反対をおねがいする」


■最高評議会ビル 最高評議会会議室

評議会は最初はごく普通の政策や報告に費やされていたが、第5次イゼルローン要塞攻略戦後のイゼルローン要塞や艦隊の状態などの報告がされると、特に注目を得たのは敵損害に対して著しく味方損害が軽減された点であった。

以前比べて味方の損害が少ないと言う嬉しい事であるが、国防委員長があまり嬉しそうには見えないのは、再生産すべき兵器の損耗が少ないのはメーカーからリベートを受け取っている為に、被害の少なさは喜びより取り分が減ると言う考えの方が大きいからであった。

国防委員長が職務だから仕方なしに坦々と成果を報告していく、細評自体は既にレポートで各委員に渡されている為に、形式的なだけではあるが、コストパフォーマンスの良さが他の委員長達の頷きが見られた。
「イゼルローン要塞攻略戦にしては、戦死者が少ないわりに、敵の損害が1万隻以上か、喜ばしいことではないかな」
「しかし、要塞攻略自体は失敗しているからな」
「しかし、近年に無い大戦果と言える」

「結論からして、今回に作戦により市民の現政権支持率がUPしたのですからね」
「この時期に10ポイントの支持率上昇は来年度の選挙にも大きな励みになるでしょうな」
その言葉に多くの委員長が頷く中、サンフォード副議長が発言してきた。

「所で、その支持率を更にUPする妙案があるのだが」
アンダーソン最高評議会議長が内心では嫌ながら、質問を行う」
「副議長、それはどの様な事かね?」

「此処にあります、作戦書をご覧ください」
事務員が配る書類には【第6次イゼルローン攻略作戦】とあった。
全議員がそれに目を通す。

「副議長、僅か2ヶ月程度で再度イゼルローンを攻めるのはいくら何でも無理ではないかね?」
レベロの質問にサンフォードが答える。
「今が、チャンスなのです」

「抽象的すぎて何のことか判らないが」
「この作戦案に有るように、イゼルローン要塞は現在修理中だ、その為にトールハンマーが使用不能なのです。その為にこそ攻撃を行うべきです」

「この作戦案を見たが、あまりに投機的で希望的観測に偏りすぎているのではないか?」
「統合作戦本部幕僚がこの作戦案を持ってきたのだから完璧だろう」
「ほう、作戦の是非は統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部から提案されるのが普通だが、何故副議長に直接もってきたのですかな?」

「その幕僚が完璧な作戦だが、統合作戦本部に採用されないからだと言ってきたのでな」
サンフォードは、しどろもどろに成る。それに対してレベロが畳みかける。
「質問なのだが、トールハンマーの情報は何処から来たのかね?」

「統合作戦本部幕僚からの情報だが」
レベロの誘導尋問にサンフォードが答えると、レベロの反論が始まった。
「副議長、貴方の言っている様な幕僚は統合作戦本部には居ません。その作戦案は後方勤務本部事務職の一中尉が仕事もせずに勝手に作り上げた私案でしかないのですよ、更にトールハンマーが修理中などと言う情報も同盟軍は掴んでいませんぞ」

フォークのことがばれた以上サンフォードは彼を切り捨てることにした。
「何ですと、私は彼が統合作戦本部幕僚であるかと言うために信用したのですが、全く何たる事だ」
サンフォードの行動は白々しい事請け合いであるが、此処はあえて無視して出兵案を潰すためにレベロは全力を尽くす。

「この出兵案では危険度がありすぎますから、廃案で宜しいでしょうか?」
旨く行くと思ったが、余計な一言を言う輩が現れた。
「この案ですが細評はいざ知らず煮詰めれば良い案になるのではないですかね」

国防委員長の一言にまたもや荒れる議会。
「付け焼き刃ではどうしょうも成らんと思うが、しかも作戦を作り直した頃には更なる変化が起こっている状態だ、臨機応変と言わんでくれんかね」

「しかし、何もしないというのも主戦派市民が納得しないだろう」
国防委員長に対してレベロが対案を示す。
「そこでです、捕虜交換を提案してはどうかと思う」

捕虜交換の言葉に会議室にざわめきが起こる。
先に話し合っていた議長が質問をする。
「財政委員長、捕虜交換だが可能なのかね?」

その後議長室で応対した様な対話が続けられていき、最終的に帝国に捕虜交換をフェザーン高等弁務官事務所を介して提案する事を議決した結果、賛成8票棄権3票で行う事が決まったのである。又捕虜交換が不可能な場合に対する対案を統合作戦本部に作成を命ずる事も決まったのである。

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国防委員長ですが、未だトリューニヒトじゃありません。
 
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