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とある3年4組の卑怯者

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140 偶然

 
前書き
 堀の文通相手の家に行く事になったみどりはどんな相手か気になり出す。そしてその文通相手・野口笑子と出会ったみどりと堀は野口からも友達を招待したと聞く。そして、野口が呼んだ彼女の友達とは・・・。 

 
「あれ!?みどりちゃん、堀さん!?」
「え、ま、まる子さん、たまえさん!?」
「あ~ら、知り合いだったんだ・・・。世界は狭いね・・・。クックックックックッ・・・」
 みどりと堀、まる子とたまえはお互い驚く事しかできなかった。
「のぐちんの友達ってまるちゃん達だったの!?」
「え、のぐちん?」
「私のあだ名だよ・・・。クックック・・・」
「うそお!?野口さんと堀さんってそんなに仲良かったの!?」
「そ、そうです!!堀さんはこの人と文通なさっていたんです!!」
「え、えええ!?」
「まあ、四人とも・・・。偶然というのは驚きだね・・・」
 まる子とたまえもその場に座った。
「まあ、お互い知り合いなら紹介する事もないか・・・。それじゃあ、楽しもうじゃないか・・・。クックックッ・・・」
 しかし、何の話をすればいいのかお互い出てこなかった。まずたまえが口を開く。
「あ、そうだ、堀さんは野口さんの事『のぐちん』って呼んでいるのは何で?」
「それはね、文通を始めた時、『私の事はのぐちんって呼んでください』って手紙にあったから野口さんの事をそう呼ぶ事にしたのよ」
「のぐちん・・・。私にとってもいいあだ名だと思ったんだ・・・」
 野口の発言に皆は微妙な発言しかできなかった。
「あ、そうそう、野口さんのお笑い好きは普通の人よりも凄い凝ってんだよ!ドリフのコントを生で見た事あるし、他にも漫才や落語を生で聞いたことあるんだって!!ね、野口さん?」
 まる子は野口に確かめた。
「うん・・・。さくらさん・・・」
「え・・・?」
「あんまりその事をばらさないで欲しいな・・・」
「ご、ごめん、野口さん・・・」
 次にみどりが発言した。
「あ、そうだ、そうだ。最近藤木さんはどうしていますか?全国大会に出るって聞いたので私藤木さんの活躍する姿を想像するだけでたまらないんです!!」
「ああ、藤木なら今でもスケート場で特訓してるんじゃないかな?もうそろそろ大会も近いしね」
「私、藤木さんの姿もう一度見たいです!ああ、全国大会に私も応援に行きたいわ・・・。藤木さんは私にとって最高の王子様ですから・・・」
「でも、遠いよ。盛岡だよ・・・」
「そうですか・・・」
 みどりは落胆した。
「そうだ、藤木が帰ってきたらその大会で見せた演技をやってもらえばいいんじゃないかな?」
 たまえが提案する。
「たまえさん・・・。はい、そうですよね!ああ、藤木さん・・・」
 みどりは自分が藤木と滑る姿を想像し、その妄想に取りつかれた。
「ブーツ!藤木が好きだってね・・・」
 野口が噴出した。
「な、なんですか?私が藤木さんを好きになっちゃいけませんか?」
「いいや、こっちの話だよ・・・。クックックッ・・・」
 その時、居間の戸が乱暴に開けられた。
「おい、笑子!!」
 お世辞にもカッコいいとは思えない男性だった。
「ど、どなたですか!?」
 まる子とたまえは野口の兄については何度か面識があるため、ああ、現れてしまったという感情だったが、みどりと堀はいきなり変な男が現れて一瞬怖くなってしまった。
「ウチの兄貴だよ・・・」
 野口が自分の兄を紹介した。
(のぐちんにお兄さんいたのね・・・。でも全然顔が似てない・・・)
(凄い変な顔ですね・・・)
 みどりと堀はそのような事を心に思っていた。
「笑子、柿絵が来たんだ。おい、ジュースと菓子買って来い!!」
 野口の兄は早速妹に命令した。
「・・・やだ」
「何だと、おメー!!」
 野口の兄は妹の服の背中の部分を掴んだ。
「野口さん!」
「ちょっとやめてください!!」
 皆は乱暴する野口の兄を止めようとした。
「ああ!?おメーらは黙ってろ!!こいつは俺の妹なんだ!!パシるのは俺の勝手だろ!!」
「だからってそんなの酷すぎるよ!」
「うるセー!!」
 その時、別の女性が現れた。顔はお世辞にも美人とは言えない。
「ちょっと~、富士男~、ど~したの~?」
「オー、柿絵!俺の妹がジュースと菓子買わネーって生意気な口聞くんだ!」
「ま~、イヤな妹ね~!!」
 柿絵と呼ばれた女性は野口妹の姿を見た後、みどり達の姿を見た。
「何よ~、この子達!!」
「わ、私達はこの野口さんのお友達です!!」
 みどりが思わず反応した。
「へえ~、だから何よ~!?」
「ソーだ!てメーらには関係ネーんだよ!邪魔すんじゃネー!!」
 富士男と柿絵、対してみどり、堀、まる子、たまえが睨みあう。その時、野口の祖父が入ってきた。
「ちょ~っとまったあ~。喧嘩しちゃいや~よ~」
「じ、ジーさん・・・」
 富士男は野口を放した。
「ここは穏便に行きましょ~、な~んならうちにあるお茶と煎餅と饅頭で我慢してちょ~」
「う、そんなものいらネーよ!行くぞ、柿絵!!」
「え、え~・・・」
 富士男と柿絵はその場を去った。その時、堀がその場を沈めてくれた野口の祖父に感謝の言葉を伝えようとした。
「あ、あの、ありがとうございます・・・」
「え、いや~ん、こ~んなべっぴんさんにお礼を言われちゃ~、照れちゃ~う」
「は、はあ・・・」
 野口の祖父の反応に何も言えない四人だった。その後、五人はお笑いの話などでやや盛り上がった。
「のぐちんはホントお笑いの事よく知ってるんだから」
「うん、アタシもいろいろ楽しめたよ~」
「はい、野口さん、本日はいろいろとありがとうございました!」
「いえ、いえ、どういたしまして・・・」
 そして堀、まる子、たまえ、そしてみどりの四人は野口の家を後にした。
「あ、そうそう、みどりちゃん、堀さん、またウチにも遊びにおいでよ」
「え、ありがとうございます!!」
「うん、ありがとう」
「あ、そうそう、藤木さんやリリィさんにもよろしく言っといてください」
「うん、じゃあね~」
 みどりと堀はまる子、たまえと別れた
「そういえば、藤木さんもそろそろ全国大会に行く日が近いですね。できれば出発をお見送りしたい所ですが・・・」
 みどりは藤木を駅で見送る所を想像していた。

《藤木さん、きっと戻ってきて下さいね・・・》
《ああ、勿論さ、待っていてくれよ、お姫様・・・》
《はい、王子様・・・》

「あの、吉川さん!?」
 みどりは妄想に浸かっている所を堀の呼び声によって現実に戻された。
「は、はい?」
「確か藤木君の出発は平日だから無理だと思うわ」
「そうでしたか・・・」
 みどりは理想通りにはいかないと思って落胆した。
「そうだ、藤木君に手紙だしたらどうかしら?きっと喜んでくれるわよ」
「そうですね、そうしましょう!!」
 みどりは家に着いた後、藤木に手紙を出す事を決めたのだった。 
 

 
後書き
次回:「車椅子」
 藤木がスケートの全国大会の開催地、盛岡に行く時が訪れた。皆の応援を背負い、入賞を志す藤木。一方、入院中の笹山は藤木に頑張ってほしいと思い、ある事を思いつく・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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