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正統派パラドル

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第七章

「まさかですね」
「そうよ、まさかよね」
「マンモスには会えないで」
「雪男も恐竜もね」
「幸い猛獣にも遭いませんでしたけれど」
 虎や豹、狼にクズリ達だ。
「それでもですよね」
「まさか映像にね」
「こんなに映ってるとか思いませんでしたよ」 
 見れば映像、光がシベリアの大平原を歩いている最中にだ。背景になっている上空にあるものが映っていたのだ。
 光る皿型のものだ、それもはっきりと長時間映っている。光はその謎の光る球体を見つつ美奈子に話した。
「UFOが」
「凄いわよね」
「こんなことがあるなんて」
「私夢にも思わなかったわ」
「私もです」
 それこそというのだ。
「こんなことがあるなんて」
「いや、強制収容所もあったでしょ」
「お話してくれましたね」
「だからひょっとしたら心霊映像とかはね」
「写真とかでもですね」
「あるんじゃって思っていたけれど」
 それがというのだ。
「まさかね」
「UFOなんて」
「映ってるとは思わなかったわ」
「そうですよね」
「ええ、けれどね」
 それでもと言う美奈子だった。
「光ちゃんこの映像でも有名になったわよ」
「UFOと一緒に」
「そうよ、これでも有名になったからね」 
 こうしたオカルトとされる方面でもだ。
「今度はそっちの番組にも出るわよ」
「秘境とか体当たり企画以外にもですね」
「出られる番組の幅がまた広がったわよ」
 笑顔で言う美奈子だった。
「よかったわね」
「はい、じゃあこれからはUFOとかのこともですね」
「勉強していってね」
 そうした番組に出るならというのだ。
「いいわね」
「そうしていきます、こうしたことをしていくのもタレントさんですね」
「特にパラドルはそうよ」
「本当のパラドルになろうとしたらですね」
「勉強、努力も必要よ」
「そういうことですね、身体も張って」
「頑張っていってね」
 こう光に言うのだった。
「そうしていってね」
「わかりました、何かもうやることが一杯あって」
 光はオカルト関係の勉強のことも頭に入れて話した。
「そのことに必死になって」
「どうかしたの?」
「いえ、もうです」  
 それこそというのだ。
「歌とかお芝居のこともまだしたいですが」
「パラドルのお仕事になのね」
「必死になっていますね、それでそちらに考えを向けています」
「そうよね、まあ歌もお仕事が入ったりね」
「またお芝居のお仕事が入ったらですね」
「頑張ってもらうけれど」 
 それでもという口調で言う美奈子だった。
「それでもね」
「パラドルのお仕事をですね」
「全力でね」
 それこそというのだ。
「頑張っていってね」
「そうしていきます」
「その意気よ、光ちゃんは体力とやる気があるから」
 その二つが備わっているからだというのだ。
「勉強して努力していけばね」
「やっていけますね」
「そうよ、だから頑張っていってね」
「そうしていきます」
 強い声で頷いた光だった、そうしてUFOの番組でも頑張った。当初はアイドルになりたかった彼女だが今は完全にパラドルになっていた、そしてその仕事に全力で取り込み成功していた。前向きさ故に。


正統派パラドル   完


               2017・11・21 
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