初レギュラー
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第一章
初レギュラー
池田有紗はその役を聞いてすぐにマネージャーの斑鳩由美に聞き返した。
「あの、遂に私もですね」
「レギュラーよ」
由美は有紗ににこrちと笑って答えた、二重の整った目と太めの眉に小さめの唇が印象的な彼女の顔を見つつ。長い黒髪は細い髪質で縮れた感じだ。その髪を後ろで束ねていて結構なスタイルをジーンズとシャツで覆っている。
「遂にね」
「声優さんとしてデビューして一年、やっとですね」
「ずっとモブとか一話限りの役だったけれどね」
「それがですね」
「そうよ、有紗ちゃんもね」
大人な雰囲気で話す、由美は長身でスーツを端正に着ている。黒髪は短く顔立ちは大人の雰囲気を醸し出している知的なものだ。
「遂にサイトのキャラクターのところに名前が出るのよ」
「そうした役を演じられるんですね」
「ええ、ただね」
ここで有紗にこうも話した由美だった、事務所の中なのでやり取りはかなりオープンなものになっている。
「所謂憎まれ役だから」
「悪役ですか」
「そう、主人公の敵役でね」
そのポジションの役でというのだ。
「日常系コメディーアニメだけれど」
「主人公をいじめたりするんですか」
「いじめたりはしないけれど」
それでもというのだ。
「ほら、アニメでよく出るお金持ちのお嬢様で」
「オーーーーホッホッホッホとか笑って出て来てですか?」
有紗もその辺りのことは察して笑い声を出してみせた。
「ヒロインをさん付けせ呼んでいけませんわねまだまだですわねとか言う」
「そのままの役よ、原作の漫画でもね」
「そうなんですか」
「いつもドレスを着ててフランスの扇を持ってて」
「あからさまなキャラですか」
「詳しいことは原作の漫画を読めばわかるけれど」
それでもというのだ。
「まあ凄い役でね」
「敵役ですか」
「悪い娘じゃないけれどね」
「嫌われることもですか」
「あるかもね、有紗ちゃんの演技次第では」
「そうなんですか」
「そう、だから気をつけてね」
有紗にとってはじめてのレギュラー役だがというのだ。
「嫌われない様に」
「ファンの人達に」
「そうしてね」
「わかりました」
有紗は由美に素直に答えた、そして原作の漫画を読んで役作りの勉強をすると実際にだった。有紗はこう由美に言った。
「確かにちょっと間違えますと」
「嫌われるでしょ」
「はい、インパクトのある役で」
初登場からだ、大きく出ている。
「主人公にいつも絡みますね」
「絡んでね」
そしてというのだ。
「色々言ったりするでしょ」
「はい、どうにも」
「成績優秀、スポーツ万能でね」
「執事さんまでいて」
そこまでのお嬢様だというのだ。
「お家は宮殿みたいで」
「だからちょっと間違えるとね」
「嫌味な役になりますね」
「そうした感じだけれど読んでいればわかるでしょ」
「はい、嫌味な様で嫌味ではないですね」
原作の漫画を読むとそうだった。
「むしろいざって時は主人公を助けたり曲がったことはしなくて思いやりもあって」
「いい娘でしょ」
「面倒見もよくて」
「こうしたキャラにはよくあるけれどね」
「根はとてもいいお嬢様なんですね」
「そうよ、だから作品の中で人気もあって」
見れば取り巻きも多くて取り巻きへの配慮も欠かしていない。
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