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第六章
「EUの話と同じでね」
「今も残留派ですね」
「あんな愛人を中絶させたりジャーナリスト時代に記事を改竄していた様な破廉恥漢がお茶の間に受けている時点でおかしいよ」
こう言うのだった。
「そしてその様な輩の言うことを信じる」
「そのことはですね」
「民主主義の悪しき部分だよ」
「私もそう思います」
「その証拠にあの輩は今外相としてどうかな」
「全くですね」
「中身のない詭弁家だよ」
ソフィスト、それだというのだ。
「あの輩については僕は最初からわかっていた」
「民主主義の悪しき部分の象徴ですね」
「民主主義はこれ以上愚かなものもないとも言われている」
その後もこれ以上素晴らしいものもないと続く。
「そしてあの輩と騙された老人達はね」
「後世での評価は」
「詐欺師と詐欺師に騙された老害達」
実に最高のタッグである、日本では自称球界の盟主である他球団から選手を金で掠め取り使い捨てにするしか能のない球団とその球団の太鼓持ち共となるであろうか。日本のテレビでは実によく出て来る。まだ猿の芸を見ていた方がましだ。
「面白い評価だね」
「歴史の評価としては」
「それもあからさまな詐欺師に騙された」
「愚かなことこの上ないですね」
「お茶の間の人気者程胡散臭い連中はいないよ」
リチャードは侮蔑を込めて言った。
「例えオックスフォードを出ていてもね」
「大学は関係ないですね」
「詐欺師は経歴に関係ないからね」
誰でも詐欺師になり得るというのだ。
「そしてどんな職業でもね」
「詐欺師になりますね」
「そうさ、そしてあの輩はね」
「詐欺師になったのですね」
「国益を考えずに市民を誤った道に扇動するのは詐欺師だよ」
「自分が注目される為に」
「ハーメルンの笛吹き男みたいだけれど」
ドイツに出たという謎の男だ、何と実在したという。
「あの笛吹き男は約束を破られてああした」
「しかしあの輩はですね」
「私利私欲の為にそうした」
「政治家としての自分が注目され立場を上げる為に」
「それを詐欺師と言わずして何と言うか」
「他に言葉はないですね」
「若し彼が詐欺師でないのなら」
私利私欲ではなく彼なりに国益を考えて主張していたならというのだ。
「選挙の後の首相選に自ら出ていたよ」
「その『実績』を以てですね」
「しかし彼は逃げた」
「それこそが何よりの証拠ですね」
「彼はあの時に自分を詐欺師だと公表した」
その行為によってというのだ。
「そしてその詐欺師に老人達は騙された」
「詐欺師に騙された愚かな老害達となりますね」
「まさにね」
「辛辣ですね」
「歴史の評価はね、お茶の間の人気者のテレビでの発言を迂闊に信じるな」
「よく考えて聞いてですね」
「判断を下すべきだよ」
リチャードはキャサリンについて話す時とは違い極めて辛辣な口調であった、そうしたことを言いつつも。
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