転生とらぶる
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ペルソナ3
2030話
10月4日、日曜日の夜。
今日は満月で、影時間になればイレギュラーシャドウが出てくるという事で、俺達は巌戸台分寮にいた。
当然のようにゆかりとコロマルも巌戸台分寮におり、影時間になってイレギュラーシャドウが姿を現せば、すぐに戦いに行けるようになっていた。
残りのイレギュラーシャドウは3匹。
上手くいけば、今日で影時間が終わる筈だ。
もしくは、今日出て来たイレギュラーシャドウが1匹でも、来月か再来月で影時間の件が解決するのは間違いない。
そんな訳で、影時間になるまでもう数分なのだが……
「おい、荒垣と天田がいないって、どういう事だ?」
「いや、俺ッチに聞かれても……」
俺の言葉に、順平が口籠もる。
……先月は順平、今月は荒垣と天田。
一体どうなっているのやら。
そう思い、数日前の天田の様子を思い出す。
以前一度した相談にも関わらず、再び復讐について聞いて来たその様子。
あれは、もしかして荒垣が自分の母親の仇だと、そう理解しているからこその行動じゃなかったのか?
となると……
「山岸、荒垣と天田の2人がどこにいるのか分かるか? 早くあの2人を見つけないと、取り返しの付かない事になる」
「……え? それって、どういう事?」
「恐らく、荒垣は……」
「アクセル!」
俺が荒垣の件を言おうとすると、美鶴が俺の肩を掴んで止める。
……どうやら、その件はまだ他の者に話していなかったのだろう。
いやまぁ、その辺りの事情は分からないでもないが。
荒垣は何だかんだと好かれている。
それこそ、途中でS.E.E.Sに所属したのが嘘じゃないのか……といった具合に。
そうである以上、荒垣が嫌われるような真似をしたくなかった。そう考えてもおかしくはない。
「とにかく……」
真田が何かを言おうとした瞬間、日付は変わり……影時間に変わる。
「風花」
影時間に変わったのと同時、有里が山岸に呼び掛ける。
その声に、どうしたらいいのか分からなくなっていた山岸は我に返り、ペルソナを召喚する。
探索型の能力も使えるチドリはペルソナを召喚しないのか? と思ったが、チドリのペルソナは美鶴のペンテシレアと同様に探索特化というわけではなく、探索も出来るといった能力だった筈だ。
そう考えれば、探索を山岸に任せるのは当然なのか。
「いました! これは……巌戸台駅の側です!」
探索を始めてからそう時間が経たないうちに、山岸が告げる。
その探索の素早さは、探索特化型のペルソナだけの事はある。
取りあえず、これで……
「数は2匹!」
「へぇ」
山岸の報告に、小さく声を漏らす。
残り3匹となったレイレギュラーシャドウのうち、何匹が出てくるかは分からなかったが、何となく俺の予想では1匹だけだと思っていたのだ。
言うまでもなく、残るイレギュラーシャドウは3匹。
となれば、残りは1匹ずつ出て来て、ボスとしての貫禄を見せつけるのでは? と、そう思っていたからだ。
だが、ここで普通に2匹揃って出てくるとなると、もしかしてこの世界の原作では、残りのイレギュラーシャドウを倒した後でも、まだ倒すべき敵が残っているのか?
ああ、でもタカヤと幾月がまだ残っているのか。
だとすれば、もしかしてあの2人がラスボス?
いや、でも……うーん……ちょっとイメージじゃないような気がする。
ともあれ、今重要なのはイレギュラーシャドウが出て来た事と、荒垣、天田の2人が同時にいなくなったこと。
当然のようにどちらを探すにしても戦力を分散させる必要があり……そうなれば、色々と戦力的に苦しくなるのは確実だ。
特に今回はイレギュラーシャドウの残り3匹のうちの2匹が一緒に姿を現しているという事で、かなりの激戦が予想される。
それこそ、タカヤや幾月といった面々がそちらに姿を見せる可能性も決して否定出来ない。
となると、ここで戦力を分けるのは愚の骨頂な訳で……
「そうだな、なら、俺が荒垣と天田の2人を探すから、お前達はイレギュラーシャドウの対処を頼む」
結局、そう判断する事にした。
2匹のイレギュラーシャドウを任せるというのは多少心配ではある。
だが、どこにいるのかも分からない荒垣達を探し回るのに必要なのは、当然のように俺の力だ。
ましてや、その場所に移動するにしても俺の場合なら影のゲートを使って移動出来る。
そうなれば、誰が荒垣達を探した方がいいのかは、考えるまでもないだろう。
「いや、だが……」
荒垣と一番古い付き合いの真田が、俺に向かって何かを言い掛ける。
実際、戦闘狂……とまではいかないが、強敵との戦いを楽しむ傾向にある真田ではあったが、それでも俺の言葉に素直に納得は出来ないらしい。
この辺は、荒垣と天田の間にある因縁を知っているからこそだろう。
「安心しろ。俺が2人を必ず無事に見つけて連れていく」
「……」
俺の言葉に、真田はじっとこちらを見てくる。
その言葉が本当であるのかどうか、それを確認するかのように。
そして……そのまま1分程が経過すると、やがて真田は頷きを返す。
「分かった。頼む」
本来であれば、真田は自分で荒垣達を探したかったのだろう。
だが、真田と俺のどちらが素早く荒垣達を探し出せるのかを考えれば、当然それは俺になる。
そして、荒垣達を探すのには俺だけがいれば問題なく、寧ろ真田がどうにかして探そうにも、意味のない事になりかねない。
そしてイレギュラーシャドウは2匹おり、真田はペルソナ使いとしてはかなり優秀だ。
であれば、真田がどちらにいくのが正しいのかは、考えるまでもないだろう。
真田もそれを理解したからこそ、荒垣達の探索を俺に任せた……といったろころか。
そうして真田が俺に頼めば、美鶴も同様に納得し、それ以外の面々も不服はなく……他の面々はすぐに戦闘準備を整え、俺が影のゲートで巌戸台駅の側まで送るのだった。
「……さて」
ゆかり達を巌戸台駅の近くまで送ると、俺は離れた場所に移動する。
そして、荒垣達を探そうとするのだが……正直なところ、どうやって探せばいいのか迷う。
いや、この場合は探す手段がないので迷うのではなく、幾つか手段があるからこそ迷うという表現が正しい。
簡単に思いつくだけでも、空を飛んで地上で動いている相手を探す。炎獣を大量に放つ、スライムを使って探す。そのような手段が思いつく。
そのうち、どれもがそれなりに有効な手段だけに、迷ってしまうのは当然だろう。
取りあえず、空を飛ぶのは却下だな。
建物の中にいれば見ることが出来ないし、中にいなくても陰にいた場合は見つけることが出来ない。
そうなると選べる手段はスライムか炎獣という事になり……
「この場合、スライムだな」
呟き、空間倉庫からスライムを呼び出そうとするも、すぐに止める。
よく考えればこの状況でスライムを使えば、美鶴、山岸、チドリといった探査能力のペルソナを使う連中に見つかる可能性もある。
……タルタロスの中で散々使っておきながら、今更その辺を考えてもいいのか? と思わないでもなかったが、タルタロスの中というのはシャドウが大量にいるし、そもそも有里達を含めて仲間のフォローでそれどころではない。
だが、タルタロスの外ではそう簡単にもいかないだろう。
そうであることが予想される以上、こちらとしてもその辺りをしっかりと考える必要がある。
まぁ、ゆかり達にはスライムを見せているんだから、いっそ公開してしまってもいいのかもしれないが。
そんな風に思っていると、まるでそのタイミングを計っていたかのように山岸からの連絡が来る。
『見つけました』
俺が場所を聞くよりも早く、元々向こうはそのつもりだったって事か。
手間が省けたのは間違いないが。
「そうか、それで場所はどこだ?」
そうして荒垣と天田のいる場所を聞き、俺は影のゲートを使って転移し……山岸の言った場所には、間違いなく二人の姿はあった。
だが、それを見つけても、俺はすぐに出ていくような真似はしない。
今、この状況で一気に飛び出るような真似をすれば、今回はどうにかなっても、この先に何度も同じような事が起きるだろう。
ましてや、下手をすれば荒垣か天田のどちらかがS.E.E.Sから抜けてしまうという可能性すらあった。
そう考えれば、やはりここはギリギリまで様子を見た方がいいのは間違いない。
「僕がなんで今日、こんな時に呼び出したのか……それは、言わなくても分かりますよね?」
「ああ」
そんな声を聞きつつ、俺は気配を殺し、2人の様子を窺う。
気配遮断を使う……といった真似はしていないが、それでも荒垣達に俺の気配を察するような事は出来ない。
この辺り、まだまだ修行不足……といった感じなんだろうな。
エヴァ辺りがここにいれば、間違いなく猛特訓が待っているだろう。
そんな風に考えている間にも、天田と荒垣の話は進んでいた。
「俺がお前の母さんを殺したのは、間違いねえ。やれよ。その為に、お前はこれまで生きてきたんだろ?」
「……そうやって大人しく死を受け入れるような真似をすれば、僕が殺さないとでも、思ってるんですか?」
天田が小学生とは思えないような、鋭い視線を荒垣に向ける。
だが、その視線を向けられた荒垣は、全てを受け入れるかのように、天田に対して何か反応する事はない。
もし天田が今の状況で荒垣を殺そうとすれば、ほぼ間違いなく防ぐような事もせずに、そのまま受け入れるだろう。
もし天田が本当にその気になった場合、すぐに止めに入れるようにしながら、2人の様子を眺める。
だが、そのようにしながらも、俺はそれ程心配してはいなかった。
何故なら、荒垣を睨み付ける天田に殺気が存在していなかった為だ。
もし本当に天田が荒垣を殺そうとしているのであれば、そこには間違いなく殺気がある筈だ。
それがないという事は……多分、問題はないと判断してもいい筈だった。
「では……僕のお母さんを殺した事を後悔しながら、死んで下さい」
そう言い、天田が槍を構える。
……本当に大丈夫だよな?
こうして見ても天田は殺気を発してないが、その言動は間違いなく荒垣を殺そうとしているように思える。
言動が一致していないというのは、まさにこういう時の事を言うんじゃないだろうか。
そう思いながら様子を見ていると、やがて天田は槍を構え……突きを放つ。
小学生の一撃ではあるが、今までシャドウと戦い、S.E.E.Sの連中と訓練をし、俺もまた同様に訓練をしてきた。
その結果、天田の放つ一撃はとてもではないが小学生が放てるようなものではなくなっている。
それこそ、まともにその一撃を受ければ、荒垣であっても致命傷となるくらいの威力は持っているのだ。
止めるかどうか一瞬本気で迷い、だが槍の軌道を見て安堵の息を吐く。何故なら……
「何でだ?」
ニット帽を被った荒垣の頬からは、一筋の血が流れている。
だが、それはあくまでもかすり傷でしかなく、到底致命傷とは呼べない程度の傷。
何故だ、と。そう荒垣は天田に尋ねる。
それは、挑発とかではなく、純粋に何故天田が自分に対して槍を刺さなかったかという、そんな疑問。
そんな疑問を向けられた天田は、特に動揺や悩んだりした様子も見せずに、口を開く。
「もしここで僕が貴方を殺してしまえば、少しはすっきりするかもしれませんが、逆に荒垣さんもこれ以上は苦しまずにすみますよね?」
その言葉は荒垣にとっても完全に予想外だったのか、数秒前に浮かべていた全てを受け入れるかの如き表情は、驚愕に変わっていた。
そして俺は、そんな天田の言葉を聞けば、何を思っているのかを想像するのは難しい話ではない。
それはつまり、天田が俺の言葉を受け入れたという事。
「けど、ここで荒垣さんが死ななければ……その場合、荒垣さんが僕を見れば、その度に自分の罪を意識し、苦しむ事になる筈です」
「それは……」
天田の言葉が図星だったのだろう。
荒垣は何かを言おうとするも、それ以上は言葉に出せない。
実際、もし荒垣が自分のやった事を後悔しておらず、天田を見ても何も感じないような男であれば、天田もこのような行為をしたりはしなかっただろう。
それこそ、最初から考えていたように荒垣の命を奪っていた筈だ。
そうならなかったのは、荒垣の性格あってこそだろう。
ほっとし……俺は拍手しながら姿を現す。
「まさにハッピーエンドって奴だな」
「なっ!?」
「アルマーさん!?」
いきなり姿を現した俺の姿に、荒垣と天田の2人は驚愕の表情を浮かべる。
……にしても、俺達が目障りなタカヤや幾月にしてみれば、こうして影時間の中で2人だけで行動している荒垣と天田は格好の標的だった筈だ。
そう考えれば、襲撃されてもおかしくはなかったんだが……やっぱり、チドリを失ったのが痛いのか?
そんな風に思いつつ、俺は2人の方に近づいていくのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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