のっぺらぼう

　　　　　　　　　　　　　　　大阪ののっぺらぼう
　山本春菜は大阪市港区に住んでいる大学生だ、通っている大学は八条大学で学部は文学部である。
　背は一五六程で茶色がかったセミロングの髪に優し気な目鼻立ちと薄い眉が印象的な童顔を持っている。胸は八十八ある。
　その春菜は最近よく遊びに行っている同じ港区に住んでいる叔母の家の子供である打本翔太、まだ小学校五年であどけない顔立ちの彼にこんなことを言われた。
「お姉ちゃん誰とも付き合ってないの？」
「六人同時に付き合ってるって言ったらどうするの？」
　春菜は翔太に笑って返した、上はクリーム色のブラウスで下は青のひらひらとしたミニスカートで黒いハイソックスを穿いている。
「そうだったら」
「それ嘘だよね」
　翔太は春菜にすぐにこう返した。
「絶対に」
「わかるの」
「というか六人同時って時点で」　
　それでと言う翔太だった。
「ないから」
「そうよ、今は一人もね」
「付き合ってないんだ」
「ええ、高校卒業と一緒に自然解消して」
　それでというのだ。
「今はね」
「誰ともなんだ」
「付き合ってないわよ」
「姉ちゃんの胸だったら彼氏位すぐだろ」
　翔太は春菜のその豊かな胸を見て言った。
「それこそ」
「世の中そんなに甘くないわよ」
「胸が大きくてその顔だったら誰でも来るだろ」
「何言ってるの、それで彼氏がすぐに出来たらね」
　それこそと返す春菜だった。
「苦労しないわよ」
「そうなんだ」
「そうよ、そろそろまた誰かと付き合いたいし」
　春菜は本音を述べた、今は翔太の部屋で二人で話をしている。
「色々努力してるけれど」
「それでもなんだ」
「誰ともね」
　交際までは至っていないというのだ、合コンにもよく出ているが。
「そうよ」
「それは残念だよな、姉ちゃんも」
「かなりね、けれどね」
「けれど？」
「そっちの努力もしてるから」
　メイクやファッションも気をつけている、今どきの女子大生らしくしているのだ。ミニスカートもそのうちの一環だ。
「何時かはよ」
「頑張れよ、俺だって彼女いるからな」
「小学生でなの」
「同じクラスの美幸ちゃんと内緒でな」
「小学生でそれはないでしょ」
「いいだろ」
　翔太は春菜に胸を張って応えた。
「自慢してるぜ、俺」
「本当にいいわね、しかしね」
「しかし？」
「いや、こんなお話をしてるとね」
　春菜は翔太に今度はこんなことを言った。
「お腹空いてきたわ」
「さっき晩御飯食べただろ」
「それでもお腹が空いてきたのよ」
　そうだというのだ。
「どうもね」
「何だよ、よく食うな姉ちゃん」
「甘いものを食べたくなったのよ」
「甘いもの食ってると太るぜ」
「毎日十キロ走ってるから大丈夫よ」
　スタイルに気を使ってそうしているというのだ。
「結構食べても、それにまだ八時じゃない」
「八時だったら食べてもいいのかよ」
「九時までだったらいいの」
　そこも気をつけているのだ。