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目目連

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第五章

「絶対にそうだって思ってたよ」
「そうよね」
「で、あれ何なんだよ」
「目目連っていう妖怪で」
 その妖怪の名前も述べた。
「ああした場所に出るらしいわ」
「そうなんだな」
「まあああして気持ち悪いけれど」
 それでもとだ、つづりはきつねうどんの中の薄あげを食べつつ話した。
「別に何もね」
「してこないんだな」
「そうみたいよ」
「それはよかったな、けれどな」
「気持ち悪かったわね」
「こっち見ててな」
「びっくりしたわ」
「私もよ」
 ナポリタンを食べているちえりも言ってきた。
「いや、まさかね」
「妖怪がいるなんてか」
「思わなかったの」
「というかずっと言ってたけれど」
 昨日その民家の中でというのだ。
「幽霊とか妖怪とかね」
「信じていなかったんだな」
「そうなのね」
「それでいたからよ」
 だからというのだ。
「どれだけ驚いたか」
「だから言っただろ、いるかも知れないってな」
 ますみはちえりに少し怒った目になって告げた。
「ああした場所にはな」
「幽霊なり妖怪が」
「それで実際にいただろ」
「ええ、びっくりしたわ」
「妖怪はいるんだよ」
 実際にというのだ。
「あんな気持ち悪いだけの妖怪ならいいけれどな」
「怖い妖怪だと」
「本当に食い殺されたりするからな」
 そうなってしまうからだというのだ。
「もうああした場所には行くなよ」
「廃墟巡りはっていうのね」
「そうだよ、変な場所には行かないに限るよ」
「廃墟だけじゃなくて」
 つづりもちえりに言った。
「それこそね」
「変な場所には」
「最初から行かないことよ」
「これでわかったな、もう止めろよ」
 ますみはちえりに真剣に忠告した。
「廃墟巡りとかはな」
「そうした方がいいわ」
 つづりも忠告した。
「もう二度とね」
「するなよ、するならな」
「百貨店行けばいいじゃない」
 そこにというのだ。
「今日も行くし」
「そうだよ、廃墟じゃなくて九州フェスタ行くぞ」
 そこにというのだ。
「いいな、今日は」
「そうしましょう」
「わかったわ、昨日で私もね」
「じゃあもうね」
「変な場所には行かないでね」
「そうするわ。じゃあ今日は別の意味で楽しい場所に行きましょう」
 ナポリタンを食べつつ二人に言った。
「百貨店ね。それでそこでね」
「ええ、博多ラーメン食べるわ」
「私は長崎ちゃんぽんよ」
「他にも色々食べたいし」
「楽しみましょう」
「ええ、私もそうするわ」
 ちえりはますみとつづりに確かな声で応えた、もうちえりは廃墟巡りはしなくなった。そして幽霊や妖怪も否定しなくなった。その目で見ただけに。


目目連   完


                  2018・4・25 
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