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夢幻水滸伝

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第四十七話 越前にてその十三

「それでやな」
「そや、それでや」
 まさにとだ、芥川も言う。
「そこにばっかり銭を使うとな」
「内政に銭が回らんでな」
「あかん、まして個人の贅沢に使うとかな」
 それはというと。
「これも収入にならんしな」
「しかも軍は戦に使えるけどな」
「贅沢してもな」
 それでもというのだ。
「そこから芸術が生まれたりするけど」
「まあ普通はな」
「個人の満足や」
「それだけやな」
「太陽王はそこから芸術は生まれたけどな」
 ベルサイユ宮殿に代表されるバロック芸術である、ルイ十四世の途方もない贅沢がこの芸術を生み出したのは事実だ。
「それでもフランスは戦争とそういうのばかりに予算を使ってな」
「それでやな」
「国が傾いたな」
「民衆は重税で苦しんだな」
「そうなるからな、まあそういうのはな」
「うちではやな」
「せん、そもそも芸術は王様や貴族から生まれるだけやないやろ」
 芥川はこのことを強い声で言った。
「そやろ」
「そうです、所謂大衆文化です」
 太宰がここで言ってきた。
「そちらもあります、そしてです」
「うちはやな」
「それを実らせるべきなのです」
 太宰は中里にも話した。
「統治する我々が贅沢から生み出すのではなく」
「民衆がやな」
「平和な暮らしの中で豊かさと余裕を感じ」
「その二つからやな」
「生み出すべきなのです」
「それが文化のあるべき姿か」
「少なくとも太平洋ではそうでしょう、どの勢力もこれといった階級が最初からないかなくしていっています」
 そうした状況だというのだ。
「ですから」
「僕等もか」
「はい、我々も大衆文化を目指すべきです」
 こう言うのだった。
「それがいいのです」
「ほなこのままやな」
「国と民を豊かにしていくべきです」
 内政を積極的に行ってというのだ。
「文化を栄えさせたいのなら」
「成程な」
「教育にも力を注いでいきますので」
「民衆がどんどん文字を覚えてやな」
「そうです、それで文学等も栄えていきます」
「そういうことやな、わかったわ」
「では内政はこれから一層力を注いでいきます」
 人材が揃った、それならばというのだ。
「日本統一も進めながら」
「同時進行、これからは戦をしてもやな」
「内政は止まりません、これまでそうなる傾向がありましたが」
 それがというのだ。
「大きく変わります」
「内政が止まらんと進んで」
「それと共にです」
「戦やな、ほな戦はな」
「次は間違いなく東海と北陸になりますので」
「もう国境には十五万の兵を置いた」
 二十万の兵のうちのそれだけをだ。
「後はやな」
「用意が整えば」
「こっちから攻めるか」
「相手は六万、その六万の軍勢をです」
「叩くか」
「そうしましょう、ただ問題は東国です」
 この勢力のことも話に出す太宰だった。
「あの勢力がどうかです」
「あそこか」
「はい、あちらは日本第二の勢力であり」
「十四万の兵がおるな」
「そうです、星の者は九人です」
 星の者の数の話も出た。
「東国にいるのは」
「九人か」
「はい、しかも棟梁はです」
 東国のその者はというと。 
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