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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2020話

「いらっしゃい、いらっしゃい。月光祭名物の鉄板焼きだよ!」

 友近の声が周囲に響くが、それを聞いてる方としてはいつの間に学園祭でこの鉄板焼きが名物になったのかを知りたい。
 もっとも、そんな友近の声に惹かれるようにして、何人もの客がやってくるのだから、友近の声も役に立っているって事なんだろう。

「焼きそば3人前ちょうだい!」
「はいよ、1500円だ。アルマー。焼きそば3人前。可愛い子だから、少しサービスしてやってくれよ」

 受付をしている同級生の言葉に、俺は小さく頷いて焼きそばを作り出す。
 フライパンとかだと出来ないような高温で一気に炒めるので、焼きそばとしては十分に美味くなるんだよな。
 これが家庭のガスコンロとかでやる場合、ビニールから取り出した焼きそばの麺をそのまま数分中火で焼くとかしてから解さないと、焼きそばらしい香ばしさはつかないらしい。
 以上、俺が屋台で鉄板焼きをやると言った時、荒垣から教えて貰った焼きそばを作るコツの1つだ。
 もっとも、そのコツはどちらかと言えば鉄板で焼きそばを作るのではなく、家庭のフライパンで焼きそばを作るコツになっているような気がしないでもないが。
 ともあれ、俺は常温に戻しておいた焼きそばを鉄板の上で炒めていき、肉や野菜――ただし原価率を考えてキャベツ多め――も同様に炒めていく。
 そうして取りあえずサービスしておくって事で、目玉焼きも同時に作っておく。
 そうして麺に水を掛けて鉄板の熱で蒸発させつつ解し、肉と野菜と一緒に炒め、そこにソースを掛ける。
 もっとも、このソースは焼きそば専用のソースではあるが、手作りって訳じゃないスーパーで売ってるソースだが。
 ソースが鉄板の上に掛かると、その焦げる臭いが周囲に食欲を掻き立てる香りをばらまく。
 そうして焼きそばを仕上げると、それを入れ物――フードパックとかいうらしい――に詰めていき、それぞれに目玉焼き、紅ショウガ、青のりとトッピングしていく。
 ここまで、数分。
 鉄板の火力が強いから、長々と炒めたりする必要がないってのは嬉しい。
 最初に焼きそばを作った時は、麺を炒める時に千切れてしまったり、キャベツや肉を細切れにしすぎてしまったりと、色々失敗もしたが……それでも、ある程度長い時間やっていれば慣れてくる。

「うわぁ、美味しそう。ありがと、アルマー君」

 女は、そう言いながら焼きそばを受け取って去っていく。
 俺の名前を知ってたってことは、月光館学園の生徒か。
 仮装してたから、ちょっと分からなかったが。

「へぇ……ありがとう、だってよ。俺には何も言わなかったのに」

 料金の受け取りをやっている男が、不満そうにそう言ってくる。

「不満なら、お前が鉄板焼きを作ってみるか? それでも俺は構わないけど」
「……止めておく」

 料理に自信がないのか、男はあっさりとそう言う。
 やってみれば、そんなに難しくはないんだけどな。
 いや、勿論手の込んだ料理とかになれば色々と難しいのは間違いない。
 だが、俺がやってる料理なんか、そこまで難しいものじゃないのは事実だ。
 多少の慣れは必要だろうが、野外でバーベキューとかをやる時は、こういうのが出来た方がモテたりするんだが。
 まぁ、本人が必要ないって言ってるんだから、今更それを言ってもしょうがないか。

「ステーキ!? 嘘だろ、学園祭の出店でステーキが食えるのかよ!?」
「はい、そうですよ。しかも、聞いて驚く事なかれ……A5ランクの牛肉を使ったステーキです! もっとも、レアとミディアムレアは無理ですけどね」

 客寄せの女が、メニューを見て驚いている男に対してそう告げる。
 男はレアでステーキを食べるつもりだったのか、その言葉に少しだけ残念そうな気がする。
 だが、それはしょうがない。
 俺を含めて、しっかりとしたレアでステーキを焼けるなんてメンバーは誰もいないんだから。
 いや、やろうと思えば出来るかもしれないが、正直なところ俺はレアと生焼けの違いすらよく分からない。
 そんな俺がレアのステーキを焼こうものなら、それこそ最悪食中毒で屋台が閉鎖という事態にも……いや、それどころか学園祭そのものが中止になる可能性も否定は出来なかった。
 そんな訳でステーキはレアとミディアムレアは無理で、火を完全に通したウェルダンのみとなる。
 クラスの中には、折角のA5級の肉がそれだと勿体ないって主張するような奴もいたんだが、本職の料理人って訳じゃない俺達が作るのを考えると、やっぱり完全に火を通した方が安全だった。
 勿論、自分達だけで食べるというのであれば、それこそレアとかでもいいんだが。

「じゃあ、ステーキ100g。ソースは……えっと、和牛のA5ランクなんだよな?」
「はい、そうなります」
「じゃあ、醤油とワサビで」

 客からの注文が入り、常温に戻しておいた牛肉に塩・胡椒を振る。
 本来なら、塩は今のように焼く直前でいいんだが、胡椒は肉を焼く15分から20分くらい前に振った方がいいらしい。
 これも荒垣から習った事だが、胡椒というのはマスキング効果……とかいうのがあって、ようは肉の臭み消しが主な効果なんだとか。
 そんな訳で、ある程度の時間が必要になるらしい。
 もっとも、この月光祭という学園祭ではそんな事をするような余裕はないので、焼く直前に塩と一緒に掛けているのだが。
 まぁ、学園祭とかで食べる客だって、別に美食を求めている訳ではない。
 言い方は悪いが、そこそこの味であれば十分満足する。
 ……ちなみに、ワサビの方はチューブのワサビだが、本わさびをメインに使っている、ちょっとお高めのワサビだったりする。
 普通のチューブワサビが1本100円前後なのに対して、498円。
 うん、5倍近い値段の高級ワサビだ。
 いや、スーパーで見つけた時は、正直どうしようかと思ったんだが……別に金に困ってる訳じゃないし、話の種にも丁度いいと考えて、結構な数を纏め買いしたんだよな。
 ぶっちゃけ、そんな真似をするなら専門店で本わさびを買えばいいだけなんじゃないかって、後になって気が付いたが。
 新鮮さという意味でも、空間倉庫の中に入れておけば悪くなるような事はないんだし。
 ともあれ……100gのステーキを焼き、焼きそばの時とは違って紙の皿に盛りつけ、ワサビ醤油を渡す。

「美味っ! うん、美味いなこれ」

 客はそう言い、満足してから焼きそばを追加で注文して去っていく。
 A5ランクの肉である以上、当然のようにその値段は相応に高い。
 おかげで儲け的な意味ではかなりのものになったのだが……今の客は社会人らしく、あっさりと金を払ったな。

「アルマー、サザエの壺焼きを頼む!」

 また新しい客から注文が入る。
 ……俺の前に鉄板を任されていた奴が、かなり大変だったって言ってたけど……それは間違いないな。
 素直に、焼きそばだけとかにしておけばよかった。
 もっとも、サザエの壺焼きはそう難しくはない。
 醤油と酒を混ぜた調味料を、サザエの中に入れて、後は鉄板の上に置いておけばいいだけだ。
 調味料が入れられた瞬間、サザエの蓋はすぐに閉まる。
 ……いやまぁ、いきなり醤油やら酒やらを自分の家の中に入れられれば、そんな風になるのも当然だろうが。
 ともあれ、そのサザエを鉄板の上に置いておけば、やがてその熱で壺焼きが完成する。
 実際には、サザエの身を取り出して切り分け、それをまた貝の中に戻す……といった手間を掛けた方がいいのかもしれないが、学園祭でそこまで手間を掛けるのもどうかと思うので、完成した壺焼きに太い爪楊枝……むしろ短い串? と一緒に客に渡す。

「美味い! これ、本物のサザエじゃん」

 その言葉に、偽物のサザエもあるのか? と一瞬思ったが、取りあえず今はそれよりも他の料理を焼いていく必要があった。

「アワビの地獄焼き、注文入ったけど、まだある!?」

 その注文にクーラーボックス――ただしかなり巨大な奴――を確認すると、そこにはアワビがまだ10個以上ある。

「問題ない」

 そう言いながら、アワビを鉄板の上に置く。
 すると、まだ生きているアワビがその熱を嫌がって踊り出す。

『おおおおおおおお』

 こんな風にして踊るアワビというのを初めて見たのか、屋台の周りにいた客達がそろって感嘆の声を上げた。
 まぁ、金持ちならまだしも、中流家庭と言われるべき者達はアワビなんて食べる機会は早々ない筈だ。
 また、何らかの理由でアワビを手に入れたとしても、食べるのは大抵が刺身だろう。
 アワビのあのコリコリとした食感は、まちがいなく美味いと言い切れる代物だし、それは分かる。
 だからこそ、こうしてアワビに熱を通すといった行為は、信じられないといった風に見える者も多いんだろう。
 もっとも、このアワビの地獄焼きは焼き上がるまでに何だかんだと時間が掛かる。
 10分……アワビの大きさによっては、それ以上に時間が掛かる可能性があった。
 もっとも、アワビが踊っている光景を見たり、それを見ながらすぐに食べられる別の料理を注文したりといった風にしていれば、10分なんて時間はすぐにすぎてしまうのだが。
 ともあれ、そんな間にも客はどんどんとやって来て、俺ともう何人かで必死に鉄板焼きの材料を焼いていく。
 いや、まさかこんなに客が集まるとは思っていなかった。
 まぁ……あの台風の影響で学園祭が行われないという風に考えて、色々と中途半端なクラスがあったのも、影響しているだろう。
 特に俺達のように屋台をやるとなると、当然その屋台をやる場所は外になる訳で、台風なんかが存在するとなれば、思い切りそれが影響してくる。
 そうである以上、台風が来たという時点でやる気がなくなった者が多くなっても、それはしょうがない。
 ……実際、俺達のクラスだってやる気がなくなっていた者はそれなりにいた。
 それでも最終的にきちんと屋台が完成して準備万端に出来たのは……男にはゆかりが、女には有里がそれぞれやる気を出すようにして励ましていった、というのが大きい。
 結果として、何だかんだと俺達のクラスが1人勝ちしているような状況な訳だ。
 特に俺達のライバルと言われていた3年B組のお好み焼きの屋台は、今朝になってから慌てて材料を用意する為に走り回っている状況で、具材が色々と足りなくて何枚かお好み焼きを作ってもすぐに売れて材料切れになるらしい。
 ご愁傷様、としか言えないな。
 まぁ……と、少し周囲の様子を眺めつつ、視線を空に向ける。
 そこに広がっているのは、まさに秋晴れと呼ぶに相応しい青空だ。
 うん、俺が台風を消滅させた甲斐があったというものだな。

「アクセル、焼きそば2人前頼む!」

 いつの間に売り子に代わったのか、順平がそう言ってくる。
 嬉しそうな様子なのは、やっぱりこうして無事に学園祭を楽しむ事が出来ているからだろう。
 学園祭に参加出来なかったかもしれないのに、こうして参加出来ているのだ。
 誘拐云々の件も含めて、順平の性格を考えれば、これで喜ばない筈がない。
 ……もっとも、順平が熱を上げているチドリは、まだ病院で色々と検査やら何やらをしているらしいが。
 イクシールで回復してはいるのだが、病院としてはそれでもしっかりと検査をしているらしい。
 正確には、イクシールの成分を少しでも分析出来ないかと、そんな風に考えているらしいが。
 別にそれは構わない。病院にいる医者とはいえ、どちらかと言えば科学者的な一面も持っているのだ。
 そういう者達にとって、制御剤の副作用も回復させることが出来るイクシールというのは、それこそ喉から手が出るほどに欲しい物なのだろうから。
 ともあれ、そんな訳で順平は学園祭を十分以上に楽しんでいた。
 そんな順平に焼きそばを詰めたパックを渡すと、再び別の人物に声を掛けられる。

「アルマー君」

 声を掛けてきたのは、クラスメイトの女。
 俺とはそんなに話した事はない相手だが、ゆかりと話している光景はそれなりに目にする。

「注文は何だ?」
「ううん。違うわ。交代の人が来たから、アルマー君はちょっと学園祭を見て回ってきたら? それに……ほら」

 そう女が示す方にいたのは、ゆかり。
 俺の方を見ていたのか、目が合うと少し照れくさそうな笑みを浮かべる。

「ゆかりを放っておく訳にもいかないでしょ?」
「それは……」

 何かを言おうとしたが、交代要員としてやった来た女が俺に手を伸ばす。

「ほら、私が代わるから行ってきなよ」

 そんな訳で、俺はゆかりと共に学園祭を回ることになる。

「ねぇ、向こうの方に鯛焼きを作ってる屋台があるらしいけど、行ってみる?」
「鯛焼き? また、難しそうなものを」
「難しいの?」
「取りあえず、俺は作れないな。作るにも専門の鉄板が必要になるし」
「ふーん……じゃあ……」

 そう言ってゆかりが俺の手を引っ張った、その時……

「ゆかり」

 その声が聞こえた瞬間、俺の手を握っていたゆかりがビクリと動きを止める。
 この様子を見ると、間違いなく聞き覚えのある声だったのだろう。
 そうしてゆかりは、後ろを振り向く。
 どこか泣きたいのや怒り出したいのを我慢するようにしながら。

「……お母さん」

 そう、一言だけ漏らして。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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