| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十話 今度は南へその七

「誰がその様な軍勢とそれを持つ領主や騎士団を信じるでござるか」
「敵とみなすか」
 信じるどころかだ。
「そうなるよな」
「そうでござる」
「そしてその領主とかの敵につくか」
「民を敵に回しては何も出来ないでござる」
「政も戦もな」
「それでは賊でござる」
 まさにそれだというのだ。
「だからでござるよ」
「そうしたことはだよな」
「絶対にしないでござる」
 それこそ何があってもというのだ。
「真っ当な騎士団や領主ならば」
「それが普通だよな」
「そうでござる、この島では」
「だよな、そう思うとな」
 戦のその在り方についてだ、久志は心から思った。
「こっちの世界は相当にましだな」
「戦禍ってのが少ないとな」
 正も言ってきた、この世界にいて彼もこの島の戦を見てきたからこそ言えることだった。
「それだけで幸せな世界だよ」
「だよな」
「しかもこの世界宗教対立もないしな」
 欧州を長い間蝕んできたそれもというのだ。
「このこともいいな」
「だよな、何かそう思うとな」
「この島はか」
「中世の欧州みたいだけれどな」
「中世の欧州よりもだよな」
「ああ、中世っていっても十七世紀位までのな」
「そうした頃の欧州よりもな」
 正が言ってきた。
「いいな」
「そうだよな、やっぱり」
「ああ、技術だってな」
「当時の欧州よりいいしな」
「風呂も多いしな」
「ああ、風呂な」
「当時の欧州なんてな」
 それこそというのだ、久志に。
「もう何年かに一度とかな」
「そんな割合でだったな」
「風呂に入ってたからな」
「俺達みたいに旅に出ていない間は毎日みたいとかはな」
「なかったんだよ」
 当時の欧州はというのだ。
「あくまで一時期だけれどな」
「ルイ十四世の頃は滅多に入らなくてか」
「その前は結構入ってたらしいけれどな」
「そうだったんだな」
「風呂屋があって朝に入っていたってな」
 その様にというのだ。
「本に書いてあったぜ」
「そうだったんだな」
「わりかし入っていた時代もあったんだよ」
 中世の欧州にもというのだ。
「それでローマ帝国の頃はな」
「風呂は文化だったな」
「ローマ人は風呂好きだったんだよ」
 カラカラ大浴場等かなりの施設もあった、この大浴場は言うならば政府が公式に造ったスーパー銭湯であり図書館等すらあった。
「だから時代によってな」
「そこは変わるか」
「ああ、けれどこの島の文化の頃の欧州はな」
 彼等が起きている世界のそちらはというと。
「やっぱりな」
「そうした感じだったんだな」
「風呂もな」
「やっぱりそうか風呂のことでもな」
 現代の日本人らしく風呂に入ることが多く好きな久志としてはだった。
「嬉しいな」
「そうだね、僕もお風呂好きだしね」
 剛も笑って応えた。
「いいことだね」
「風呂はいいよな」
 しみじみとして言った久志だった。
「身体も奇麗になってな」
「ほぐれてね」
「気分もすっきりしてな」
「だからね」
「ああ、こっちの島で風呂が普通にあるのはな」
 そして入られることはというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧