【完結】猫娘と化した緑谷出久
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猫娘とUSJ編
NO.016 大猫変化、そして……。
前書き
更新します。
少し時間を遡って飯田は13号や仲間達の援護もあって抜け出すことに成功し、なんとか校舎の方まで全速力で走ってきてすぐさまに職員室に駆け込んだ。
「先生方! 一大事です!! USJにヴィランの軍団が!!」
『ッ!?』
飯田の一言で即座に動ける者達は全員支度を始めだした。
それは隣の校長室の部屋にいるオールマイトと根津校長にも聞こえていたために、オールマイトはすぐさま飯田にマッスルフォームになって駆け寄った。
「飯田少年……よくぞ教えてくれた」
「オールマイト! 早く、早くみんなの事を!」
「わかった!」
オールマイトはどの教師よりもすぐにUSJへと向かっていった。
オールマイトの顔には焦りの色が見えていた。
「(やはり直感に従った方がよかったか! 緑谷ガール、それにみんな、無事でいてくれよ!!)」
今出せる全速力でオールマイトは走っていくのであった。
出久は脳内が今か今かとやばいやばい、という緊急信号が鳴り響いていた。
ヴィラン達のおそらくリーダーだろう男―――死柄木弔は改人『脳無』を相澤と戦わせてその圧倒的な強さに相澤は完全に倒されてしまっていたのだ。
「対オールマイト専用のヴィラン、脳無の出来栄えはどうかな? イレイザー……?」
「ッ!」
相澤は何とか抜け出そうとするがそれをさらに上回るように押さえつけている脳無が相澤の腕を折っていく。
出久たちはそんな光景を隠れながら見ているしかなかった。
「やべぇよ緑谷……あいつ先生をあんなにしちまってるよ……」
「うん……。どうにかして助け出さないと相澤先生が殺されちゃう……」
「助けるっていうけどどうするの出久ちゃん? あれに対抗できる手段は限られているわよ?」
「うん……ここにオールマイトがいない以上対抗手段は少ない。だけど……」
そんな時に出久の猫耳がヴィラン達の声を拾った。
生徒の一人が脱出してもう少しすれば教師たちがやってくるだろう、と……。
出久はそれに希望を持った。
オールマイト達が来るのならやれる事が増えるからだ。
だが、そんな折に死柄木弔がある事を言った。
「あーあ……ゲームオーバーか。仕方ないな……それじゃ帰る前に少しでも―――」
瞬間、出久はピリッとした悪寒を感じ取って一気に空気を吸い込んだ。
そして死柄木弔がこちらに走り出す瞬間と、出久がハウリング・インパクトを放つタイミングが完全に重なった。
「にゃぁぁああああああ!!」
「ちぃっ!? ぐあっ!!」
先んじたのは出久の方だった。
真正面から衝撃波を食らった死柄木弔は大きく吹き飛んでいき岩盤に背中から打ち付けられてずるずると崩れ落ちていた。
「死柄木弔!? おのれ、生徒と侮って油断しましたか! 脳無、彼女の相手をしてやりなさい」
「……………」
黒い霧のヴィランはほぼ戦闘不能状態の相澤先生をもう眼中にいれずに死柄木弔の方へと向かっていった。
命令された脳無はそれで出久たちの方へと向かってくる。
「……やるしか、ないみたいだね」
「出久ちゃん……」
「緑谷……」
出久の言葉に蛙吹と峰田は心配の声をかける。
「二人はすぐに無防備の相澤先生の事を連れてみんながいるところまで逃げて……僕があいつと戦って時間稼ぎをするから!」
「で、でもよぉ!」
「峰田ちゃん! 今は出久ちゃんの言葉に従いましょう。戦闘能力が低い私達では足手まといになってしまうから」
「くぅ……おいらにもっと力があれば……!」
それで男泣きをする峰田。
しばらくして二人は無防備に晒されている相澤の方へと向かっていった。
脳無という改人は出久と相手をしろと命令をされたようで二人には眼中がない事をこれ幸いと思いながらも出久は構えた。
身体強化・怪力とワン・フォー・オール10%を同時に発動して全身を強化して脳無に向かって駆ける。
「いくぞー!!」
「…………!」
脚力強化で高速移動をした出久はそのスピードを乗せて一気に脳無へと拳を見舞った。
「スマーッシュ!!」
だが脳無はその拳をただ棒立ちで受けた。
出久は不気味に思いながらも今出せる全力のスマッシュを叩き込んだ、そう思っていた。
しかし、脳無はまったくダメージを受けている気配がなく、
「(馬鹿なっ!?)」
一瞬の思考の停止によって次に脳無から見舞われた反撃の拳をもろに受けて出久はなんとかガードだけはしたものの大きく吹き飛ばされていった。
「ダメージが、通っていない!? どうして!」
出久がそう言うがそれは目を覚ましていた死柄木弔が岩盤に背中を預けて上半身だけを起こしながらまるでおもちゃを自慢するかのように語りだしていた。
「そいつは“ショック吸収”って能力を持ってんのさ! オールマイトのフォロワーかなんか知らないけど猫女、さっくりやらちまえよ!」
「ショック吸収! それなら!」
出久は爪を伸ばして硬化させて高速移動をして通り過ぎ様に一気に脳無の腕を引き裂いた。
さらに追撃とばかりに何度も、そう何度も脳無の周りを旋回するたびに飛びかかっていって爪を立てていって脳無の身体に次々と傷を刻んでいく。
この有事に圧倒的脅威である脳無の事なんて気にしてはいられない。
殺しさえしなければ後でどうにでもなる、出久は冷徹にそう判断して爪を立てることをやめなかった。
だが、ふとおかしい事に気づく。
先程から傷を付けても付けてもまるで無かったかのように傷が無くなっているのだ。
「なんで! なんで!」
「なかなかやるみたいだな……もう一つ教えてやるよ。脳無には“超再生”って能力もあるんだよ!」
「超再生!?」
出久の動揺も分かる。だけどそれで雑念が入ってしまい脳無の拳をお腹にまともに受けて出久は「かはっ!」と血を吐きながら地面に転がっていく。
「うっ……ぐぅ……」
「出久ちゃん!」
「緑谷!」
相澤を必死に運んでいた蛙吹と峰田がそんな光景を見せられて思わず叫んでいた。
このままでは……!
そう思った時だった。
「デクになにしとんじゃ、てめぇ!!!!」
突如として爆豪が脳無に突っ込んできて爆発を食らわせる。
だが、それでも脳無は無傷で立っていた。
「まぁた生徒が一人やってきたか……構う事はねぇ。脳無、全員殺しちまえ!」
「この俺を簡単に殺せると思うなよ! 逆に殺す!!」
それで爆豪が攻撃を開始し始めるが、出久は『かっちゃんだけじゃ敵わない』と即座に判断した。
「(どうすれば、どうすれば!?)」
そんな時だった。
またあのスローモーションのような感覚に陥る出久。
そしてまたしても聞こえてくる謎の声。
『イズク……真の力を使って』
「真の、力……?」
『今から頭に使い方を送るね。でも、今のイズクの実力じゃ使えても5分が限度……全力を振るえるけど使いすぎには気を付けてね』
瞬間、知識が出久の頭に流れ込んでくる。
「(これは!)」
即座にまだ未知数の力を理解をした出久。
それでなんとか立ち上がって、
「かっちゃん! 今からそこを離れて!!」
「あぁッ!? いまこいつをどうにかしようとしてんのになんでだよ!!?」
「いいから!!」
いつになく鬼気迫っている出久の言葉に何かを感じ取った爆豪は即座に爆破を吹かせてその場を離脱する。
それで出久は右手を前に添えて叫ぶ。
「猫又、解放!!」
出久の周りが白い煙に包まれていく。
その煙は次第にどんどんと規模を拡大させていき、それが晴れた時にはその場には5mはあるであろう巨体な二股の尻尾の緑色の猫の姿があった。
「な、なんだぁ!?」
爆豪より遅れてやってきた切島は思わず叫んでいた。
あれは出久なのかと……そんな思いを抱きながらも。
「はっ……? なんだ、あいつ……?」
それを見ていた死柄木弔も茫然とその巨大な猫を見やる。
「死柄木弔……なにか不味い予感がします」
「黒霧……あいつはなんだ!?」
「わかりません……ですが、直感で奴は危ないものと感じました」
黒霧の予感はすぐに的中する事になる。
その巨大な猫は脳無をその手で何度も地面へと叩き潰していた。
次には脳無を掴んで空へと放り投げる。
そしてその猫の腕が光っていた。
そう、今この猫は出久であるのだからワン・フォー・オールを完全開放して空中にいる脳無に何度も力のこもった猫パンチを叩き込んでいた。
真の姿となった事で限定的にオールマイトと同等の力を振るえるようになった出久だった。
そして……、
「GAAAAAAAAAA-----!!!!」
真の姿になって何倍にも威力が増幅されたハウリング・インパクトが脳無に直撃して、脳無は威力に耐えきれずにUSJの天井を突き破ってどこかへと吹っ飛んでいってしまったのだ。
それを見ていた死柄木弔は静かに、
「チートかよ…………黒霧、撤退だ。猫女!! てめぇの顔は覚えたからな! 計画を台無しにしてくれた分、いつか殺してやる!!」
そう捨てセリフを吐きながらもワープを使って死柄木弔は撤退をしていった。
残されたのは巨大な猫と生徒達、そしてボロボロの相澤だけだった……。
しばらくして、
「私が来た!! 被害は……!?」
オールマイトが遅れてやってきたのだが、もう騒乱はほぼ終わっていた。
だが、まだUSJ内には複数の下級ヴィランが生徒達と戦っていたためにオールマイトの後にやってきた教師たちによってなんとか死人も出さずに全員確保することが出来たのであった。
最後に出久は…………もとの猫娘の姿に戻っていてあまりの力の行使による負荷で気を失っていた。
後書き
大猫に変化しました。
個性はもう猫又でもいいですかね……?
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