ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第28話 現れた巨大猛獣、リーガルマンモス!
side:イッセー
「ぐうぅ……」
「イッセー君!?」
背後から朱乃さんの悲痛な叫び声が聞こえる。俺は大丈夫だと言い右腕を上げるが実際はちょっと不味い状況になっていた。
「カロロロロ……」
俺の前に立ちはだかるのは怪鳥『ルバンダ』。リーガル島でも指折りの危険地帯『デビルアスレチック』の5面を守る猛獣だ。俺が何故ルバンダと戦っているかというと俺はオブサウルスを何とか退けてホワイトフォレストを抜けることが出来た。だがそんな俺たちに立ちはだかったのが次なる難所であるデビルアスレチックだった。
デビルアスレチックはいくつかのステージがありそれを選んでそこを守る猛獣たちを倒しながら進む場所で全部で10面まであるんだがどうやら俺たちは難易度の高いステージを選んでしまったようだ。
「カォオオォォオ!!」
ルバンダの姿が消えて背後から殺気を感じた。俺は素早くその場から離れると背後でルバンダが鋭い牙を空振りさせていた。噛みつき攻撃をかわした俺はナイフで攻撃するがルバンダは霧のように分散して消えてしまった。
「くそっ!偽物か!」
俺は辺りを見渡すと何体ものルバンダが現れて俺を囲んでいた。
「ルバンダは幻覚作用のある息を吐いているのか。しかし強烈だな……」
デビルアスレチックは別名悪霊の遊び場とも言われておりここに生息している猛獣は不思議な幻術や擬態を使って入ってきた者を惑わすという。まさに悪霊の遊び場という名がふさわしい場所だ。
「くそ、オブサウルスは幻覚に惑わされてあっという間に奈落の底に落ちてしまったし戦力が足らないな……」
オブサウルスを倒した後俺はオーナーになったんだが当のオブサウルスはまったく戦力にならなかった。まあオブサウルスは頑丈だから落ちたくらいでは死なないだろうがサニー兄たちと分散されたのはやっぱりキツかったな。リアスさんたちも消耗してるしここは俺が踏ん張るしかねえか!
「リン姉!この幻覚を中和できないか?」
「ちょっと待って……あった!『サンダーペパーミント』のフラグレンス!」
リン姉が取り出したのはサンダーペパーミントというこの世界で最も香りが強い葉を乾燥させ抽出したメントールで作られたフラグレンスでその匂いはまるで雷が落ちたかのようなメントールとミントの強い刺激臭があり一度嗅ぐと5日は眠れないほどの気付け効果がある。
「目に入ったら失明するかもしれないからイッセーもリアスたちも目を閉じてほしいし!」
「分かったわ!」
リアスさんと朱乃さんが目を閉じたのを確認してから俺も目を閉じる。こいつを相手にするには視界はむしろ邪魔だ。奴の体から出る匂いで奴の本体を探り出す。
バシュッ!!
リン姉が出したサンダーペパーミントのフラグレンスが辺りに充満していく。まさに雷が落ちたかのような強いメントールの匂いの中で俺はルバンダの体から出る獣臭をかぎ取り奴の本体を探していく。
「……っ!そこだぁ!!」
俺はルバンダの匂いを探り当ててそこに攻撃を仕掛けたが手ごたえは無くかわりに背中に鋭い痛みが走った。
「ぐぁぁあ!?」
「イッセー君!?雷よ!!」
俺の背中に噛みついたルバンダを狙って朱乃さんが雷の魔法を放つがルバンダは素早く動き雷を避けた。
「こいつ、アイソレーションで匂いの位置まで錯覚させたのか……!?」
アイソレーションとは体の一部を単独で動かす技術でこれを高速で、さらに緩急をつけて行う事により残像を残し敵に自分の位置を探らせないことができ野生で使われる擬態の一種でも使われる。本来は視覚を惑わすものだがルバンダは自らの匂いの量すらも操り俺の嗅覚を欺いたんだ。
「厄介な相手だ。サニー兄がいれば触角であいつの位置が分かるだろうが今はいないしな……俺の体力が満タンならもう少しマシに立ち回れるんだが……」
バトフレの使用や猛獣との激戦で俺たちの体は疲労しておりいつも以上に苦戦させられている。ルバンダは幻影を使い複数に分かれて攻撃を仕掛けてきた。俺は防御をしようとしたが突然何かがルバンダを弾き飛ばした。
「テ、テリー!?」
ルバンダを攻撃したのはテリーだった。ティナも一緒に連れてきたのか宙から落ちてきたがクルッポーがクッションになって無事のようだ。俺はまずテリーに駆け寄った。
「テリー、来てくれたんだな!ナイスタイミングだったぜ!」
「クオン!」
テリーの頭を撫でながら俺は満面の笑みを浮かべた。
「テリー、羨ましいですわ……」
「テリーに嫉妬してどうするのよ……ってそういえばルバンダが攻撃してこないわね?」
ルバンダはテリーを見て警戒するように様子を伺っていた。現時点での実力はルバンダが上だがあの幻影の中的確に自分を攻撃してきたテリー、いやバトルウルフが持つ非凡な才能を感じ取ったんだろう。
「クワオ!!」
テリーは俺たちがいたステージから戻るように違う道に向かった。
「テリー?どうかしたのかしら?」
「こっちに来いって言ってるようにも見えますわ」
リアスさん達もテリーの行動に首を傾げていたが俺はもしかしたらテリーは何か危険を察知したんじゃないかと思いテリーの方に向かった。
「皆、テリーに着いていこう。テリーはサニー兄の触角に初見で反応するほどの鋭い感覚を持っている。恐らく物理的な感覚というよりは野生の部分がデカいはずだがそれはそのまま危機回避能力にも繋がる」
「つまりテリーはこの先に何か大きな危険があると察知したということですの?」
「どの道俺たちはかなり消耗している。ここはテリーを信じよう」
俺たちは怪鳥ルバンダを無視してテリーが案内してくれたルートを通ることにした。テリーが案内してくれた道は猛獣が全くいないショートカットだったようで楽にデビルアスレチックを抜けることが出来た。
「よし、デビルアスレチッククリアだ!お前のお陰だぜ、テリー」
俺はテリーの頭を撫でるがテリーは何故かデビルアスレチックの方に視線を向けていた。
「ウオーーーーーッ!!!」
「テリー!?」
テリーはまるで覚悟を決めたように雄たけびを上げてデビルアスレチックに戻っていった。
「テリー?一体どうしたのかしら?」
「そうだ、イッセー!大変なの!洞窟の砂浜にいたあの黒いGTロボがこの島に来ているの!」
「なんだと!?」
ティナの言葉に俺は驚いた。洞窟の砂浜で出会ったあいつがリーガル島に来ているのか?……そうか!テリーはそれを俺に伝えるために追いついたがそれが返って敵に俺たちの位置を教えてしまった事を気にして一人で戦いに向かったのか。
「……皆、先を進もう」
「えっ、でもテリーが……」
「テリーは自分がここに来てしまった事であのGTロボが俺たちの位置を知ってしまった事に責任を感じて一人で戦いに向かったんだ。あいつが覚悟を決めたのにここで俺たちが助けに向かったらテリーの覚悟を踏みにじってしまう」
「イッセー……分かったわ。私たちは自分がするべきことをしましょう!」
俺たちはテリーを信じてリーガル高原に向かう事にした。死ぬなよ、テリー!!
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
side:小猫
ウオーーーーーッ!!…………
なんでしょうか、今の雄たけびは……テリーの声によく似ていましたがもしかしてイッセー先輩たちに何かあったんでしょうか?
「今のはイッセーが連れていたバトルウルフの鳴き声だな」
「やっぱりテリーの……今の様子だと何かあったようにも聞こえたけど……」
「まさかイッセーさん達に何かあったんでしょうか?」
祐斗先輩やアーシアさんが心配そうに話していましたがサニーさんは構わずに先に行こうとしました。
「サニーさん、イッセーさん達の所には行かないんですか?」
「んな無粋なことするかよ」
「無粋って……」
私たちはサニーさんが言った言葉の意味が分かりませんでしたが次の言葉でサニーさん達美食屋の覚悟が分かりました。
「ここに来た奴らは全員が覚悟を決めてきているんだ。お前らだってそうだろ?さっきの遠吠えには何かただならぬ覚悟を感じた。今助けに行くのはその覚悟を侮辱する行為であって……」
「「「美しくないってことですね?」」」
「そういう事だ」
私たちはサニーさんの話を聞いて改めて覚悟をして先を進むことにしました。
「さぁお前ら、今度はここを登っていかなきゃならねえからな!」
私たちの前方には巨大な崖が立ちふさがっていました。あまりの大きさに天辺が見えないくらいです。
「リーガル高原の入り口『リーガルウォール』だ。高さは3000メートルはある断崖絶壁を越えなければリーガルマンモスには会えないって訳だ」
「3000メートル……そんな高さだと飛んでいこうにも体力が持ちませんね」
「ここは俺に任せろ」
サニーさんはそう言うと触角で壁に張り付き地面を歩くように上がっていきます。
「凄い、壁の上まで移動できるんですね」
「俺にとっちゃこんな崖、地面と変わりないからな。ほら、行くぞ」
私たちはサニーさんの触角に持ち上げてもらいリーガルウォールを登っていきます。暫く上っていると崖の途中に穴が開いてありその中に猛獣がいました。
「サニーさん、こんな崖に猛獣がいますよ?」
「あいつらはリーガルウォールの主『ヘビークリフ』。見た目はおっかないがこっちから何もしなけりゃ襲ってこない。まあ怒らせたらハンパなく厄介だがな」
私たちはサニーさんの言う通りヘビークリフを刺激しないように大人しくしていました。近くにヘビークリフの顔が迫って怖いですがジッと我慢します。
「あれ?何だか急に暗くなってませんか?」
「ん、そうか……?」
何かに太陽の光が遮られたかのように影が出来たので私たちは上を見上げました。するととんでもない物を見てしてしまいました。
「な、なんだありゃあッ!?」
リーガルウォールの天辺から巨大な何かが落ちてきていました。あまりの大きさにそれが何なのか分からない程です。
「うおおおぉお!ヤベェぞぉーーー!?」
「サニーさん!触角であれを持ち上げられないんですか!?」
「無理だ!ありゃデカすぎる!とにかく逃げるぞ!!」
私たちは上から迫る物体から逃げようとしましたが近くにいたヘビークリフが急に殴りかかってきました。
「うわっ!?ヘビークリフが襲い掛かってきたよ!!」
「まさかこの地震は私たちが原因だと思っているんじゃ……」
「どうもそうらしいな!全くもってヤバい状況だぜ!!」
サニーさんがフライ返しでヘビークリフたちを弾き飛ばしますが数が多くてキリがありません。
「お前ら、流石にこいつら相手しながらあの巨大な物体から逃げるのは手にあまるから一旦引くぞ!」
「なるほど、今は逃げるんですね」
「逃げるなんてブサイクな事はしねえよ。一旦引くだけさ。まあMXAで引くけどな!」
サニーさんが全力で崖を降りていきますが巨大な物体は私たちの直上まで迫ってきていました。このままでは逃げきれません!
「小猫ちゃん!アーシア!祐斗!サニー兄!皆、無事か!!」
「イ、イッセー先輩!!」
リーガルウォールの下にイッセー先輩とリアス部長、朱乃先輩にリンさん、そしてティナさんがこっちに向かって走ってきていた。良かった、無事だったんですね。
「イッセー先輩!会いたかったです!!」
「イッセーさん!ご無事でよかったです!」
「部長と朱乃さんもよくぞご無事で……」
「てかイッセー!お前この状況どーにかできね!?」
いくらイッセー先輩でもあの巨大な物体を持ち上げることはできないんじゃ……そう思っているとイッセー先輩はナイフで地面に四角い切込みを入れてフォークを刺して岩盤を引っこ抜きました。
「サニー兄、この穴の中に飛び込むんだ!!」
「よっしゃ!行くぜ、お前ら!!」
サニーさんは触角をバネのように使って穴に目掛けて飛びました。でも巨大な物体はもうすぐそこまで迫りそして……
ズドォオオオォォオオオォオオオッ!!!!!
巨大な物体が地面に激突してクレーターが出来てしまいました。私たちはというと……
「『髪ネット』……間一髪だったな。ここまで押し込められちまったが、ふぅ……なんとかこらえたぞ」
サニーさんが髪ネットで押しとどめてくれたので私たちは無事でした。
「小猫ちゃん!!」
「イッセー先輩!!」
私はイッセー先輩の胸の中に飛び込んで思いっきり抱きしめました。先輩も私を強く抱きしめ返してくれました。
「会いたかったです、イッセー先輩……」
「無事でよかったぜ。小猫ちゃん……」
そのままキスできそうなくらい甘い雰囲気になりましたが流石にこの状況でそんなことはできず渋々と先輩と離れました。
「イッセーさん!?すごいボロボロじゃないですか!今回復しますね」
「ああ、頼むよ。アーシア」
アーシアさんはイッセー先輩に傷を神器を使って癒していきます。ようやくイッセー先輩を回復できたのが嬉しいのかいつもより気合が入っています。
「……よし。これで傷は治ったな。ありがとう、アーシア」
「えへへ……」
イッセー先輩はアーシアさんをギュッと抱きしめると穴の外に出ました。
「イッセー、こいつはもしかするとリーガルマンモスか?」
「ああ、遠くから見たらはっきり分かったぜ。こいつがリーガルマンモスの親だ」
「マジかよ。こんなサイズじゃ俺の触角も届かないぞ……」
私たちも外に出てリーガルマンモスを見てみますがもはやデカすぎて何で表したらいいか分からない程です。
「も、もう私は驚き過ぎてどういうリアクションしたらいいか分からないわ!!」
「気持ちは分かりますわ、リアス……」
「怪獣映画なんて比にならないくらいの大きさだ、こんなのが僕たちの世界にいたら太刀打ちできないかも知れないね」
「あわわ、お口あんぐりです……」
部長は頭を抱えてますし朱乃先輩も顔を引きつらせています。祐斗先輩はリーガルマンモスのサイズにこちらの世界にこんなのがいなくて良かったと安堵してますしアーシアさんは口をあんぐりと開けています。私もガララワニやトロルコング、さらにはデビル大蛇と色んな猛獣を見てきましたがリーガルマンモスはそれらが霞んでしまうほどの迫力です。
「……ん?」
近くの地面に何かが埋まっていてそれがモコモコと人型の形になっていきます。
「あれはヘビークリフか?生きていたなんて……」
「マンモスさんに押しつぶされても平気だなんて信じられないです……」
「あいつらは体を丸めて高質化してマンモスの落下の衝撃から身を守ったんだ……メンドくせぇ状況だな……」
祐斗先輩とアーシアさんの驚きにサニーさんがヘビークリフがどうやって生き残ったのか説明していましたが状況は良くありません。だってヘビークリフは私たちに対してメチャクチャ怒っていますから今にも襲い掛かってきそうです。
「クソ!マンモスとヘビークリフ、こいつらを同時に相手すんのかよ……イッセー!リン!お前らも……」
「僕もいるよ、サニー」
「あん?」
私たちに襲い掛かろうとしたヘビークリフが突然痙攣したように体を震わせて倒れてしまいました。
「死にはしないさ。全身麻痺の神経毒だからね」
空からターバンを被った男性が降り立ち私たちはその男性を見て驚きました。
「ココさん!?」
「やあ、久しぶりだね。小猫ちゃん。相変わらずこんな危ない危険区域に来てるとは危なっかしい子だ」
「その毒のある言い方はやっぱりココさんです!お久しぶりです!」
私はココさんと握手をして再会を喜びました。
(な、なんて美しい登場なんだーーーっ!?このタイミング!!有り得んほどビューティー!!……ビューティすぎて逆になんかムカつく……)
「おや?どうしたんだい、サニー?触角を引っ込めているじゃないか」
何やら驚愕した様子のサニーさんにココさんが話しかけます。
「えっ?サニーさん、今触角を引っ込めているんですか?」
「うん、出してないね」
部長の質問にサニーさんが頷くがココさんはサニーさんの触角も見えてしまうんですね。
「ココ兄はサニー兄の触角も見えるんだもんな」
「まあ正しくは触角から出る微量の電磁波を捕らえているんだけどね」
「相変わらず凄い視覚ですわね……」
「それでどうして触角を引っ込めているんだい?」
「別に……お前に触れるのが嫌なだけだよ。だってお前毒だし」
「な、なんてストレートな奴……」
サ、サニーさんってやっぱりハッキリと言うんですね。ココさんも分かってはいたようですが驚愕の表情になってますし……
「バオオオオオオ!!」
その時でした。リーガルマンモスが体を持ち上げて前足で私たちを踏みつぶそうとしていました。
「しまった!リーガルマンモスが!?」
「いや、もう済ませてある」
「バオオ!?」
リーガルマンモスは突然動きを止めてフラフラとしだしました。
「ココさん、もしかしてリーガルマンモスに毒を……」
「ああ。ただ流石は巨大なサイズだけの事はある。毒が完全に回っていないがもうじき動けなくなるだろう。問題は……」
ココさんはリーガルマンモスをジッと見つめると険しい表情を浮かべた。
「……マンモスの中に別の電磁波が見える。もう既に敵が体内に侵入しているんだ」
「なんだって!?」
「このサイズだ、仕留めるのを諦めて直接体内に入って『ジュエルミート』を取りに行ったな。流石ゲスい連中は考えまでゲスいな」
「ジュエルミート……」
ジュエルミート……イッセー先輩から話は聞いていましたが全ての肉の部位の味を兼ね備えた古代の食宝とも言われた幻のお肉……こんな状況なのにどんな味なのか食べてみたくなっちゃいました。
「時は一刻を争う。僕たちも早くマンモスの体内に入ろう」
「あぁ!?何言ってるんだ、ココ!!」
「ふむ、あのサイズならお尻から入った方が安全だな」
「ジョークだろ、それ!?この毒が!!」
サニーさんの毒発言にココさんがショックを受けてしまいました。
「サニーさん!ちょっと言い過ぎですよ!」
「ははは……(昔とちっとも変ってないね、サニーは……)」
私はサニーさんに注意するが彼はふん、と首を横にして嫌そうな顔をした。
「俺は絶対にごめんだぜ。そんなことするなら美食會の奴らがジュエルミートを持って出てきたところを奪えばいいだろうが。美しい方法とは言えんが体内に入るよりはマシだ」
サニーさん、よっぽどリーガルマンモスの体内に入るのが嫌なんですね……
「うん?……ッ!?サニー兄、危ねぇ!!」
イッセー先輩がサニーさんを引っ張って飛びました。すると光線がサニーさんの立っていた場所に振ってきて大きな爆発を生みました。
「な、何が起きたの!?」
「部長、あれを!」
驚くリアス部長に朱乃先輩が何かを見つけたかのように空を指さしました。すると空から大きなGTロボが降ってきました。
「これはGTロボ!何て大きさなんだ!」
巨大なGTロボまで存在していたなんて……普通のサイズでもあんなに苦戦したというのにこれは厳しいですね。
『コレハ幸運ダゼ。有名人ガコンナニモ揃ッテヤガル。マア雑魚モ多イガコイツラヲ片付ケタ方ガ手柄ニナルンジャネーカ?』
大型のGTロボは私たちを見て嬉しそうにしていました。でも雑魚とは言ってくれますね。
「はん、テメーなんぞ俺が一人で……」
「いや、ここは僕に任せてくれ」
「ココさん!?」
ココさんはターバンを外しながら前に出た。
「いくらお前でも大型を相手にするのはキツイだろう?美しくはないが全員でボコった方が早いぜ」
「いや、ここは急いだほうがいい。新型のGTロボは味すらも送れるそうじゃないか、もし美食會がジュエルミートを手に入れたらマンモスは殺されるだろう……その前に早くジュエルミートを手に入れるんだ」
「ココさん……」
ココさんの言う通り今は一刻も早くジュエルミートを手に入れたほうがいいですね。
『バカガ!テメエラハココデ死ヌンダヨ!!』
大型のGTロボは顔を開きレーザー砲を発射しようとするがキッスが足元に体当たりをして体制を崩した。
『ンナッ!?』
GTロボが発射しようとしていたレーザーは地面に当たり巨大な爆発がGTロボを包み込んだ。ココさんはキッスの背中に乗り巨大GTロボとの戦闘を開始した。
「よし、あいつはココ兄に任せて俺たちはマンモスの中に向かうぞ!」
『オイオイ、オレ達ヲ忘レテンジャネエヨ』
マンモスの元に向かおうとした私たちの前に新たに2機のGTロボが現れました。
「ちっ、まだいたのかよ!」
『美食屋イッセーニサニーカ……獲物トシテハ十分ダナ。オイ、メザル。オ前ハ雑魚ヲ殺レ、イッセートサニーハ俺ガ殺ス』
『ザイパー先輩、人使イガ荒イデスヨネ……マアイイデスケド』
2機のGTロボが武器を構えて私たちに襲い掛かってきた。
「くそ、時間がねえっていうのに……」
「イッセー!お前はどっちかと戦え。残りは俺が…」
「その必要はありませんわ」
「……あん?」
朱乃先輩が魔法陣から黄金の棒を取り出してキャノンを付けたGTロボを弾き飛ばした。
『グアッ!?』
『先輩!?……クッ!?』
味方が弾き飛ばされたことに動揺したもう一体のGTロボを祐斗先輩が切りつけた。GTロボはサーベルでそれを防ぐが大きく後退させられた。
「朱乃さん!?祐斗!?何をしているんだ!」
「イッセー君、ここは僕たちに任せてくれないかい?」
「な、何言ってやがる!ユウ、ヒメ!そいつらはお前らが敵う相手じゃ……」
「なら私たちも戦います!」
私は祐斗先輩の方に向かい部長は朱乃さんの方に向かいました。
「ツーマンセルで戦えば少なくとも簡単には負けないはずです!イッセー先輩、サニーさん。あなたたちは先へ!」
「そんなことできるわけがないだろう!」
「でも今はそうしないと時間がないんでしょう?大丈夫、絶対に死んだりしないから」
「イッセー君に守られてばかりじゃさっき覚悟を決めたテリーに負けてしまいますわ。だから私も覚悟を決めました」
「僕は君と同じ道を歩きたい。だからそのためにも今こそ戦う時だって思ったんだ」
「私たちも覚悟をしてここに来ました!だから……私たちを信じてください!!」
「小猫ちゃん、皆……」
私たちはイッセー先輩に振り返ると全員で頷いた。
「……サニー兄、リン姉、アーシア、ティナ。俺たちはマンモスの中に向かおう」
「ええっ!?小猫たちを置いていくし!?」
「リン、無粋な真似すんなよ。あいつらが覚悟決めたっていうのに俺たちが躊躇してたらあいつらの覚悟を踏みにじっちまうだろうが」
「で、でも……イッセーはそれでいいの!」
「俺は皆を……仲間を信じる。それだけだ」
イッセー先輩はそう言うとマンモスの方に向かっていった。サニーさんもリンさんもティナさんもそれに続き私はアーシアさんに声をかけた。
「アーシアさん、私の包丁を持って行ってくれませんか?せめてものお守りです」
「小猫ちゃん……分かりました。必ずこれを返しに戻ってきます!」
アーシアさんに包丁が入ったケースを渡すと彼女も先輩たちの元に走っていった。
『……テメェラ、モウ楽ニハ死ネネエゾ?』
『ヘエッ、面白ソウジャナイデスカ』
2機のGTロボは標的を私たちに変えたようで殺気を送ってきました。
「皆、コロシアムでの無様な敗北をここで返上するわよ!」
「勿論ですわ、イッセー君の傍にいるためにも……」
「いつまでも僕たちが足を引っ張っている訳にはいかない!」
「……乗り越えて見せます。イッセー先輩と共に行くために!」
私たちは覚悟を決めてGTロボに向かっていきました。
後書き
やあ、裕斗です。僕たちはイッセー君たちを先に行かせるためにGTロボと戦う決心をした。正直無謀かもしれない、でもいつまでもイッセー君に守ってもらってばかりじゃ意味がないよね。この戦いに勝って僕たちは足手まといじゃないって証明するんだ。次回第29話『美食會との死闘!オカルト研究部、戦います!』で会おうね。
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