【完結】猫娘と化した緑谷出久
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猫娘とUSJ編
NO.013 USJと敵
前書き
更新します。
先日のマスコミの雄英敷地内侵入に伴い、学校側は色々と警戒をしていた。
内通者が侵入を手引きした可能性があるが誰とまでは発覚していないから余計に神経をとがらせないといけない。
そんな中で出久たち1-Aは午後の事、ヒーロー基礎学の時間に、
「えー……それでは本日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、そしてもう一人が見ることになったのでしっかりと学ぶんだぞ」
「(三人体制での訓練? なにかあったのかな……? やっぱり先日の件が関係しているのかな?)」
出久はそんな事を思っていた。
相澤がそれで本日の訓練内容を言う。
「今回は災害水害なんでもござれの人命救助訓練だ」
「レスキューかー……俺はこういうの苦手かもな」
「ねー!」
上鳴と芦戸の二人がそう話していた。
何分二人の個性は限定的なものなので余計に拍車をかけている。
「ケロ。出久ちゃん、こういう時はあたし達の方が役立つかもしれないわね」
「そうだね。梅雨ちゃんは水難場だと効果を発揮するし……」
「出久ちゃんだと山岳地帯とかで役立ちそうよね」
「そう、かも……。救助訓練、憧れに近づくための訓練だから張り切ろうかな!」
それで各自コスチュームに着替えて移動するバスへと向かっていく。
ちなみに出久のコスチュームは上半身は母特製のジャンプスーツ、下はスカートにスパッツを穿いていて、グローブは爪を出し入れするために指ぬき製で、咄嗟の閃光に弱いためにフラッシュ対策にゴーグルを付けている感じである。
「バスの席順でスムーズにいくように番号順で二列で並ぶようにしよう!」
飯田がさっそく委員長の仕事をしていたので任せた出久は満足げだった。
だけど、中に入ってみれば縦に席が分かれているものではない方の構造であったために、
「こういうタイプだったか、くそー!!」
飯田、男の悔し叫びである。
それからバスで移動中の中で、
「出久ちゃん、アタシ何でも思ったことを口にしちゃうの。だから聞いていいかしら?」
「あ、梅雨ちゃんいいよ」
「それじゃ出久ちゃんの個性ってどんなものがあるのかしら? 複数持っているみたいだけど……」
「うん。僕の個性は猫で出来ることなら出来るかな?
爪の伸縮自在ができてさらには硬化も可能だし、脚力強化による高速移動もできてビル四階くらいなら屋上まで跳べる。
目、耳、鼻などの五感の強化も出来ているんで少しの音でも聞き分けたり夜には夜目が働いて暗闇の中でもすんなりと動けるよ。
なんか先日の戦闘訓練では叫びによる衝撃波が出来ることが分かったし、後は身体強化・怪力っていう増強系の力も持っているよ」
「多いのね。でも、出久ちゃんの個性はどちらかというと災害救助向けなのね」
「そうだね。後、一つだけ特殊なのがあるんだけど……」
そこで口ごもる出久にみんなは不思議そうな顔をしながらも、
「緑谷。その特殊な能力ってなんなんだ?」
「うん、切島君。そのね? 猫と会話ができるの……」
出久が恥ずかしそうにそう言うと何名かの瞳が光ったような気がした出久だった。
特に相澤が聞き耳を立てていて密かに身体を震わせていた。
「デクちゃん! それって、もし猫さん達に頼めば触らせてもらえるのかな!?」
「うん。何故かは分からないけど今まで出会ってきた野生の猫さん達って必ず僕の言う事は聞いてくれたんだ。だからもし猫さん達に協力を仰げばその町の猫さん達の情報網ですぐに探し物とか見つけられるね」
「「「「ほー……」」」」
それで感心する一同。
「緑谷さんのその個性は優しいものなのですね……少しだけ羨ましいですわ」
「出久ちゃん、もしかして猫達にとっては憧れの存在になってるんじゃね?」
「いわゆるアイドルという奴か……」
そんな感じでみんなの個性も紹介していく中で爆豪の力も強いよなって会話になったのだが、はっきりものを言う蛙吹の、
「爆豪ちゃんてキレてばっかだからあまり人気でなそうね」
という発言で当然爆豪はキレていたが、それをみんなが面白おかしくからかっている光景を目にして出久は思った。
「(かっちゃんがいじられている!? さすが雄英!)」と。
それからなんとか気分を落ち着かせた相澤の言葉で到着する事になったので敷地内に入っていく一同。
入った敷地内はなんと、
「すっげーーーーー!!! USJかよ!!」
そこにはあらゆる災害現場が再現されているエリアがあった。
そこにはスペースヒーロー『13号』の姿があった。
「ここは水難、土砂災害、火事その他の場所を再現した演習場……名付けて『USJ』です」
「「「USJだったー!!」」」
あまりにも安直なネーミングにほとんどの者が叫んでいた。
だけどみんなの関心は13号に集まっていた。
特に出久は当然としてお茶子はファンらしく、
「スペースヒーロー「13号」だ! 災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
「わー、うちの好きな13号!」
各自でテンションが上がる中、相澤はあることを尋ねた。
「13号、オールマイトは? ここで待ち合わせるはずだが……」
「それがですね、先輩。通勤時間に制限ギリギリまで活動したみたいで……」
13号はそう言いながら指を三本立てる。
「仮眠室で休んでいます」
「不合理の極みだな、オイ。……仕方ない、始めるか」
それで13号がみんなの前に立って話をし出す。
「えー、始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
(増える………)
いくつ話すつもりだろうと思う一同だった。
「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性は“ブラックホール”。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「この”個性”でどんな災害からでも人を救いあげているんですよね!」
「ええ。ですが、しかし簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう”個性”がいるでしょう?」
それで何人かが頷く。
「超人社会は”個性”の使用が資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。
しかし一歩間違えば容易に人を殺せる”いきすぎた個性“を個々が持っていることを忘れないでください。
相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では心機一転! 人命のために”個性”をどう活用するのかを学んでいきましょう! 君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいね。」
(………13号、カッコイイ!!)
出久は素直にそう感じた。
それは他の者も同様だ。
13号の言葉はとても世の中を現している現実だからである。
「以上! ご清聴ありがとうございました」
それで起こる拍手喝采。
そこで相澤は訓練を始めようとしたのだが、嫌な気配を感じ中央の広場を見る。
そこにはなにやら黒い霧のようなものが出現してそこからたくさんの人が出てきたのだ。
これも余興の一つか? とあまり状況を理解していないものもいるが、相澤はみんなに警告した。
「一塊になって動くな! あれは……敵だ!!」
こうして悪夢の時間が始まったのである……。
後書き
奇しくもナンバー13話。
出久をどう戦わせようかと……。
ちなみに梅雨ちゃんは出久の事を同じ女子として出久ちゃんと呼んでいます。
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