レーヴァティン
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第四十九話 八人目のことその一
第四十九話 八人目のこと
コペンハーゲンに戻った一行はまずはサウナ風呂に向かった、そこで思いきり汗をかくと共にだった。
身体の中の毒素も出した、久志はそのサウナルームの中で共にいる仲間達に言った。全員腰のタオル一枚全身から汗を滝の様に流している。
「長い間風呂なんて入ってなくてな」
「身体も汚れててな」
正が言ってきた。
「そうしてな」
「身体の中にある毒素がな」
「溜まってたからな」
「こうしてサウナに入らないと駄目か」
「そうだよ、風呂はな」
「いいものだっていうけれどな」
「身体を奇麗にするだけじゃなくてな」
このことは言うまでもない。
「それだけじゃなくてな」
「汗を流してな」
「それで毒素を出すこともしてくれるんだよ」
「身体もほぐしてくれてな」
温めることによってだ。
「だからだよな」
「ああ、風呂はいいものだよ」
「サウナ風呂だってそうだな」
「サウナも湯の風呂も同じだよ」
「汗をかくことじゃそうだな」
「だから今はな」
コペンハーゲンに戻ってすぐはというのだ。
「こうしてな」
「汗を流してな」
「身体の中の悪いもの出そうぜ」
「それじゃあな」
「それでな」
正は汗をかきつつ久志にさらに話した。
「サウナの後でな」
「水風呂だな」
それで身体を一旦冷やすとだ、久志は応えた。
「それだな」
「違う違う、あれだよ」
「あれ?」
「情報収集だよ」
「ああ、そうだな」
このことの言い出しっぺの淳二を見てだった、久志は正に応えた。
「それだな」
「水風呂は言うまでもないだろ」
「サウナに入ってるならな」
「それは絶対だよ」
それこそというのだ。
「もうな、けれどな」
「風呂から出た後だな」
「情報収集をはじめるか」
「そうだな、すっきりしてからな」
「そうしような、しかし何かな」
ここで正は眉を顰めさせてこうも言った。
「何かこの街人が前より多いな」
「それはあれだね」
剛が正の今の話に応えて言ってきた。
「商人が来たんだよ」
「何かを売りにか買いにか」
「買いにだよ、この季節この街に革が集まるからね」
「それを売り買いにか」
「商人が集まってるんだよ」
それでというのだ。
「ここはこの島の北部最大の商業都市だからね」
「だからか」
「人が集まってね」
「ものもか」
「それで今は革なんだよ」
それの商いが行われるというのだ。
「北の獣達のね」
「そうだったんだな」
「北は色々な獣がいるからね」
「森にも湖にもね」
今度は芳直が言ってきた。
「マンモスや熊や鹿、セイウチやオットセイもいるしね」
「色々いるな」
「中にはセルキーとかもいるよ」
「ああ、妖精のか」
「セルキーが革を売って来るんだ」
自分が着ているそれをだ、セルキーは革を脱ぐとその下は人間の美男美女なのだ。
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