おぢばにおかえり
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18部分:第四話 大学の中でその一
第四話 大学の中でその一
大学の中で
天理大学は天理高校のすぐ隣にあるのですが大学としてはあまり広くはない感じです。けれど結構色々なものがあって何かがないとかで困ることはありません。
図書館も大きいですし食堂も立派です。施設も他にかなり充実していて私はかなり満足しています。これは高校でも同じです。天理高校はかなり過ごし易い学校です。
「これでねえ」
四時が近付いています。最後の講義を終えた私は皆と一緒に新一君の待っている食堂の前に向かっていました。かなり不本意ですけれど。
「新一君がいなかったら」
「そんなに彼のことが気になるの?」
「いきなりよ」
不機嫌な顔で言葉を返しました。大学の廊下は普通の学校の廊下と同じです。
「そこの小さい子って言われたのよ、入学式で」
「ああ、阿波野君が学校に入った日ね」
「そうよ。いきなり」
口に波線を作って言いました。
「しかも新入生と間違えて」
「それはわかるわ」
友達の言いたいことは嫌になる程わかります。何が言いたいのかも。
「だってちっち」
「小柄で童顔だから?」
「ええ。今だって下手したら小学生に見えるわ」
「小学生・・・・・・」
かなり落ち込まさせてもらう言葉です。これも新一君にしょっちゅう言われます。
「天理小学校にいても不思議じゃないし」
「そんなに低い!?私」
「言わなくてもわかると思うけど」
「それはそうだけれど」
けれど言われるとかなりショックです。小さくて悪いかとも思ったりします。
「まあねえ。彼背は高いし」
「牛乳好きだそうだしね」
友達の一人が言いました。
「そのせいかしら」
「私豆乳だけれど」
私実は豆乳が好きです。牛乳も嫌いじゃないですけれどどっちかっていうと豆乳が好きだったりします。そういえば牛乳を頑張って飲んだりもしましたけれど全然背は伸びませんでした。
「駄目かしら」
「ああ駄目駄目」
速攻で駄目出しを受けました。
「やっぱり牛乳じゃなきゃ」
「そうなの」
「そうよ。背は伸びないわよ」
「飲んでも伸びなかったけれど」
それを友達にも言いました。
「結局」
「ちっち寮でも豆乳ばっかりだったじゃない」
高校時代のことを言われました。お風呂上りはいつも豆乳でした。
「全部牛乳だったら違ったんでしょうけれどね」
「そうね。けれどそういえば」
また高校時代の嫌な記憶が蘇ります。昨日のように。
「あの時もいつも豆乳飲んでいたような」
「阿波野君いつも来てたわね」
「そうよ」
ああ、思い出しただけで嫌になります。おかげで私の高校三年の時は新一君にずっと振り回されっぱなしだったんです。今もですけど。
「いっつもいっつも夜の東寮のところまで来て」
「せんぱーーーーーいってね」
「よくもまあ毎日」
「何でいつも来たのかしら」
それがどうしてもわかりません。自宅生なんだから素直に自宅に帰ればいいのに毎日毎日わざわざ夜に来ていたんです。北寮の男の子達と一緒に。
「本当に」
「ってわからないのね」
「こりゃ困ったことだ」
皆急に私に対して言いだしました。
「!?何が?」
「何がってちっち」
友達の一人がきょとんとする私に対して呆れたような笑みを浮かべて言ってきました。
「そういうのもわかりなさい」
「苦労するわよ」
「それも彼がね」
「彼がねって」
これはわかりました。私に言ってるのじゃないですから。
「新一君が?」
「そうよ」
「ほんっとうにわからないのね」
「って何がよ」
本当にわかりません。皆何を言いたいんでしょう。
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