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レーヴァティン

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第四十八話 バイキングの戦いその七

「エストニアは」
「北欧か?やっぱり」
「バルト三国全体が」
 旗が十字の五国だけでなく、というのだ。
「そうだと思うでござるが」
「そうなのか?あそこは」
「拙者はでござるが」
「何かわからなくなってきたな」
「リトアニアも北欧かな」
 剛は進太がバルト三国もと言ったので三国のうちのこの国もかと思った。
「それじゃあ」
「違うでござるか」
「そうかな」
「何かそれぞれ意見があるな、しかしエストニア人が言うならな」
 当の国の人がというのだ。
「やっぱりそうか?」
「そうなるんじゃないか?」
 芳直が久志に言ってきた。
「それならな」
「じゃあ日本も北欧って言えば、はないか」
「離れ過ぎてるからな」
 日本と北欧はとだ、芳直はそれは流石にと返した。
「もうな」
「やっぱりそれはないか」
「流石にな」
「エストニアはまだ隣だし緯度も高いからな」
 この場合の隣とはそのフィンランド、北欧の一国だ。
「だからな」
「そう言えるか」
「しかし日本だとな」
「無理があるか」
「流石にな、まあ最近オーストラリアもアジアって言ってるけれどな」
「それはセーフか?」
「太平洋に面していてアジア系の人がいたらだろ」 
 こうも話した芳直だった。
「アジアじゃないのか?」
「じゃあアメリカもか?」
「最近凄くアジアに関わってるけれどな」 
 このことは実は伝統的な政策だ、モンロー主義は欧州からの孤立主義であり太平洋とは別であったのだ。
「だからな」
「アメリカもアジアか」
「そうなるんじゃないか?」
「それはありなんだな」
「ああ、けれど流石にな」
「日本が北欧だって主張するのはか」
「無理があるだろ」
 幾ら何でもというのだ。
「イタリアでも無理があるだろ」
「イタリアが北欧か」
「言えるか?」
「絶対に無理だな」
 久志は腕を組んで脳裏に欧州に地図を描いてイタリアと北欧の距離を考えた、イタリアと北欧の間にはスイスとリヒテンシュタイン、オーストリアが横並びにありドイツがある。
「緯度も全然違うな」
「そうだろ、だったらな」
「日本は余計にか」
「こっちはユーラシアの外れだぜ」
 東のだ、まさに極東である。
「緯度以上に経度が違うだろ」
「そこまで離れているとか」
「無理だぜ」
 北欧と主張すること、それはというのだ。
「エストニアと違ってな」
「そうだよな、オーロラも見えないしな」
 北欧では見られるそれもだ。
「あと旗も違うしな」
「日の丸は外せないだろ」
 芳直は日章旗を愛称で呼んで言った。
「あの旗はな」
「日本の旗他にはないだろ」
 それこそとだ、久志も答えた。
「日本の旗は」
「それだったらな」
「北欧はないか」
「絶対にな」
「無理な主張にも限度があるか」
「仮に日本がそう言ったらな」
 少なくともそうした主張は日本から出たことはない。 
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