NEIGHBOR EATER
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EATING 15
カランカラン…
「マスター」
「ああ、陽乃君か…」
ハルに案内されたのは裏路地の小さな喫茶店だった。
店内に客は居ない。
「おや?今日はツレが居るのかい?」
カウンターに立つのは老紳士のようなマスターだった。
「そうそう、私の妹二人」
ぶん殴るぞテメェ。
「俺は男だ」
「あれー?そうだっけ?あと、ここまで来たらフード脱いでいいと思うよ」
それもそうか…
俺はフードを脱ぎ縛って服の中に入れていた髪を外に出す。
「ほう…もしや彼が…」
「そうだよー、彼が三門の守護天使だよ」
「おい…」
「大丈夫、マスターは口堅いから」
いや、知らねぇよ。
「えっと、彼が清輝翼君、ネイバーの八割を屠った英雄」
それデマだからな。
「で、こっちの娘が…」
「羽々斬夜架と申します」
夜架が綺麗な礼をする。
「翼君は私の上司で夜架ちゃんは同僚ってカンジね」
上司の下りでマスターが俺とハルとの間で視線を行ったり来たりさせている。
「上司…?」
「ボーダーは徹底した実力主義、なんだかんだで俺はそれなりに強いらしいよ」
「ふぅむ……天使の噂は聞いていたが…」
「ま、兎に角座りましょう」
と、ハルに奥の方の席に連れて行かれた。
この席…入り口から完全に死角だ…。
ヤバい話には持ってこいの場所だな。
「どう?この店?私のお気に入りなんだよ」
「いいんじゃねぇの?静かで」
「主様の言うとおりです。騒がしい場所は苦手ですわ」
皆でワイワイ…うん、勝手にやってろって思うな。
「二人は騒がしいの嫌い?」
「まぁ…友達居ないし」
「周りは子供ばかりですもの」
お前も子供だろうが。
いや、まぁ言いたい事は解るがな。
「そうだよなー…あんな風に騒いで何が楽しいのかねぇ?」
「二人共…何て言うか…精神年齢高いね…」
それは…まぁ…
「周りが大人ばかりでしたので」
「似たような物だな」
俺は育て親が五月蝿かったので友達は作らなかった。
放課後はもっぱら図書館だ。
「そう、ま、私も同じようなものかなー…」
そう言うハルの顔はどこか寂しげだった。
「それで、二人共何頼む?メロンソーダ?」
「朝っぱらからそのチョイスは無いと思うんだが」
「ハル様はこの店の常連なのでしょう?陽乃様にお任せ致しますわ」
うん、それがいいな。
「じゃぁ二人共フレンチトーストでいい?」
ふれんちとーすと…?
まぁ、それでいいや。
「おう」
「かまいませんわ」
「ん、わかった。マスター!」
とハルが呼ぶとマスターが来た。
「決まったのかい?」
「マスター、モーニングセットをフレンチトーストで三つお願い」
「モーニングセット、フレンチトースト三つだね」
「そう」
「十分くらいでできるよ」
と言ってマスターは厨房に入って行った。
数分後、マスターが持ってきたのは甘い香りがする黄色いトーストだった。
恐らく卵でコーティングして焼いたのだろう…
「どう?私のオススメ」
「これ…どうやって食うの?」
熱くて持てそうない。
「フレンチトースト食べた事無いの?」
「うん…夜架は?」
「母が何度か作ってくれました」
ふーん。
「ナイフとフォークで食べるのよ」
ナイフとフォーク?
フォークは…解るけど…ナイフってどう使うんだ?
「使い方知らないんだけど?」
「そこからなのね…」
「私は使えますわ」
ハルと夜架に使い方を教えて貰った。
フレンチトーストを切って一口食べる。
「美味しい…」
「それは結構、夜架ちゃんは?」
「はい、美味しいですわ」
うん…美味しいな
「はぐはぐ……んぐ?」
食ってたらハルと夜架がジーっとこちらを見ていた。
「どうしたんだ?」
「べっつにぃ~」
「ええ、何でも有りませんわ」
?
「はぐはぐ……」
「………」
「………」
「いや、だから何だよ?」
「なんでもないよ。さ、夜架ちゃん私達も食べようか」
「はい」
本当何なんだ?ま、フレンチトースト美味しいからいいや。
「はぐはぐ……」
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