おぢばにおかえり
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107部分:第十五話 中間テストその一
第十五話 中間テストその一
中間テスト
ゴールデンウィークが終わって暫くすると中間テストです。高校ではじめてのテストです。
普段は広い図書館もテスト前になると少し狭くなります。天理高校の図書館は特別に校舎にもなっていてとても広い図書館になっています。中に置かれている本もかなりの数です。
「こんなに色々な本があるなんて」
「思わなかったわよね」
クラスメイトの女の子の一人とテスト勉強の為に中に入ったのですが実ははじめてでした。中の本の数を見てまずはとても驚きました。
「私の通っていた中学校も凄かったけれど」
「そうなの」
私の通っている中学校はまた特別ですけれど。八条学園の図書館の蔵書は何でも世界屈指だそうです。天理大学の図書館もかなりのものですけれど。
「ここも凄いわね」
「やっぱりこの学校は何か違うわよね」
設備がとにかく凄くて。図書館もその一つというわけです。
「本が一杯」
「それに席だって」
ちゃんと個人で使える席になっていてしかも周りから見えないような造りになっています。ちゃんと何人かで並んで座れる席もあるし。配慮まで感じられます。
「ちょっとした図書館みたいよね」
「ええ。じゃあ勉強する?」
「うん。けれどちょっと待って」
「どうしたの?」
「ほら、ここ」
図書館の本棚の一つを指差すとそこにあったのは。
「芥川の全集あるわ」
「あっ、太宰も」
作家の全集も揃っています。
「川端康成もあるし」
「森鴎外も。源氏物語もあるわね」
「何か本当に色々な本があるわよね」
「ええ。芥川なんか何種類もあるし」
こんなに本があるなんて。
「とりあえずさ。芥川はテストに出るじゃない」
「ええ」
教科書の定番ですね。他にも太宰とか志賀直哉とかも。
「一応読んでみる?」
「読む必要はないんじゃないの?」
けれど私は彼女にこう答えました。
「そこまでは」
「読む必要はないか」
「結局テストでいい点数取ることが大事じゃない」
私はそこを指摘しました。
「だったらそこまではね」
「そういえばそうか。けれど作品を幾つかは押さえておかないとね」
「それはね。ええと」
ここで芥川の作品を少し頭の中で出してみました。実際に言葉にも。
「芋粥に鼻に地獄変に」
「初期の作品だったっけ」
「ええ。何か末期になると凄くなるそうね」
「先輩の話だと頭がおかしくなったんだって」
芥川は自殺していますね。何か聞いた話では薬をやっていたんじゃないかっても言われているそうですし随分大変な状況だったみたいです。
「頭が」
「まあテストには関係ないけれどね」
「そうね。あとは作品の要点よね」
「そうそう、そこよ」
話はそこにもいきました。
「羅生門だし」
「座りましょう」
「そうね」
まずは座って教科書を開いてそこから勉強に入りました。
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