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煙草の味のキス

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第三章

「やっぱり」
「ああ、それはそうだな」
「だからキスだってもうすぐにですよ」
「お金払うとな」
「即座にしますけれど」
「普通に付き合ってる相手とはな」
「やっぱりしないですよね」
 その辺りは宮田もわかっていた。
「付き合ってすぐは」
「そういうものだよ、じゃあ次のデートでか」
「俺知ることが出来ると思います」
「そうか、じゃあな」
 それならとだ、金本は自分のブラックコーヒー砂糖を入れていないありのままのコーヒーを飲みつつ宮田に話した。宮田は砂糖は入れていないがクリープを入れている。
「どんな味か確かめてこい」
「そうしてきます」
「その娘煙草は吸わないよな」
「はい、吸わないです」
「ならわかりやすいさ。煙草ってのはな」
「匂いが残りますね」
「吸ってるとな」
 どうしてもというのだ。
「残るんだよ」
「そういうものですね」
「ああ、けれどな」
「吸わないとですね」
「また別の味がするからな」
「その娘の味がですか」
「それはどうかな」
 宮田の今の言葉にはだ、金本は懐疑の言葉で返した。
「一体な」
「それどういうことですか?」
「してみればわかる」
 今度はこう宮田に話した。
「その時にな」
「そうなんですか」
「何でも聞いてだとあれだろ」
「完全にはわからないですね」
「百聞は一見にっていうしな」
「ですね、見て感じると」
「完全にわかるだろ、仕事でも何でも」
 金本はこう宮田に話した。
「それは恋愛もだからな」
「それで、ですね」
「キスした時にな」
「わかりますか」
「ああ、だからな」
「まずはですか」
「彼女が許してくれるか彼女から言ってきたらな」
 デートの時にというのだ。
「実際に味わってみろ」
「キスの味を」
「どんな味かな」
「甘いですかね、すっぱいですかね」
「だからそれもわかるからな」 
 金本はそこから先は言わなかった、そうしてだった。
 宮田はその次のデートに赴いた、二人で会社帰りに待ち合わせをしてそうしてまずは沙織の好きなイタリアンレストランに行った。日本各地に店があるチェーン店でメニューのボリュームが有名な店だ。
 その店のパスタ、大蒜とオリーブを利かせたそれを食べつつだった。宮田は自分の向かい側に座ってパスタとワインを楽しむ沙織に問うた。
「あの、いいのかな」
「このお店で?」
「うん、普通のチェーン店だけれど」
「このお店が好きだから」
 沙織は宮田にカルボナーラを食べつつ笑顔で答えた。
「だからね」
「いいんだ」
「ええ、このお店でね」
「このお店確かに美味しいよね」
「オリーブとガーリック利かせててね」
「そうなんだよね」
 宮田は二人用に注文したカルボナーラを自分も食べつつ応えた。 
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