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ユニコーン

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第四章

「ユニコーンのそのこともな」
「どうもです。それで他にお聞きしたいことはありますか?」
「色々とな」
 ユニコーンのことをとだ、領主はこう答えてだった。
 領主はユニコーン自身にユニコーンのことを駒かいところまで聞いてだ、それを家臣達に書き留めさせた。
 それが終わってユニコーンに教えてくれた礼を言ってだ、彼はエルフの領主である伯爵に対して言った。
「今日は色々とわかった」
「いえ、まさか私もです」
 伯爵もこう領主に答えた。
「ユニコーンにもそれぞれの好みがあるとは」
「思わなかったか」
「はい、全く」
 そうだったというのだ。
「本当に、ですが今です」
「私と共にだな」
「そのことがわかりました」
 こう領主に答えた。
「よかったです」
「そうだな、ユニコーンにもな」
「好みがあるんですね」
「我々と同じくな」
「あらゆる生きものにですね」
「うむ、好みがあるな」
「そうですね、それでなのですが」
 伯爵は領主にさらに話した。
「これからご自身の領地に帰られますか」
「うむ、そして書き留めさせたことをだ」
 家臣に書かせたユニコーンのあらゆることについてだ。
「すぐに書に書いてな」
「記録されますか」
「そうしたい」
「そうですか、それではです」
「うむ、またな」
 伯爵に顔を向けて別れの言葉を告げた。
「会おう」
「また何かありましたらいらして下さい」
「そちらもな」 
 二人は笑顔で別れて領主は自身の領地に帰った、そしてすぐにユニコーンのことを記録させてそのうえで言った。
「いや、まことにな」
「今回のことはですね」
「実にですね」
「いい学問になった」
 こう家臣達に言った。
「まことに」
「そうですね、我々もです」
「まさかユニコーンに好みがあったとは」
「どういった乙女が好きなのか」
「ただ乙女が好きなのではないのですね」
「好みがあるのですね」
「そうだな、人間が好きなユニコーンもいればエルフが好きなユニコーンもいる」
 あらためて言う領主だった。
「このことはわしもいい学問になった」
「はい、書にも書いていますので」
 その書き留めた家臣が言ってきた。
「このことは残ります」
「それは何よりだ、ユニコーンのことも書いたな」
「はい、それではですね」
「また次の生きもののことを調べていこう」
 ユニコーンのことはわかった、それならばというのだ。
 領主は次の不思議な生きものについて調べにかかった、次はバンシーのことだった。それで古い家で老人が死ぬのを待った。バンシーは古い家に憑いていてそこの家族が死ぬと現れて泣くからだ。
 この領主が書いたユニコーンの記録は後世に広く知られることとなった、ユニコーンは乙女に懐くがその乙女の好みはそれぞれのユニコーンにとって違うということは。そのことだけでなく他の生きもののことも記録に残っているがそれは全てこの領主の功績と言えた。ユニコーンにとってはメン食いだの選り好みだの言われる様になって不本意であったかも知れないが。


ユニコーン   完


                 2017・11・18 
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