エアツェルング・フォン・ザイン
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そのにじゅうさん
「うーん…どうした物かねぇ…」
寺子屋の職員室にあたる部屋。
そこで俺は難しい顔をして考え込んでいた。
今は慧音が教鞭を取っているので俺は休憩中だ。
机の上に有るのは色とりどりのクリスタル。
赤、青、黄色、緑、紫…
そう、フランの羽の一部だ。
先日のパーティーで『あげる』と言われ、昨日行った時に貰ったのだ。
「いや、物珍しさで受け取ったけどマジでどうしよう?」
これって一応フランの妖力が結晶化した物だろ?
爆発したりしないよな?
……………食ったら強くなったりして。
いやいや、ダメだ。
おかしいな、うん、おかしい…
あー…いや、でもな…
ゴト…
俺の拳より少し大きいそれら。
そのうちの一つを持ち上げる…
すんすん…
匂いとかはしない…
コンコン…
叩くと硬い…
窓から射し込む日差しに掲げてみる。
クリスタルは光を受けキラキラと輝く。
うん…光は通すな…
……ちょっとだけ…
クリスタルを口元に持っていき…
ガリ!カリ…カリ…
あ、以外と脆い…
舌の上でコロコロ転がしたりしてみた。
「清く正しい射命丸文です!」
「んぐっ!?」
ゴクリ…
背後から突然聞こえた声に驚きクリスタルの欠片を飲み込んでしまった…
じゃなくて!
「な、な、な、誰だお前!?」
声をかけた者の姿を見るべく俺は浮遊した。
そこに居たのは…
黒いスカート、白いシャツ。
それに対してチグハグな六角柱の帽子。
更に折り畳まれた黒い翼…
「あ、どうも私射命丸文と言います」
天狗だ…
「あー…幻想郷のブン屋が何用かな?」
「貴方がザインさんですね?」
「あー…うん、確かにザインは俺だよ」
「では!紅霧異変の事を詳しく!」
ズイ!と顔を近付ける射命丸文。
「えーと…」
俺が言い淀んでいると…
「おい!そこの天狗!何処から入って来た!」
ツカツカと慧音が射命丸文に近付き…
ガチン!
「いっだぁい!?」
見事な頭突きをかました。
「ふおぉぉぉ!?割れる!?頭が割れるぅぅ!?」
頭を抑えゴロゴロとのたうち回る天狗…
「慧音、ありがとう、助かった…」
「いや、礼を言うような事ではない…その…なんだ、同僚が困ってたから助けただけだ」
それでも有難いさ…
「で…このカラスどうする?捌いてもこ…もこたんの店に卸す?」
「なぜわざわざ言い直して言いきった…
いや、妖怪の肉なんて人間に食わせたらマズイ」
お?上手いな。
「ふむ…対して旨い訳でも無く、そもそも妖怪化するか…
俺等で食おうか?」
どう食うかって?
性的に…ね?
もしくは本当に食うか…
「そうだな…」
「今夜はアリスも呼んで鴉鍋かな…」
「調味料はあるぞ」
どんなスパイス(媚薬)なんですかねぇ?
と話していると…
「いやいや!貴女達なんて恐ろしい事を話してるんですか!?」
あ、復活したな…
「いや、なに、せっかく捕まえた鴉を逃すのは勿体なくてな。
しかし鴉一匹飼う蓄えもない…
と、なれば食うしかないだろ。なぁ、慧音」
「そうだな」
「妖怪の山と敵対しますよ!?」
「いやー…べつに…勝てるんじゃね?」
気づかれるまえに星騎士の忠誠剣でこう…妖怪の山の頂上からバッサリと…
もしくは大量の熱素をバーストさせて…
あー…鋼素で作ったナイフをぶっぱなすのもありだし月光波で吹き飛ばすのもありか…
「ば、ば、バカなんですか貴女!?」
「んー?バカじゃなければ吸血鬼の城に突撃なんぞせんだろ」
いや、まぁ決して不可能ではない…
キリトなら山一つと言わず星すら吹き飛ばせる。
「まったく…私がどれだけ心配したことか…」
どうやらあの時アリスが魔法か何かで慧音に伝えたらしい。
「悪かったって、その事は謝っただろ」
「あのー…二人だけの空間作らないでもらえます?」
ん?
「ああ、忘れてた。で、何の用だ鴉?」
「あぁ、そうでした。紅霧異変の顛末をお聞きしたく…」
「霊夢の所に行け。俺は主犯格とは殺りあってねぇんだ」
「そうなんですか?さっき博麗神社に行ったら『寺子屋の妖精に聞きなさい。アイツの方が【話す】の上手いから』って言ってましたよ?」
あんのガキィ…
「オーケー、取り敢えず後で霊夢はピチュらせるとして…何から聞きたい?」
そして、天狗の取材が始まった。
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