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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのじゅうなな

レミィの執務室

「さて…ザイン」

「なんだ」

「お前…ここに住め」

「ほう?」

「お前を執事として雇いたい」

いきなり何を言い出すかと思えば…

「メリットは?」

「衣食住は提供しよう」

さて…ここでどう返すか…

俺のような人種はこう返す

「ふむ…確かにメリットは大きいな…」

まずメリットがあることを認める…

「なら…」

「だが断る、このザインが最も得意とする事は
自分で強いと思っている奴に『NO』と断ってやることだ」

決まった…!

「ぷふっ…ご主人…」

玉藻は笑っている。

フランはぽかんとしている。

レミィは唖然としていた。

「まぁ俺は寺子屋の講師だ。辞める訳にはいかんのでな」

「お前…その返答の意味がわかっているのか?」

突如、レミリアからプレッシャーが放たれる。

500年の積み重ねから生まれる殺気、だが…

「脅しのつもりか?」

まだ、本気の【星王】の『闘気』の方がキツイな。

恐らくだが、レミィは格上を相手取った事が無いのだろう。

深淵の恐怖を初めとする神話級を相手取って来た俺にはそよ風以下にしか感じない。

「ああ、そうだが?」

さて…ここからどう返そうかね…

レミィは精神年齢は低いが頭は回るからな…

本当どーしよ…

あ、そうだ…

「レミィ」

「なんだ?」

俺は右手をレミィに向けた

「『私はあなた方に向けて差し出す右手は持っています。
しかし、地に突く膝と、平伏する額は持っていない。
何故なら私は、人間だからです』」

「あー!そのセリフー!」

フランはわかったようだな。

「レミィ、例えお前が夜を統べる者だとしても、俺はお前には従わない」

「なぜ…と聞いておこうか?」

「お前なら、俺と友でいられると思ったからだ。
俺は人として少し長く生きすぎた。
外の世界で、俺は孤独だった。
けど、幻想郷なら…俺を受け入れてくれる。
だから、お前とは対等な関係でいたい…」

UWでは、リアルワールド人故に孤独で

リアルでは、UWでの記憶故に孤独で…

「わかったわ…じゃぁこの話は無しよ」

あれ?なんかあっさり引き下がるな…

「やけにあっさりじゃないか?」

「私はアナタを雇おうが雇うまいがどうでもいいわ。
そうね…三日に一度はフランに会いに来なさい」

成る程…

「………………シスコン」

「うっさい!」

とレミィとの問答は終わった。

「ねーねーお兄様」

「おー?どうしたフラン?」

「お兄様って人間なの?」

ああ、さっきのセリフか…

「『元』人間だ。今は妖精だな」

そう言って、背中から翅をだす。

ノームの紋章とそこから生える二対四枚の翅だ。

幻想郷での普通の妖精には翅の付け根に紋章など無い。

俺の前世の証だ。

「コレが俺の翅だ」

まぁ心意之翼はまた別の形だがな…

「わぁー!綺麗ー!」

とフランが俺の翅を見ていた。

「フランの翅も綺麗だぞ」

「本当?」

「ああ」

「わーい!」

フラン羽がシャラランと音を経てた。

「宝石みたいで綺麗だよ」

「じゃぁあげるー!」

「は?」

何言ってんの?

「これねー時々落ちるの。それでまた生えてくるの」

どういう事だ?

「だからねー、コレと同じのが沢山あるのー!だから後であげるー!」

えーっと?

「レミィ?」

「知らないわよそんな事…」

あ、スゲーへこんでるよコイツ。

にしても生えてくる…羽毛みたいな物か?

「あ、そうそう、ザイン」

「今度はなんだ?」

「今日の夜にここでパーティーするのよ。
だから今日はここに泊まっていきなさい」

うーん…どうしようか…

アリス置いて来ちゃったしな…

「あー…呼びたい奴が居るんだがいいか?」

「かまわない。誰なんだ?」

「俺が世話になってる人さ」

「そうか、パーティーは18時からだ。それまでに呼んでおけ」

「ああ…………そうだ、フランと一緒に行っていいか?」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

いや、長ぇよ。

「美鈴を連れて行くならいいぞ」

うげ…よりにもよって美鈴かよ…

まぁ…なんとかなるか…

「わかった、美鈴を連れて行く」

俺はポケットからムービー・クリスタルを取り出す。

「コレ、渡しとくぞ」

と咲夜に放り投げる。

「何ですかコレ?」

「俺達が出ていったあとにムービー・オンって言ったら面白い物が見れるぞ。
恐らくレミィも気に入るだろう」

中身は門番が落書きされる動画だ。

「………わかりました」

咲夜が了承する。

「じゃぁ、出て来る」

「まだ昼前だぞ?何処まで行くつもりだ?」

「フランとゆっくり歩きたいのさ。
な、フラン?」

「うん!」

フランはニパーっと笑って頷いた。

「はぁ…しょうがない…まぁ行くがいいさ。だがフランにもしもの事があれば…」

とプレッシャーを放つレミィ。

「わかっているさ…」

「早く行こ!」

とフランに袖をつかまれる、俺が100きらいでフランが130前後なので姉弟に見える。

「行ってきますお姉様!」

「あ、ちょ、待て!」

「ご主人待って~!」

俺はフランに引っ張られ、レミィの執務室を後にした。 
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