子猫達のお話
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第一章
子猫達のお話
ミトンとモペットはお兄さんのトムが遊んでいるおもちゃを見てこんなことを言いました。
「お兄ちゃんが今遊んでるおもちゃ何かね」
「不思議なおもちゃよね」
「ステッキに糸で丸い球が付けられてて」
「ステッキの先に丸い球にある穴に突き刺す先っちょがあって」
「そのステッキの左右と持つところの付け根に球を置く場所があって」
「そこに棒を入れたり置いたりして遊ぶのよね」
そうしたおもちゃだというのです。
「あのおもちゃ何かしら」
「一体何て名前かしら」
「私あんなおもちゃ見たことがないわ」
「私もよ」
二匹でこうしたお話をしていました、そしてです。
二匹で、です。こうもお話しました。
「お兄ちゃんにあのおもちゃの名前聞いてみる?」
「そうしてみる?」
「そうね、一体何て名前なのか」
「見たこともないおもちゃだし」
「お兄ちゃんに聞いてみよう」
「そうしよう」
こうお話して実際にトムにおもちゃの名前を聞くことにしました。トムはこの時お家の中でそのおもちゃで遊んでいましたが。
妹達に聞かれてです、トムはこう答えました。
「これはけん玉だよ」
「けん玉?」
「けん玉っていうの」
「うん、日本のおもちゃでね」
「あの海の向こうの国ね」
「広い大陸の東の先にある」
「そう、その国のおもちゃなんだ」
こう二匹にお話するのでした。
「面白いおもちゃだよ」
「何か難しそうね」
「穴を先に入れたり置く場所に置いたり」
「そうして必死にやってるけれど」
「お兄ちゃんも中々上手にいてないし」
「そうなんだ、これがとても難しくてね」
トム自身上手にいっていないことを認めます、嫌々ながらも。
「中々ね」
「幾らやっても」
「上手にいってないの」
「何か凄く上手な人がいるらしいけれどね」
こうも言ったトムでした。
「この森には」
「そうなの?」
「凄い上手な人がいるの」
「そうなの」
「この森に」
「誰かまでは僕も知らないけれど」
それでもというのです。
「凄い人みたいだよ」
「けん玉の名人なの」
「そうした人なのね」
「うん、僕はまだはじめたばかりで」
やっても殆ど入れることはおろか置くことも出来ません。
「難しいって思ってるよ」
「その凄く上手な人って誰かしら」
「つまりけん玉名人ね」
「名人さんが何処の誰なのか」
「凄く気になるわね」
「この森の誰かなのは間違いないから」
それはと言うトムでした。
「よかったら探してみたら?」
「そうね。それじゃあ」
「探してみるわね」
妹達はお兄さんに答えました、そしてです。
早速二匹でお家を出てそのけん玉名人は誰なのか探すことにしました、ミトンはここでモペットにこんなことを言いました。
「ねえ、名人っていうからにはね」
「どうしたの?」
「多分ね」
こう前置きしてお話するのでした。
「大人の人よ」
「大人の人なの」
「だって名人っていうからにはね」
「かなりやり込んでいて」
「私達やお兄ちゃんよりもずっとね」
子供である自分達よりもというのです。
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