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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第六十七話 何進、陥れられるのことその八

 しかしだ。それでもなのだった。
「とにかく。これで」
「折角収まりかけた天下は」
「また複雑なことになりますね」
「ええ。間違いなくね」
 それは確実だというのだった。戦乱が再び起ころうとしていた。
 そしてだ。その袁紹がだ。曹操からの文を見ながら言うのだった。
「華琳も。言いますわね」
「何と書かれてたのですか?」
 審配が主に対して問うた。
「それで」
「今は自重しろと書いてますわ」
 そうだというのだ。
「そしてそのうえで」
「そのうえで?」
「時が来れば動くことになると」
 そうしたことも書いてあるというのだ。
「だから。今は」
「自重せよというのですね」
「ええ。ただ」
 ここでだ。袁紹はまた言った。
「私達の力を削ぐ口実が問題ですわね」
「ですよね。異民族でやばいのはあらかた潰しましたし」
「今仕掛けるとしたら」
 文醜と顔良が話す。
「万里の長城を修復しろとか?」
「そういうのでしょうか」
「どうかしら。むしろ」
「他のことの方がいいのじゃないかしら」
 ここでこう言ったのは辛評と辛毗だった。
「建築は遅らせることができるから」
「それよりも確実な方法が」
「それが問題ですわね。とにかく」
 また言う袁紹だった。その眉には剣呑なものが宿っている。
「私達は。何かとまずい状況にありますわね」
「確かに。それはです」
「間違いありません」
「水華さん、恋花さん」
 袁紹は軍師二人に声をかけた。
「情報は集めておきなさい」
「洛陽のですね」
「それを」
「丁度それに長けた方々も来ていますし」
 別世界から来た面々にだというのだ。
「わかりましたわね」
「御意」
「それでは」
 軍師二人も主の言葉に頷く。
「蒼月殿や火月殿達も」
「そうしておきましょう」
「頼みましたわ。ただ」
 ここでまた言う袁紹だった。
「若しかするとですけれど」
「若しかすると?」
「といいますと」
「大将軍は生きておられるかも知れませんわね」
 こんなことを言うのだった。
「ひょっとしたらですけれど」
「まさか、それは」
「幾ら何でも」
 高覧と張郃がそれはないのではと言う。
「それはないのでは?」
「そうです、張譲が生かしておくとは考えられません」
「あの者は非常に底意地の悪い男でしてよ」
 しかしだ。袁紹はここでこのことを話した。
「これ以上はないまでに」
「だからですか?」
「そうだからこそ」
「ええ、確かに可能性は低いですけれど」
 それでもだというのだ。
「生きておられるかも。ただ」
「ただ?」
「ただですか」
「あの底意地の悪い張譲のこと」
 それが問題であった。彼のその性格こそがだ。
「必ず。何か悪意を以てそうしていますわね」
「そうですね。それは間違いありません」
「張譲がそうするとなると」
 辛姉妹が主のその言葉に頷く。 
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