転生とらぶる
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ペルソナ3
2006話
「マハブフダイン」
刈り取る者がその魔法を使うと同時に、周辺一帯が猛烈な吹雪に襲われる。
まるで、エヴァが魔法を使っているのではないかと思えるような、そんな光景。
ただし、エヴァの魔法が純粋に吹雪を起こすような魔法だとすれば、刈り取る者が放った魔法は氷の槍、矢、礫……そのようなものが暴れ回るような、そんな魔法だったが。
そうして氷の吹雪が消え去った後に残っていたの、地面に転がっている戦車の姿だった。
122階で遭遇した門番シャドウは、戦車の形をしたシャドウだ。
その数、3匹。
そんなシャドウに対し、刈り取る者が最初に放ったのがマハブフダインだった訳だ。
「追撃するわよ! コロマル!」
「わん!」
矢を射ながら叫ぶゆかりの指示に従い、コロマルが戦車に向かって駆け出す。
転んでいるという事は、あの戦車の弱点はブフ系だったのだろう。
刈り取る者がそれを知っていてマハブフダインを放ったのか、それとも偶然使った魔法が相手の弱点だったのか。
その辺りの事情はあまり分からないが、それでも番人シャドウ3匹を転ばせるには、十分な威力だった。
そうして、一旦弱点が見つかれば……後は呆気ない。
「鍛えるって意味だと、弱点を突かないで正面から戦うように言った方がいいのか?」
「あのね、相手はあんな戦車よ? それと正面から……それも3匹相手にしろってのは、ちょっと厳しいんじゃない?」
少し呆れた様子で、塵に帰っていく門番シャドウを見ながら、ゆかりが呟く。
まぁ、かなりタフなシャドウだったのは、間違いない。
弱点を突かれても、中々死ななかったのだから。
特にジオダインはイオの弱点だ。
そういう意味でも、この敵はゆかりにとってはなるべく早く倒すべき相手だったという事なのだろう。
「取りあえず、倒せたからいいだろ?」
「……分かってるわよ」
やはりジオダインを実際に使われたというのは、ゆかりにとって結構ショックだったのだろう。
炎獣が放たれた雷を焼きつくしたので、特に被害がなかったのは幸いといったところか。
「わふ!」
コロマルの方は嬉しそうにこっちに近づいてきたので、今の戦いに特に不満を持っている訳ではないのだろう。
何気にコロマルは、既に俺の影に戻った刈り取る者に対しても結構懐いている様子がある。
神主をシャドウに殺されたらしいから、一応分類的には元シャドウと言ってもいい刈り取る者に対して、敵意……とまではないかなくても不満は持っていてもおかしくないんだが。
もっとも、コロマルと刈り取る者が上手くやれるというのは、俺から見ても嬉しい事なので、そこに不満はないが。
「よしよし。偉いぞコロマル」
そんなコロマルを撫でると、番人シャドウのいる場所には確実に存在する宝箱を開け、香炉のようなもの……桐条グループの調査によれば、ムド系、ハマ系といった魔法で仮死状態になったり、意識が失われた状況からすぐに呼び起こす事が出来る反魂香を入手する。
んー……まぁ、貴重なマジックアイテムではあるんだろうが、出来ればもう少し俺好みのマジックアイテムとかだと嬉しかったんだけどな。
ハイレグアーマーでも可。
「ちょっと、アクセル。何か妙な事を考えてない?」
俺の顔から何かを感じたのか、ゆかりが不審そうにそう言ってくる。
女の勘……いや、この場合は恋人の勘か? の鋭さはいつになっても凄いと思う。
が、取りあえずその辺りは表情に出さないようにして、何でもないと首を横に振る。
「気のせいだろ。俺は別に何も後ろめたい事はないぞ」
恋人のゆかりがハイレグアーマーを着ているのを見たいというのは、別に後ろめたい事ではない筈だ、うん。
半ば自分に無理矢理言い聞かせ、ゆかりにこちらの気持ちが知られないようにする。
数十秒程、ゆかりは俺の顔をじっと見つめる。
だが、結局何も読み取る事が出来なかったのか、やがて残念そうにしながらも俺の顔から視線を外した。
どうやら、セーフ……といったところか。
「わふ?」
不思議そうにこちらを見てくるコロマルに、何でもないと首を横に振り、撫でてやる。
取りあえず、反魂香は俺達が使わなくても技術班へのお土産って事にしておけば問題はない。
むしろ、技術班からは喜ばれる可能性もあった。
……それが、具体的にどれくらい喜ばれるのかは分からないが。
「さて、これからどうするか、だな。上の階の様子を少し見てみるか、それとも戻るか」
そう言いつつも、俺は何となくゆかりが何と返事をするのかの予想は出来ていた。
今日のタルタロス攻略は、刈り取る者の協力もあってか、かなり楽だったのだから。
あの戦車型の門番シャドウを倒しても、まだ影時間に十分な余裕はある。
次の門番シャドウまで行けるだけの時間的な余裕……とまではならないだろうが、それなりに上の階を探索するという意味では余裕だろうと思える程度の時間は。
上の階に向かえば、当然のように宝箱の中身はより稀少な代物になる。
……稀少な代物になりすぎていて、ハイレグアーマーが出なくなったのは残念だが……いや、このタルタロスの宝箱を担当している奴のセンスから考えれば、ハイレグアーマーよりももっと際どい……もとい、魅力的……もとい、相手を魅了するに相応しい防具を用意している可能性もあるな。
期待しているぞ、宝箱を配置している誰かさん。
「アクセル、結局どうするの?」
「そうだな、時間はあるし、行けるところまで行ってみるか。もし途中で影時間が終わりそうになったら、すぐに脱出するって事で」
普通なら、エントランスに行くにはそれぞれの階に存在するターミナルを使うしかない。
だが、ターミナルは探そうとすればなかなか見つけにくい場所にあり、使おうと思ってすぐに使える訳でもない。
S.E.E.Sの連中にとって、ターミナルの存在はありがたくも厄介なものだろう。
それに比べると、俺の場合はいつでも、どこでも使える影のゲートという脱出手段がある。
それを使えば、最悪影時間が終わる寸前までタルタロスにいても、全く問題はない。
つくづく、影のゲートってのは便利な魔法だよな。
「分かったわ。じゃあ、行きましょうか。コロマル、注意してね」
「わん!」
「……どうせなら、お前も出しておくか」
さっき影に戻ったばかりだったが、再び影から刈り取る者を呼び出す。
既に召喚魔法云々というよりは、俺の使い魔的な感じになっている刈り取る者だったが、実は不満を溜め込んでるとかないよな?
まぁ、それを言うなら、グリとかは最近全く召喚していないし。……いや、そうだな。同じ俺の召喚獣なんだし、グリと刈り取る者の顔合わせはした方がいいか?
もしかしたら、将来的には二匹を――刈り取る者を匹で数えていいのかどうかは疑問だが――同時に召喚する可能性もある。
であれば、いざという時に同じ場所に召喚した時、お互いに初対面だとぶつかりあう可能性も決して否定出来ない。
そうでなくても、初対面の相手と一緒に戦えというのは、お互いに色々とやりにくいだろうし。
よし、明日の影時間にでも……と考え、ゆかりの方を見る。
「どうしたの?」
「いや、明日の影時間に刈り取る者以外に俺が召喚の契約をしている奴を呼び出して、顔合わせさせようと思ったんだけど、よかったら見に来るか?」
「え? それは嬉しいけど……いいの?」
「ああ。コロマルはどうする?」
「わん!」
俺にはコロマルの言葉は理解出来ないが、それでも今のコロマルの様子を見れば、俺の言葉に頷いているというのはすぐに理解出来た。
「そうか。……うん、まぁ、コロマルも多分仲良くやれると思うぞ」
グリ……正式名称はグリフィンドラゴン。
グリフォンとドラゴンが混ざった……うーん、何なんだろうな。混血? もしくはグリフィンドラゴンという種族として確立されているのか。
ともあれ、グリフォンの要素……つまり獅子と鷲の要素がある訳で、猫科の獅子と考えるとコロマルとの相性はもしかしたらそこまで良くない可能性がある。
猫と犬だしな。
勿論、小さい頃から一緒に育てるといった真似をすれば、猫と犬でも仲良くなれるらしいが……今回はそういうのじゃないしな。
もっとも、グリは俺の召喚獣として、俺と一緒にいるコロマルに何かするとは思えないし、コロマルは人間の言葉を理解し、ペルソナを召喚して使いこなすだけの頭の良さがある。
その辺りを考えれば、上手くいけば……うん、多分妙な事にはならないと、そう思いたいところだ。
ただ、もし何かあったら、すぐにどうにか対処出来るようにはしておいた方がいいだろうけど。
「ふーん。……あ、ねぇ、アクセル。アクセルが見せてくれるのって、そんなに凄いし、驚くの?」
「ん? ああ。多分驚くのは間違いないと思うぞ」
多分と付けたのは、シャドウを見慣れているゆかりにしてみれば、そこまで驚かないかも? という思いがあった為だ。
……実際、シャドウというのは、色々と見た目が派手な奴が多いしな。
そういうシャドウを見慣れていれば、それこそグリを見ても特に何も反応しない……という可能性は十分にある。
「何よ、あまり自信がないの?」
「別にそういう訳じゃないんだけどな。ただ、もしかしたら……って、そう思うだけで」
そう告げると、ゆかりは納得したようなしていないような、そんな曖昧な様子で頷く。
その辺りは、実際に見て貰う必要があるだろう。
ああ、でも考えてみれば、ゆかりにはもうニーズヘッグを見せて、火星にまで行ってるんだよな。
幾らペルソナ世界だからといって、この時代に火星に下りるような真似をした事がある者がいるとは思えない。
俺が混沌精霊で人間ではない以上、ゆかりはこの世界で初めて火星に降り立った人間という事になっている筈だ。
まぁ、それを証明出来ない以上、その称号はどうしようもないんだろうが。
それに……この世界だと、実は以前何らかの理由で火星に行った事がある奴がいても、そんなに驚くような事はない。
ペルソナやシャドウというのは、それだけの可能性を秘めているのだから。
「ふーん。……取りあえず分かったわ。じゃあ、明日を楽しみに……あ、そうだ。ねぇ、アクセル。その明日のお披露目、出来れば桐条先輩達も招待して見せてあげたいんだけど、駄目かな?」
「美鶴達を?」
ゆかりの口から出た言葉が完全に予想外だったので、驚きを口にする。
すると、ゆかりは少しだけ落ち込んだ様子で頷いてくる。
「うん。その……最近、色々とあったじゃない? 理事長の件とか、それに順平の件も。だから、アクセルが驚くような存在を見せてくれるのなら、それを見れば桐条先輩達も驚いて気分転換になるんじゃないかと思って」
「あー……なるほど」
実際、普段から表情に出さないような有里はともかく、山岸は今回の一件でかなり落ち込んだ様子を見せている。
美鶴を含めた他の面々にしても、当然のようにショックを受けてるだろう。
それを何とかするべく気分転換させるというのは、考えてみればいい提案かもしれない。
「どう?」
俺の表情を見て、可能性があると思ったのか、ゆかりは期待を込めた視線を向けてくる。
「わん!」
コロマルの方は、俺とゆかりの会話の意味をしっかりと理解しているのか、いないのか……ともあれ、俺の方を見ながら鳴き声を上げていた。
さて、どうするか。
一瞬そう考えるも、幾月という最大の不安要素がいなくなった以上、俺の力を極端なまでに隠すような真似はしなくてもいいかと、そう判断する。
「そうだな。多分、引きずってる感情に関しては、ある程度何とかなると思う」
気分転換という意味なら、それこそグリの背中に乗せて飛ぶとか、そういうのもちょっと面白そうだしな。
だが、そうなればそうなったで、色々と面倒な事になりそうな気がしないでもない。
特に、誰がグリの背中に乗るのかといった感じで。
……あ、でもペルソナでも空を飛ぶペルソナとかは結構いるし、そう考えればそこまで気にする事でもないのか?
「ありがと。じゃあ、この影時間が終わったら、桐条先輩にメールを送って聞いてみるね。それで、もし向こうが大丈夫だったら……って事で、いい?」
「ああ、それで問題ない。もし何なら、俺からメールを送ってもいいけど?」
「ううん、今回の件は私が言い出したんだし、私がメールを送っておくわ。それに……メールとはいえ、夜中に女の人に連絡をするってのは、どうかと思うし」
「……そういうのを気にするようには思えないけどな」
そう思いつつも、ゆかりがそう言うのであれば……と、そう考えて頷く。
こうして明日の影時間の予定についての話し合いを終えてから、再びタルタロスに挑戦し……何だかんだで、135階にいる次の門番シャドウも無事倒す事に成功するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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