レーヴァティン
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第四十七話 海はなけれどその六
「それでじゃ」
「一人で小島位はあるモンスターを倒すってのかよ」
「うむ、そう言ってな」
「巨人並に強いと思いますが」
進太は彼が聞くクラーケンの強さからこう述べた。
「もっとも巨人数人も一人で倒せてこそです」
「まあそうでも出来ないとな」
「拙者達もそれ位は出来ます故」
「俺達からしてみれば普通か」
「そうなるでござるな、では」
「実際にクラーケン一匹位はか」
「倒せるか、普通に」
外から来た者ならというのだ。
「別に無鉄砲じゃないか」
「そうなるかと」
「だよな」
「強いのは確かだ」
頭もそのことは話した。
「サーペントを一人で倒したこともある」
「それもかよ」
「だから大丈夫だと思うが」
「あんた達の基準で言うとか」
「本当に無鉄砲な奴じゃ」
「まあそうかもな、けれど一人でか」
「出てな」
そうしてというのだ。
「会いたいならな」
「ああ、ちょっと行って来るな」
「本当に行くんじゃな」
「船一艘借りていいか?」
「一艘ではなくて一隻の方でどうだ」
頭の方から久志達にこう提案した。
「大きい船の方が何かといいだろ」
「そうか、じゃあでかい船頼むな」
バイキング船の中でもそれをとだ、久志も頭に応えた。
「そっちをな」
「それではな」
「金はどれだけ出せばいいんだい?」
借りるそれの話もだ、久志は頭にした。
「一体」
「金?」
「ああ、どれだけだい?」
「別にいらんぞ」
金はとだ、頭は久志に寛容な笑顔で答えた。
「御前さん達が生きて帰って来るならな」
「おいおい、いいのかよ」
「別にな」
「船はあんた達の命だろ」
バイキングにとってはとだ、久志は頭に怪訝な顔になって尋ねた。船で各地を移動するのがバイキングだからだ。
「それでもかよ」
「別にいいわい、暫く湖に出る予定もないしな」
「それでか」
「昨日ここに帰ってきて暫く休むつもりじゃ」
それでというのだ。
「長く激しい航湖だったからのう」
「航湖か」
「この島に海はないからな」
頭は久志に笑って話した。
「だからじゃ」
「航海じゃなくて航湖か」
「それになるわ、まあわしが知ってる限りで下にはな」
この島のというのだ。
「海があるな」
「ああ、かなり広いのがな」
「海はそこにあるものじゃ」
「こっちの世界ではそうでか」
「うむ、浮島には海はない」
「塩の湖とかはあってもか」
「それはない」
海はというのだ。
「それは話しておく」
「成程な」
「うむ、それでじゃが」
頭は久志にさらに話した。
「お主達が船を使いたいというならな」
「ただで貸してくれるんだな」
「そうじゃ、是非使うといい」
「悪いな、しかしな」
久志は頭の好意を受け取った、だがそれでもだった。
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