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美術館の絵

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第二章

「無理なの」
「不気味な絵を描く人もいるわよね」
「そういうのは駄目だから」
 それでというのだ。
「ゴヤもね」
「観に行かないのね」
「そうするわ、何があっても」
 それこそとも言う恵だった。
「ゴヤは行かないわ」
「それで別の人のところに行くのね」
「そうするわ」
 こう言ってだ、恵は実際にゴヤの方には行かず別のまだまだ駆け出しの画家の展覧会に行って楽しんだ。
 だがある日だ、恵はその友人と一緒に心斎橋の商店街を歩いていてだった。
 ヒロ=ヤマガタの博覧会が行われているのを観て思わずこう言った。
「あっ、チェックしてなかったけれど」
「ここでも展覧会やってたのね」
「これは行かないとね」
 こう友人に言うのだった。
「絶対に」
「ヒロ=ヤマガタはいいの」
「そう、この人は好きなの」
 こう友人に言うのだった。
「私はね」
「そういえば前に展覧会行った人も」
 友人はそのまだ無名の画家のことをここで言った。
「結構ファンタジーな絵を描くわね」
「幻想的なね」
「そうだったわね」
「それでね」
「ええ、ヒロ=ヤマガタもね」
 友人もこう返す、実は恵と一緒にいるうちに美術のことにも詳しくなったのだ。
「幻想的よね」
「それでなの」
「今から行くのね」
「そうしたいけれど」
「付き合うわよ」
 友人は恵に微笑んで答えた。
「時間もあるしね」
「それじゃあね」
「ええ、今から入りましょう」 
 そのヒロ=ヤマガタの展覧会にというのだ、こうして恵は友人と一緒にヒロ=ヤマガタの絵も楽しんだ。
 だがそれでもだ、ゴヤだけでなく怖い絵はだった。
 観ようとしなかった、このことは徹底していた。そのことは変わりなかったがある日のことだった。
 友人は恵が買っている漫画や小説を見て眉を顰めさせて言った。
「ホラー漫画に小説買ったけれど」
「ええ、結構好きなの」
 恵は友人にあっさりと答えた。
「ホラーはね」
「あの、その漫画家さんの作品って」
 特に漫画の方を見て言う友人だった。
「絵柄も怖いわよ」
「作風もね」
「小説それポーだし」 
 代表作の一つアッシャー家の崩壊である。 
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